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Channel: アンディマンのコスモロジー (宇宙論)
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一般相対性理論 その1
質量(地球)が空間の幾何学をゆがめている様子を2次元に落とし込んで描いたところ歪んだ幾何学自体が重力と解釈できる
 
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一般相対性理論(ドイツ語:AllgemeineRelativitätstheorie、英語:general theory of relativity)は、アルベルト・アインシュタインが1905年の特殊相対性理論に続いて1915 - 1916年に発表した物理学の理論である。
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一般相対論General relativity)ともいい、ニュートン力学で記述すると誤差が大きくなる現象(光速度に近い運動や、大きな重力場における運動)を正しく記述できる。
・概要
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 一般相対性原理と一般共変性原理および等価原理を理論的な柱とし、リーマン幾何学を数学的土台として構築された古典論的な重力場の理論であり、古典物理学の金字塔である。測地線の方程式とアインシュタイン方程式(重力場の方程式)が帰結である。時間と空間を結びつけるこの理論では、アイザック・ニュートンによって万有引力として説明された現象が、もはやニュートン力学的な意味での力ではなく、時空連続体の歪みとして説明される。


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一般相対性理論 その2
一般相対性理論では、次のことが予測される。
重力レンズ効果
重力場中では光が曲がって進むこと。アーサー・エディントンは、1919529日の日食で、太陽の近傍を通る星の光の曲がり方がニュートン力学で予想されるものの2倍であることを観測で確かめ、一般相対性理論が正しいことを示した。
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近日点移動
ニュートン力学だけでは、水星軌道のずれ(近日点移動の大きさ)の観測値の説明が不完全だったが、一般相対性理論が解決を与え、太陽の質量による時空連続体の歪みに原因があることを示した。
重力波
時空(重力場)のゆらぎが光速で伝播する現象。間接観測されているが、現状では直接観測は困難とされる。
膨張宇宙
時空は膨張または収縮し、定常にとどまることがないこと。ビッグバン宇宙を導く。
ブラックホール
限られた空間に大きな質量が集中すると、光さえ脱出できないブラックホールが形成される。
重力による赤方偏移
強い重力場から放出される光の波長は元の波長より引き延ばされる現象。
時間の遅れ
強い重力場中で測る時間の進み(固有時間)が、弱い重力場中で測る時間の進みより遅いこと。
一般相対性理論は慣性力と重力を結び付ける等価原理のアイデアに基づいている。等価原理とは、簡単に言えば、外部を観測できない箱の中の観測者は、自らにかかる力が、箱が一様に加速されるために生じている慣性力なのか、箱の外部にある質量により生じている重力なのか、を区別することができないという主張である。
相対論によれば空間は時空連続体であり、一般相対性理論では、その時空連続体が均質でなく歪んだものになる。つまり、質量が時空間を歪ませることによって、重力が生じると考える。そうだとすれば、大質量の周囲の時空間は歪んでいるために、光は直進せず、また時間の流れも影響を受ける。これが重力レンズや時間の遅れといった現象となって観測されることになる。また質量が移動する場合、その移動にそって時空間の歪みが移動・伝播していくために重力波が生じることも予測される。
アインシュタイン方程式から得られる時空は、ブラックホールの存在や膨張宇宙モデルなど、アインシュタイン自身さえそれらの解釈を拒むほどの驚くべき描像である。しかし、ブラックホールや初期宇宙の特異点の存在も理論として内包しており、特異点の発生は一般相対性理論そのものを破綻させてしまう。将来的には量子重力理論が完成することにより、この困難は解決されるものと期待されている。

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一般相対性理論 その3
・歴史
-一般相対性理論が成立するまで
1905年に特殊相対性理論を発表したアインシュタインは、特殊相対性理論を加速度運動を含めたものに拡張する理論の構築に取り掛かった。1907年に、アインシュタイン自身が「人生で最も幸福な考え(the happiest thought of my life)」と振り返る「重力によって生じる加速度は観測する座標系によって局所的にキャンセルすることができる」というアイディアを得る。光の進み方と重力に関する論文を1911年に出版した後、1912年からは、重力場を時空の幾何学として取り扱う方法を模索した。このときにアインシュタインにリーマン幾何学の存在を教えたのが、数学者マルセル・グロスマンであった。ただし、このときグロスマンは、「物理学者が深入りする問題ではない」と助言したとも伝えられている。1915-16年には、これらの考えが1組の微分方程式(アインシュタイン方程式)としてまとめられた。
この時期にアインシュタインが発表した一般相対性理論に関する論文は、以下の通り。
1911論文『光の伝播に対する重力の影響』(Annalen der Physik (Germany), 35, 898-908
1914論文『一般相対性理論および重力論の草案』(ZS. f. Math. u. Phys., 62, 225-261
1915論文『水星の近日点の移動に対する一般相対性理論による説明』(S.B. Preuss. Akad. Wiss., 831-839
1916論文『一般相対性理論の基礎』(Annalen der Physik (Germany), 49, 769-822
1916論文『Hamiltonの原理と一般相対性理論』(S.B. Preuss. Akad. Wiss., 1111-1116
-一般相対性理論の発表後
アインシュタイン方程式の発表後は、その方程式を解くことが研究の課題となった。
1916年にカール・シュヴァルツシルトが、アインシュタイン方程式を球対称・真空の条件のもとに解き、今日ブラックホールと呼ばれる時空を表すシュヴァルツシルト解を発見した。アインシュタイン自身は、自ら導いた方程式から、重力波の概念を提案したり、宇宙全体に適用すると動的な宇宙が得られてしまうことから、宇宙項を新たに方程式に加えるなどの提案を行っている。
1917論文『一般相対性理論についての宇宙論的考察』(S.B. Preuss. Akad. Wiss., 142-152

1918論文『重力波について』(S.B.Preuss. Akad. Wiss., 154-167

1919年にアーサー・エディントンが皆既日食を利用して、一般相対性理論により予測された太陽近傍での光の曲がりを確認したことにより、理論の正しさが認められ、世間への認知が一気に広まった。
1922年には、宇宙膨張を示唆するフリードマン・ロバートソンモデルが提案されるが、アインシュタイン自身は、宇宙が定常であると信じていたので、現実的な宇宙の姿であるとは受け入れようとはしなかった。

しかし、1929年には、エドウィン・ハッブルが、遠方の銀河の赤方偏移より、宇宙が膨張していることを示し、これにより、一般相対性理論の予測する時空の描像が正しいことが判明した。後にアインシュタインは宇宙項の導入を取り下げ、「生涯最大の失敗だった(the biggest blunder in mycareer)」とジョージ・ガモフに語ったという。

1931年、スブラマニアン・チャンドラセカールは、白色矮星の質量に上限があることを理論的計算によって示した。今日、チャンドラセカール限界として知られる式は、万有引力定数G、プランク定数h、光速c3つの基本定数を含み、古典物理・量子物理双方の成果を集大成したものでもある。チャンドラセカールは、「星の構造と進化にとって重要な物理的過程の理論的研究」の功績でノーベル物理学賞(1983年)を受賞した。
1939年、ロバート・オッペンハイマーとゲオルグ・ヴォルコフは、中性子星形成のメカニズムを考察する過程で、重力崩壊現象が起きることを予測した。
その後しばらく、一般相対性理論は、「数学的産物」として実質的な物理研究の主流からは外れている。重力波は果たして物理的な実体であるのかどうかという論争や、アインシュタイン方程式の厳密解の分類方法などの研究がしばらく続くが、1960年代のパルサーの発見やブラックホール候補天体の発見、そしてロイ・カーによる回転ブラックホール解(カー解)の発見を契機に、一般相対性理論は天文学の表舞台に登場する。同時期に、スティーヴン・ホーキングとロジャー・ペンローズが特異点定理を発表し、数学的・物理的に進展を始めると共に、ジョン・ホイーラーらが、古典重力・量子重力双方に物理的な描像を次々と提出し始めた。ワームホール(1957年)やブラックホール(1967年)という名前を命名したのは、ホイーラーである。
1974年、ジョゼフ・テイラーとラッセル・ハルスは、連星パルサー PSR B1913+16 を発見した。連星の自転周期とパルスの放射周期を精密に観測することによって、重力波により、連星系からエネルギーが徐々に運び去られていることを示し、重力波の存在を間接的に証明した。この業績により、2人は「重力研究の新しい可能性を開いた新型連星パルサーの発見」としてノーベル物理学賞(1993年)を受賞した。
現在は、重力波の直接観測を目指して、世界各地でレーザー干渉計が稼働している。観測のターゲットとしているのは、中性子星連星やブラックホール連星の合体で生じる重力波などで、波形の予測のための理論や数値シミュレーションが研究の重要なテーマになっている。
また、宇宙論研究では、ビッグバン宇宙モデル(1947年)が有力とされているが、さらにその初期宇宙の膨張則を修正したインフレーション宇宙モデル(1981年)も正しいことが、2006年のWMAP衛星による宇宙背景輻射の観測により決定的になったと考える人も多い。最近は、高次元宇宙モデルが脚光を浴びているが、これらの宇宙モデルは、いずれも一般相対性理論を基礎にして議論される。
アインシュタイン以後、一般相対性理論以外の重力理論も、数多く提案されているが、現在までにほとんどが観測的に棄却されている。実質的に対抗馬となるのは、カール・ブランスとロバート・H・ディッケによるブランス・ディッケ重力理論であるが、現在の観測では、ブランス・ディッケ理論のパラメーターは、ほとんど一般相対性理論に近づけなくてはならず、両者を区別することが難しいほどである。量子論と一般相対論の統一という物理学の試みは未だ進行中であるものの、一般相対性理論を積極的に否定する観測事実・実験事実は一つもない。他に提案されたどの重力理論よりも一般相対性理論は単純な形をしていることから、重力は一般相対性理論で記述される、と考えるのが現代の物理学である。

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一般相対性理論 その4
・物理学としての位置づけ
-万有引力の法則との関係
アインシュタイン方程式は微分方程式として与えられているため局所的な理論ではあるが、ちょうど電磁気学における局所的なマクスウェル方程式から大域的なクーロンの法則を導くことができるように、アインシュタイン方程式は静的なニュートンの万有引力の法則を包含している。万有引力の法則との主な違いは次の3点である。
重力は瞬時に伝わるのではなく光と同じ速さで伝わる。
重力から重力が発生する(非線形相互作用)。
質量を持つ物体の加速運動により重力波が放射される。
ここで、3.は荷電粒子が加速運動することにより電磁波が放射されることと類似している。これは、万有引力の法則やクーロンの法則に、運動する対象の自己の重力や電荷の効果を取り入れていることに対応している。
-特殊相対性理論との関係
特殊相対性理論が、加速している場合や重力が加わった場合を含まない特殊な状態における時空の性質を述べた法則であるのに対して、一般相対性理論は、加速している場合や重力が加わった場合を含めた一般的な状態における時空の性質を述べた法則であり、等速直線運動する慣性系のみしか扱えなかった特殊相対性理論を、加速度系も扱えるように拡張した理論であると言える。
対称性の視点からは、まず、特殊相対性理論は系のローレンツ変換に対する対称性により特徴づけられ、非相対論的極限によりニュートン力学の有するガリレイ変換が導かれる。一方、一般相対性理論は一般座標変換(diffeomorphism)に対する対称性により特徴づけられるアインシュタイン方程式を基礎方程式とする理論である。アインシュタイン方程式の有する一般座標変換に対する共変性は重力を小さくする極限のもとでローレンツ変換に対する共変性に帰し、一般相対性理論は特殊相対性理論を包含する。当然、古典力学も包含している。
-量子力学との関係
量子論は一般相対性理論と同様に物理学の基本的な理論の一つであると考えられている。しかし、一般相対性理論と量子論を整合させた理論(量子重力理論)はいまだに完成していない。現在、人類の知っているあらゆる物理法則は全て場の量子論と一般相対性理論という二つの理論から導くことができる。そのため、その二つを導くことのできる量子重力理論は万物の理論とも呼ばれている。
量子重力理論は、高エネルギーでかつ時空が大きく曲がっている系を適切に記述できるため、場の量子論と一般相対性理論では適切に議論することのできない宇宙創世初期の状態についても予測できると考えられる。
量子重力理論の有力な候補としては、超弦理論がある。

・曲がった時空上の場の理論(Quantum fieldtheory in curved spacetime

一般に場の量子論においては平坦なミンコフスキー時空における粒子を扱うが、重力の効果を近似的(半古典的)に背景時空(曲がった時空)として導入することにより場の量子論に曲がった時空の効果を近似的に取り入れたものである。
重力子の影響を背景時空として近似しているため、強い重力場のもとでは時空を完全に量子化したような量子重力理論に修正されるべきである。欠点としては、時空が静的なものであるため完全には相対論的ではない。
ホーキング放射はこの理論のもとで予測された。

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一般相対性理論 その5
・重力の繰り込み不可能性
一般相対性理論の内容
基礎とする原理
一般相対性理論は、次の原理を出発点にする。

一般相対性原理(generalprinciple of relativity

物理法則は、すべての観測者(加速系にいるいないを問わず)にとって同じでなければならない。

一般共変性原理(principleof general covariance

物理法則は、すべての座標系において同じ形式でなければならない。(最終的に成立する物理法則はテンソル形式と共変微分で書かれていなければならない)

「慣性系での自由粒子運動は測地線である(inertial motion is geodesicmotion)」という原理 

物理的な力を受けない粒子の描く世界線(world line)は、時空の時間的(timelike)または光的(null)測地線である。

局所的ローレンツ共変性原理localLorentz invariance 

特殊相対性理論の法則は、すべての慣性系の観測者に適用される。
時空は曲がっている(歪んでいる) 
重力の発生原因として考える。
時空の曲率は物質に起因する 
アインシュタイン方程式として結びついた。
一般相対性理論成立の歴史上、等価原理equivalence principleは、スタートポイントとして考えられたが、以上の原理を満たして構築された一般相対性理論から見直すと、一般相対性原理と運動の測地線原理の2つより帰結されるものである。
使用しているリーマン幾何学の特徴
一般相対性理論は、時空を4次元のリーマン空間Riemannian manifold)として扱う。通常、数学でリーマン空間というとユークリッド空間をパッチワークのように張り合わせたものを指し、2点間の距離の2乗が非負の正定値計量と呼ばれる空間である。それに対して、一般相対性理論が扱うのは、時間と空間の意味をもつ座標を含むミンコフスキー空間を張り合わせたものであり、2点間の距離が虚数になり得る不定計量の空間である。このため、擬リーマン空間pseudo-Riemannian manifold)とも呼ばれる。
パッチワークの張り合わせの方法はリーマン接続と呼ばれ、通常の数学でいうリーマン空間と一般相対性理論の擬リーマン空間は同じリーマン接続を使用する。リーマン空間には、次の特徴がある。
距離が方向によらない。つまり、計量は座標のみの関数で、座標の微分には依存しない。
曲率はゼロではないが、ねじれ(捩率)がゼロである。
・計量テンソル
時空のダイナミクスを扱うときに変数となるのは、時空の計量テンソルmetric tensorである。計量テンソルとは、時空の2点間の距離を表すときの各座標の重みに相当する量である。例えば、最も簡単な、平坦な時空(ミンコフスキー時空)での距離表現を座標(t,x,y,z)を使って表すならば、時間方向を負、空間方向を正とする符号系を採用すると、

ds2 = -dt2+dx2+dy2+dz2

となる。これをミンコフスキー計量(metric)といい、計量テンソルgμνは、各座標成分の係数から、

gtt= -1 , gxx= gyy = gzz =1

行列形式で描けば、
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となる。なお、ミンコフスキー計量は、文字η が使われることが多い。

曲がった空間を表現するときは、計量テンソルgμνは、時間と空間の関数となる。以後、添字のμνは、時間と空間座標を表すもので、例えば、μ= 0(時間),1, 2, 3 (空間)成分を動くものとする。また、計量の表現も一般化し、

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のように表す。ここで、上下に現れる同じ添字については常に和をとる、というアインシュタインの縮約記法を用いている。

計量テンソルは、時空の曲率を決定する。リーマン幾何学の基本定理によれば、ローレンツ多様体(すなわち、捩率(torsion)のない計量空間)では、レヴィ・チビタ接続(Levi-Civita connection)と呼ばれる接続(connectionが一意に決まる。レヴィ・チビタ接続は、クリストッフェル記号(Christoffel symbols)と呼ばれる量を一意に決める。周知のようにクリストッフェル記号は記号であってテンサーではない。クリストッフェル記号は、計量の偏微分の組み合わせで表現すると次のようになる。

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ここで、xμは局所座標であり、添字の上下は、計量テンソル(共変テンソル)gμνとその反変テンソルgμνを用いる。

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一般相対性理論 その6
・測地線の方程式
擬リーマン空間における測地線geodesicは、通常の計量空間における定義と同様に、2点間の長さを最小にする曲線として定義される。曲線の長さは、
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で与えられる。ここでの積分は、曲線γ(t)に沿うものとする。ルート内の符号の+は空間的な曲線に対して、負の符号は時間的な曲線に対して適用し、いずれの場合も長さが実数になるようにする。
この長さの極値をもたらす条件を導出すると、測地線の方程式が得られる。局所座標で表現すると、方程式は、
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となる。ここで、xμ(t)は、曲線γ(t)の座標であり、Γμνpは先に登場したクリストッフェル記号である。座標の常微分方程式として得られるこの式は、初期値と初速度を与えれば解を一意に決定する。この式は、曲がった時空における光・粒子の運動方程式である。

・リーマンテンソル、アインシュタイン・テンソル
時空の曲率は、レヴィ・チビタ接続が定義するリーマン曲率テンソル(Riemann tensorRρσμνで表現される。局所座標表現では、次のように書ける。
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物理的には、このリーマン曲率テンソルから、2成分を縮約したリッチテンソルRicci tensorRμνと、さらに添字を縮約したリッチスカラー曲率(Ricci scalarR

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を考えればよく、さらにその組み合わせである、
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が物質分布で定まることをアインシュタインが見いだした。この最後の組み合わせGμνをアインシュタインテンソル(Einstein tensor)と呼ぶ。

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一般相対性理論 その7
・アインシュタイン方程式とその特徴
一般相対性理論の基本方程式は、
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と表され、アインシュタイン方程式と呼ばれる。ここでGμνはアインシュタインテンソル、gμνは計量テンソル、Λは宇宙項、Tμνはエネルギー・運動量テンソルである。非相対論的極限でニュートンの重力理論に収束することから、右辺の比例係数κ(アインシュタインの定数)は、

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となる。G は万有引力定数、 c は光速である。4次元空間を考えれば、テンソルは対称なので、アインシュタイン方程式は、10本の方程式からなる。
アインシュタイン方程式の左辺は時空の曲率を表し、右辺は物質分布を表す。右辺の物質分布の項により時空が曲率を持ち、その曲率の影響で次の瞬間の物質分布が定まる、という構造である。真空の時空であれば、右辺をゼロとすればよい。例えば、重力以外の力を考えないと、次のようになる。
右辺のエネルギー運動量テンソルが増加の場合(アインシュタインの特殊相対論によるとエネルギーと質量は等価であるから、エネルギー運動量テンソルの増加は質量の増加を意味する)、左辺も増加しなければならない。これは時空の曲率が増加することを意味する。アインシュタインの解釈によると重力とは時空の湾曲によるものであったから、曲率の増加は重力の増大を表す。右辺のエネルギー運動量テンソルの増大は質量が増大する事を表し、この方程式によると、それは左辺の時空の曲率、つまり重力がさらに増大することを意味する。
すなわち、重力は非線形で、重力自身は自己増大してゆく。通常の恒星のモデルでは、核融合による、生じる光(電磁波)の輻射圧とガスによる圧力が、重力と釣り合うように恒星の半径が決まる。星が燃え尽きて支える力がなくなると、重力崩壊し、電子の縮退圧で支えられる白色矮星か、中性子の縮退圧で支えられる中性子星、あるいは、ブラックホールになることが予測される。
アインシュタイン方程式の数学的な特徴は、次のような点にある。
座標変換に対し、共変的であるので、「時間座標1+空間座標3」のみではなく、「光の進行方向2+空間座標2」といった分解表現も可能である。
非線形の2階の偏微分方程式(楕円型偏微分方程式および双曲型偏微分方程式)である。
時空構造を論じていながら、時空全体の大域的構造やトポロジーを仮定しない。
得られる解には、特異点が存在する。(特異点定理)
・アインシュタイン方程式の厳密解
アインシュタイン方程式自身に何ら近似することなく得られる解析解のことを厳密解という。良く知られている厳密解に、次のものがある。
シュヴァルツシルト解 
カール・シュヴァルツシルトが1916年に発表した解。真空で球対称を仮定した解で、ブラックホールを表す最も単純な解。
カー解 
ロイ・カーが1962年発表した解。真空で軸対称時空を仮定した解で、回転するブラックホールを表す最も単純な解。
ド・ジッター解 
ウィレム・ド・ジッターが1917年に発表した解。真空で宇宙項がある場合の膨張宇宙解。ド・ジッター宇宙を表す。
フリードマン・ロバートソン・ウォーカー解 
アレクサンドル・フリードマン、ハワード・ロバートソン、アーサー・ウォーカーが1922年に発表した解。時空の球対称性を仮定し、物質分布を一様等方な流体近似した解で、ビッグバン膨張宇宙を表す解。
ゲーデル解 
クルト・ゲーデルが1949年に発表した解。物質分布を規定するエネルギー・運動量テンソルを、回転する一様なダスト粒子として仮定し、ゼロでない宇宙項を仮定した解で、ゲーデルの回転宇宙を表す解。
現在でも、新しい解(解析解)を発見すれば、発見者の名前がつく。ただし、同じ物理的な時空であっても、異なる座標表現を用いて、異なる解のように表現されることがあるので、注意することが必要である。

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一般相対性理論 その8(終わり)
・一般相対性理論の応用
GPS
イメージ 1自動車などの位置をリアルタイムに測定表示するカーナビゲーションシステムはグローバル・ポジショニング・システム (GPS) を利用しており、GPS衛星に搭載された原子時計に基づき生成される航法信号に依存している。 GPS衛星からの信号を受信する装置では、さまざまな要因による補正を行うが、GPS衛星の時計に関するものとして、高速で運動するGPS衛星の運動による時計の遅れ(特殊相対論効果)、および地球の重力場による地上の時間の遅れ、言い換えれば衛星の時計の進み(一般相対論効果)が含まれる(他に地球自転に起因する信号伝播のサニャック効果もある)。
イメージ 2GPS衛星の円軌道速度は秒速約4 kmと高速であるため、特殊相対論によって時間の進み方が遅くなる。一方、GPS衛星の高度は約2kmで、地球の重力場の影響が小さいことから、一般相対論によって地上よりも時間の進み方が速くなる。このように特殊相対論と一般相対論で互いに逆の効果をもたらすことになる。この相対論的補正をせずに1日放置すると、位置情報が約11 kmもずれてしまうほどの時刻差になることから、相対論的補正はGPSシステムの運用に不可欠である。







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アインシュタイン方程式 その1
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アインシュタイン方程式theEinstein equations)は、アルベルト・アインシュタインが1916年に一般相対性理論の中で導いた、万有引力・重力場を記述する場の方程式(Fieldequation)である。アイザック・ニュートンが導いた万有引力の法則を、強い重力場に対して適用できるように拡張した方程式であり、対象とする物理的現象は中性子星やブラックホールなどの高密度・大質量天体や、宇宙全体の幾何学などになる。アインシュタインの重力場の方程式Einstein's field equations of GeneralRelativity)とも呼ばれ、このため EFE とも略される。概略や導出・応用などの詳しい説明は、一般相対性理論の項を参照のこと。
・概要
一般相対性理論によれば、大質量の物体は周囲の時空を歪ませる。すなわち、重力の正体は時空の歪みである、と説明される。その理論的な帰結・骨子となるのが、次のように表されるアインシュタイン方程式である。
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左辺は、時空がどのように曲がっているのかを表す幾何学量(時空の曲率)であり、右辺は物質場の分布を表す。
左辺はまとめてイメージ 2としてアインシュタイン・テンソルと呼ばれ、右辺のTμνはエネルギー・運動量テンソルである。
左辺のRμνはリッチの曲率テンソル、Rはリッチスカラーであり、どちらも時空多様体の計量テンソル (metric tensor) gμνから計算される幾何学量である。
πは円周率、Gは万有引力定数、cは光速度である。
添え字μ,νは、それぞれ時空の座標を特定するもので、時間1次元と空間3次元の4成分を動き、gμν 1 + 2+ 3 + 4 = 10 個の独立成分を持つ 4×4 の対称テンソルである。
表記の煩雑さを減らすために、右辺の係数をアインシュタインの重力定数イメージ 3としてまとめて、

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と簡潔に表されることも多い。
おおざっぱに言えば、星のような物質またはエネルギーを右辺に代入すれば、その星の周りの時空がどういう風に曲がっているかを読みとることができる式である。曲率を表す左辺は計量テンソルgμνの微分で書かれているので、アインシュタイン方程式は計量テンソルについての方程式である。右辺の物質分布を定めれば左辺の空間の曲率が決まる。空間の歪みが決まれば、その空間を運動する物質の運動方程式(測地線方程式)が決まるので、物質分布も変動することになる。具体的には、アインシュタイン方程式は、10本の偏微分方程式を与える。
10本の方程式のうち、4本はエネルギー保存則と運動量保存則に対応するものであり、Gμνの空間成分に関係する残りの6本の方程式が時空の運動方程式に相当する。これらは時間微分2階の偏微分方程式6本(あるいは時間微分1階の偏微分方程式12本)であるが、座標の選択の自由度(ゲージの自由度)が4つ、保存則を満たしながら時間発展を行うための拘束条件が4つあると考えれば、たとえ真空中であっても1階の微分方程式4本(2階に直せば2本)の自由度が残る。この自由度は時空の歪みを周囲に波として伝える「重力波」のモードが2つあることを意味している。

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アインシュタイン方程式 その2(終わり)
・宇宙項
アインシュタインは、1917年の論文で、方程式に「宇宙項」を加えて次のようにした。
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アインシュタインの定数\kappaを用いると、より簡潔に

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となる。Λは宇宙定数を表すが、この項(宇宙項)は1916年のオリジナル論文には含まれておらず、1917年の論文で追加された。宇宙項は、正負の符合によっては、重力に対する反重力(万有斥力)として機能する。
アインシュタインがこの項を導入した理由については諸説あるが、一般に有名なのは、彼自身が信じる静止宇宙モデルを実現するためという説である。1917年論文の宇宙モデルは重力と宇宙項による反重力とが釣り合う静止宇宙だった。当時、宇宙膨張は発見されていなかった。しかしこのモデルは不安定であり、僅かな摂動で膨張または収縮に転じる(静止宇宙とならない)性質を持つことが後にアレクサンドル・フリードマンにより示された。
1929年にハッブルが宇宙の膨張を観測的に示した後、1931年にはアインシュタイン自身により「人生最大の過ち」として消去された。しかしながら、近年の宇宙のインフレーション理論や素粒子物理学との関連の中で、宇宙項(に相当する斥力)を再び導入して考えることが通常行われており、むしろ重要な意味を与えている場合がある。観測的宇宙論において、宇宙膨張を加速させている謎のエネルギーとして、ダークエネルギーが提案されている。ダークエネルギーは方程式上では宇宙項である。
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万有引力 その1
万有引力universal gravitation)もしくは万有引力の法則law of universal gravitation)とは、「地上において質点(物体)が地球に引き寄せられるだけではなく、この宇宙においてはどこでも全ての質点(物体)は互いに gravitation=引き寄せる作用、引力、重力)を及ぼしあっている」とする考え方、概念、法則のことである。(下図参照)
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・歴史
-前史
この万有引力という見方がどのようなものであるか、その正しい位置づけ・真価を理解するには、一旦、この概念が生み出される以前に人々がこの世界をどのようにとらえていたのか、その考え方、世界の見え方(世界観)に寄り添って理解し、そこからどのように変えていったのか、その相違の程度を理解する必要がある。
-アリストテレスの考え方
石を手から離せば自然に地面へと落ちる。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、その原因は、石を構成する土元素(四元素のうちの1つ)が、本来の位置である地へ戻ろうとする性質にあると考えた。土元素が多いものが重い、と考え、それが多いものほど速く落ちる、と考えた。
-中世の考え方
中世ヨーロッパではアリストテレスの考え方が広く知られていたので、人々はそうした見方で世界を見ていた。以下のような考え方である。
我々人間は、それぞれの家に住んでいる。人間は何かの理由で家から離れることがあっても、結局はその家に帰ろうとする。動物も同じだ。地リスは地面に巣穴を持っている。何かの理由があると、たとえば危険を感じると、穴から一時的に離れることはあるが、危険がさればやはりその巣穴に戻ろうとする。鳥もそうだ。鳥も何かの理由、例えば食べ物を探すために一時的に巣から飛び立つことがあるが、結局はその巣へ帰ってくる。命あるものは全て、それぞれの性質に応じて本来の位置というものをもっていて、一時的にそこから離れることはあっても、結局はそこへ帰ろうとするものだ
生き物がそれぞれ本来の位置というのを持っているように、物(無生物)も、それぞれの性質に応じて本来の位置を持っている。たとえば小石はその本来の位置を地に持っている。焔はその本来の位置を天上に持っている。
例えば、小石を空中に投げれば、小石は本来の位置から離されることになり、小石は一旦は抵抗を示しながら上に上がるが、結局はできるだけすみやかに、その本来の位置である地に戻ってこようとする。
だが、無生物でも、その本来の位置を持たないと思われる存在がある。天に見える天体である。天体は永久に同じ運動を繰り返すばかりで、その本来の位置を持っていないように見える。そこで中世の人々は、地上の存在と天の存在は本質的に異なっていると考え、地上の存在はただの存在であり、それに対して天の世界に属する存在、永遠に運動を繰り返す天体は、いわば霊的な存在である、と考えた。中世の人々は、天の世界は地上とは全く別の法則が働いている別世界なのだ、と考えていたのである。また、天の世界の、地上とは異なった性質を説明するために、地上は四元素でできているのに対して、天体は第五元素でできている、とも考えていた。
-地上の範囲での、従来の自然学への疑念と改良
さて、アリストテレスの考え、「土元素が多いものが重い、それが多いものほど速く落ちる」については、パドヴァ大学のベネデッティ(Giambattista Benedetti1530-1590)が異論を唱えた。またオランダのステヴィン(Simon Stevin1548-1620)は、重さが10倍異なる二つの鉛玉を9メートルほど落下させ、ほとんど同時に落ちることを確かめて、このアリストテレスの理論に異議を唱えた。
自然学者ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)も、上記の中世の考え方(の一部)に疑問を投げかけた。(ところで、先行する14世紀の自然学者ビュリダンはインペタス理論(いきおい理論)を提唱し、その理論では、物体を投げると手からインペタスが物体の内部に移ることで飛び続け、空気や重さなどの抵抗により内部要因のインペタスが減り、落下に伴ってインペタスが増加し、ますます速く落ちるようになる、と説明した。)ガリレイは、当初、このインペタス理論を採用していたが、やがてガリレイは物体の運動をモメント(重さ以外の、距離や速度などをひとまとめに呼ぶ、ガリレオによる概念)という考え方で理解しはじめ、(内部要因の変化で説明する)インペタス理論は採らなくなった。では落下速度はどのような理屈で増加するのか? 落下距離に比例するか? 落下時間に比例するか? という点で、(経緯が詳しくは分かってはいないらしいが)1600年ごろガリレイは悩み悪戦苦闘したらしいが、1604年には「落下速度は時間に比例する」という仮説にたどり着いた、という。こうしてガリレイは動力学に貢献した。ガリレイは斜面で球を転がす実験を多数行い、水平面では等速になることから、「加速・減速の外的原因が取り去られている限り、いったん運動体に与えられたどんな速度も不変に保たれる」という考え方をするようになった。これは現代で言う慣性の法則に近いものではあるが、ただガリレイは、それは地上の物体にだけ通用する法則であって、天体には通用しないと考えていた。ガリレイも古代ギリシャ以来の考え方をなぞり、天体は天体で別の性質を持っている、円運動をする性質を持っているのだ、と考えていたのである。

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万有引力 その2
・ニュートン、フック、ハリーらの活動
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-ニュートンの発想~ガリレオ動力学の天体への適用~
一般には、アイザック・ニュートン(1642-1727)が1665年に、地上の引力が月などに対しても同様に働いている可能性があることに気付いた、とされている。
スタックレーの著書『回想録』には、スタックレーが、ニュートンが死去する前年の415日にロンドン西方の彼の自宅を訪問した時、昼食をともにしたあと庭に出て数本のりんごの木陰でお茶を飲んでいたところ、話の合間にニュートンが「昔、万有引力の考えが心に浮かんだ時とそっくりだ。瞑想にふけっていると、たまたまりんごが落ちて、はっと思いついたのだ」と語った、と書いてあるという。(ただし、りんごの逸話はしばしば伝説ともされることもあり、内容の真偽のほどは確かではない。)
・万有引力の法則の証明
-加速度による証明
月は地球を中心として円運動している。つまり、円運動であるので中心に向う加速度を生じているはずである。ニュートンの時代、月までの距離(約38kmや月の公転周期27.32日=2360448、地球の半径6370kmはすでに確認されていた。これらの値を使用して月の加速度を求めてみよう。円運動の加速度の式を以下に示す。
 Rは月まで距離、vは公転の早さ、つまり、公転軌道の距離(R倍したもの)を公転周期で割ったものである。
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これに具体的に数値を代入してみると
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このようにして求めることができた。ここで注目して欲しいのは、上記は万有引力の法則を使用せずに月の加速度を求めたということである。
次に万有引力の法則を使用して月の加速度を求めてみる。
万有引力の式

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が正しいのなら、この式から導出される月の加速度も約0.0027m/s2となるはずである。
地球の引力の影響を受けた物体には、重力加速度が生じる。その値は質量の大小には無関係に一定で約9.78m/s2である。地球の引力は月にも及び、月を地球に向って引きつけようとする加速度αmを生じているはずである。月までの距離は地球の半径の60倍なので、加速度αmは地表付近での重力加速度の1/602に相当する。万有引力は距離の2乗に反比例すると仮定したのでこれを計算すると
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となる。
つまり、重力加速度と加速度αmは一致するので万有引力は正しいと判断できる。
 

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万有引力 その3
-同時期の、フックによる引力に関する活動
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ロバート・フックの近年の想像画。1665年に引力を論じ、1666年に王立協会で引力に関する講演を行い、1679年には引力に関する意見を求める手紙をニュートンに送った。(存在したはずの唯一の肖像画は、その後ニュートンとの確執の中で失われたと推測されている)

ロバート・フックは1665年の『顕微鏡図譜』で引力の法則を論じた。フックは1666年に王立協会において"On gravity"(引力について)と題して講演をし、移動する物体は何らかの力を受けない限りそのまま直進すること(慣性の法則)および引力は距離が近いほど強くなる、という法則を追加した、とされる。またフックは、1666年に王立協会と交わした書簡において、世界のしくみについて次の3点を述べたと、ダガルド・スチュワート(Dugald Stewart)は自著Elements of the Philosophy of the Human Mindにおいて指摘している。

全ての天体は引力(gravity)によってその各部分を中心に引きつけているだけでなく、天体間で相互に引き付けあって運動する。
外部から力が継続的に加わらない限り、天体は単純に直進し続ける。しかし、引力によって天体は円軌道、楕円軌道などの曲線を描く。
この引力は天体同士が近いほど強くなる。距離と引力の強さの関係がどうなっているか、今のところ私にも発見できていない。
1679年のこと、アイザック・ニュートン(1642-1727)のもとに、王立学会の書記ロバート・フック(1635-1703)から、16791124日付けの手紙が届いた。「惑星の運動に関する私の仮説について、あなたの意見を学会機関紙に投稿してほしい」というものだった。ニュートンは当時、光学の研究に忙しくて、フックがその5年前に惑星の運動を説明するための仮説を学会に提出していたことも知らなかったという。当時、惑星の運動については、ケプラーが観測値によって算出した三つの法則があることは、学者たちには知られていた。第一法則惑星は太陽を焦点とした楕円軌道を描く。第二法則惑星は太陽に近い軌道では速く、遠いところではゆっくり動き、惑星と太陽とを結ぶ直線が等しい時間等しい面積を掃くように動く(面積速度一定の法則)。第3法則惑星が太陽を一周する時間(周期)の2乗は、惑星と太陽との平均距離の3乗に比例する。
では、なぜ惑星はこのような動き方をするのか? 当時の自然哲学者たちは、ガリレイたちが作り上げてきた地上の動力学を使おうと考えるようになっていたという。ガリレイは、外力が働かなければ地上の物体は等速直線運動をつづける、という考え方をしていた。ところが惑星が直線ではなく楕円を描くということは、太陽の方向に働く引力がある、ということになるという。
フックが手紙でニュートンに意見を求めた点は、この楕円運動を作り出す、太陽に引き寄せる力、引力についてであり、この引力がどのような性質のものか?という点であったという。この手紙を見てニュートンは13年ほど前にウールソープ(ニュートンの家)で試してみた、地上の重力が月にまで及んでいると想定して行った計算、をやり直してみることにしたという。
それは例えばおよそ次のようなものであった。
まず、月に対して何の力も働かなければ、月はガリレオの慣性の考え方によれば直線方向にAからBまで1分間に37.4km進む、と計算される。(月を円軌道とし、地球一周に277時間43分かかることから算出)。だが、月はBではなくの位置にいる。つまり1分間にBB´だけ「落下する」と考えることができる。その長さは直角三角形AOBにピタゴラスの定理を用い計算でき、毎分4.9mの落下、となる。毎秒ならば、その3600分の14.9/3600となる。ところで地上の落下は、ガリレイが見出した法則により、毎秒4.9mである。月の位置で働く引力は、地球上の3600分の1まで弱まっている、ということになる。月までの距離は地球半径の60倍だから、結局、この引力というのは距離の2乗に反比例しているということになる(逆2乗の法則)。
ところでホイヘンスによる振り子の研究は、1659年ころの円運動の研究と結び付き、そこでの中心の引力というのは半径に比例し、周期の2乗に反比例する、ということが判り、これが1673年の『振子時計』で公表されたので、これとケプラーの第三法則を結びつければ、引力は半径の2乗に反比例する、ということはたやすく算出できるようになっていた。
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エドモンド・ハリー。ニュートンの体系を出版するように応援し続けた。
16841月のある水曜日、ロンドンのコーヒーハウスにあつまったロバート・フック、天文学者エドモンド・ハリー、王立学会会長兼建築家クリストファー・レンは、残る問題となった、逆2乗の引力をもとにして、いかにケプラーの第一、第二法則を導くことができるか、ということを話題にした。同年8月、ニュートンを大学で訪問したハリーは、ニュートンがすでに独自にこの問題を解決していたことを知り、11月に、それを出版することをすすめ、『自然哲学の数学的諸原理』の核心部分が出来てゆくことになった。
フックは、引力については自分がニュートンに教えたのだとし、二人の間で対立が生じることになった。
その後ハリーが資金面で貢献してくれたり、あるいはフックとの先取権をめぐるいざこざの仲裁を行ってくれたお陰もあって、ニュートンはそれの刊行にこぎつけることができたのであったという。

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万有引力 その4
・『自然哲学の諸原理』における、万有引力という考え方の公表
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ニュートンは成果を『自然哲学の数学的諸原理』(プリンキピア)にまとめあげ、それは1687年に刊行された。同書は全三篇構成であるが、惑星の運動が主として扱われているのは第三篇の「世界体系について」である。例えば、「月は地球に向かって重力で引かれる」という、ニュートンがウールスソープ時代に思いついた命題は、第三篇の命題4において提示されており、逆2乗の引力が木星とその衛星、5つの惑星と太陽の間でも働くことを、ケプラーの第二・第三法則からこの引力を逆に導き出しつつ主張した。さらに命題7で、重力は物の量(質量)に比例することを述べ、それにより、第三篇の命題8において、この宇宙ではどこでも、物質には互いに物質の量の積に比例する逆二乗の引力が働いている、と主張した。つまり万有引力の法則があると主張したわけである。
 『プリンキピア・マテマティカ』(Principia Mathematica:数学原理)は、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドとバートランド・ラッセルによって書かれ、1910年から1913年に出版された、数学の基礎に関する3巻の仕事である。それは、記号論理学において、明示された公理の一組と推論規則から数学的真理すべてを得る試みである。『プリンキピア』のための主なインスピレーションと動機の1つは論理学に関するフレーゲの初期の仕事で、それがパラドックスをもたらすことをラッセルが発見したのである。
プリンキピアでは、精巧なタイプ・システム(階型理論)を造ることによって、それが避けられた:要素の集合は、要素それ自身のタイプとは異なるタイプからなる(集合は要素ではない:1つの要素は集合ではない)、「すべての集合の集合」や同様の構造を語ることはできない、それはパラドックスをもたらす。
プリンキピアは、数学論理と哲学においてアリストテレスの『オルガノン』以来もっとも重要で独創的な仕事の一つと、広く専門家に考えられている。
モダン・ライブラリーは、この本を20世紀のノンフィクション書籍上位100のリスト(Modern Library 100 Best Nonfiction)の23位に位置づけた。
・築かれた基礎の範囲
プリンキピアは、集合論、基数、序数および実数だけをカバーした。実数解析からのより深い定理は含まれていなかったが、知られていた数学の多数が、適用された形式主義で原理的には展開できることが、第3巻の終りまでに専門家に明確になった。そのような展開がどんなに長くなるかもまた明確になった。幾何学の基礎に関する第4巻が計画されていたが、第3巻が完成したとき、著者たちは知的に枯渇したことを認めた。
・無矛盾性と完全性
残った疑問は
プリンキピアの公理から矛盾が導かれるかどうか(無矛盾性の問題)
証明も反証もされない数学の言明が体系内に存在するかどうか(完全性の問題)
であった。命題論理自体は無矛盾で完全であると知られていたが、同じことはプリンキピアの集合論公理に関しては確立されていなかった。(ヒルベルトの第2問題を参照)
ゲーデルの不完全性定理は、これら2つの関連する問題に予期せぬ光を投げかけた。
ゲーデルの第1不完全性定理は、プリンキピアが無矛盾かつ完全であることはできないことを示した。定理によれば、プリンキピアのような、十分に強力な論理体系には、それぞれ本質的に「言明Gは証明不可能である」と読める言明Gが存在する。このような言明は、キャッチ22とよばれる種類であり、Gが証明可能であればそれは偽で、したがって体系は矛盾しており、Gが証明不可能であればそれは真で、したがって体系は不完全である。
ゲーデルの第2不完全性定理は、基本算術を展開するどんな形式体系も、それを使って自己の無矛盾性を証明することはできない、と言う。
したがって、「プリンキピアの体系は無矛盾である」という言明は、体系内に矛盾がある(この場合、それが真かつ偽と証明されうる)のでない限り、プリンキピアの体系内で証明することはできない。
・批判
ウィトゲンシュタインは、(たとえば、数学の基礎に関する1939年ケンブリッジでの講義で)さまざまな論拠でプリンキピアを批判した。たとえば、
それは算術のための基本的な基礎を明らかにすることを意味する。しかし、それは基本的な数えることのような、我々の日々の算術練習である。数えることとプリンキピアの間に不一致が繰り返し起これば、それは日々の数えることの誤りの証拠としてではなく、プリンキピアにおける誤りの証拠として扱われるだろう(たとえば、プリンキピアは数や足し算を正しく特徴づけなかったと)。
プリンキピアの計算方法は、実際には非常に小さい数について使えるだけである。大きい数(たとえば10億)を用いて計算するには、この公式はあまりに長くなり、いくつかの近道の方法を使わねばならないだろうが、その方法は疑いなく、数えることのような日々の技術に(または帰納法のような基本的でないしたがって疑わしい方法に)依るだろう。したがって再び、プリンキピアは日々の技術に依っているのであり、逆ではない。
ただし、ウィトゲンシュタインはプリンキピアがそれにもかかわらず、日々の算術のある面をより明確にするかもしれないと認めた。
・記号
プリンキピアで使用される主な記号
記号
意味
公理や定理の肯定。
Df
定義の印。定義の前に書く。
. : :. :: 
など
記号の有効範囲を定めるための点。現代の論理学ではかっこ。
\smallsmile
または
もし・・・ならば
~
・・・でない
・・・である時、その時に限り
.
かつ
存在する there exists 例.(x)φx φxであるようなxが存在する。
( )
すべての for all(every) 例.(x)φx あらゆるxについてφxである。現代記法では
=
同一性
xRy
xyに対して関係Rにある。
R'y
xRyであるようなx
 

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万有引力 その5
・ニュートン力学と重力
古典力学
 
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運動の第2法則
 ニュートンは『自然哲学の数学的諸原理』において自らの力学体系を開示したわけである。この力学体系をニュートン力学という。
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 Principia1846-513、 落体運動と周回運動の統一的な見方が示されている
ニュートン力学そのままの用語では、現代では理解しにくい点もあるので、以下では、古典力学の現代版の用語や記述方式を用いつつ、万有引力を解説する。
ニュートンは、太陽を公転する地球の運動や木星の衛星の運動を統一して説明することを試み、ケプラーの法則に、運動方程式を適用することで、万有引力の法則(逆2乗の法則)が成立することを発見した。これは、『2つの物体の間には、物体の質量に比例し、2物体間の距離の2乗に反比例する引力が作用する』と見なす法則である。力そのものは、瞬時すなわち無限大の速度で伝わると考えた。式で表すと、万有引力の大きさFは、物体の質量をM,m物体間の距離をrとして、
F = G x Mm / r2
となる。 は万有引力定数と呼ばれる比例定数で、
 
である。(因みに「この式が全ての物体の間で成立する」と考えると「木から落ちるリンゴにも適用することができる」と考えることができるのである。)
地球の質量をM、リンゴの質量をm、地球の半径をRとすれば、万有引力の大きさは、
F = G x Mm / r2であり、リンゴの運動方程式は、加速度をgとして、
mg = G x Mm / r2
となる。すなわち、地球重力による加速度(重力加速度)は
g = GM / r2
となり、すべての物質について同じ値になる。
地球表面では重力加速度は約9.8m/s2であり、地球の半径は約6400kmであるので、上記の式から地球の質量を
 
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のように求めることができる。同様に、他の惑星上での重力加速度も求めることができる。
・ありがちな誤解
 ちなみにニュートンによる「万有引力の法則の発見」を“重力の発見”だと解釈してしまう例があるが、これは間違った解釈である。「リンゴが木から落ちるのを見て、ニュートンは万有引力を発見した」などとする、単純化された、巷に流布している逸話も、この誤解を広める原因になっている可能性がある。ニュートンは「リンゴに働く重力」を発見したわけではない。「リンゴに対して働いている力が、月や惑星に対しても働いているのではないか」と着想したのである。地上では物体に対して地面(地球)に引きよせる方向で外力が働くことは、(ガリレオなどの貢献もあり)ニュートンの時代には理解されていた。ニュートンが行った変革というのは、同様のことが天の世界でも起きている、つまり宇宙ならばどこでも働いている、という形で提示したことにある。「law of universal gravitation 万有引力の法則」という表現は、それを表している。
・評価
 万有引力の考え方は大きな議論・非難を呼んだ。同著発表当時、物体の運動の説明というのは、ヨーロッパ大陸側であれイギリス側であれ、近接作用論で考えられていた。プリンキピアはそれに対して異論を唱える形で万有引力という遠隔作用論を大々的に提示した形になった。
これはライプニッツおよびその一派らから反発を呼び、「オカルト的な質を持ち込んでいる」「オカルト的な力を導入している」と非難されることになった。大陸側の学者らはライプニッツの考え方を支持していたので、ドーバー海峡を隔てて大陸側の学者たちと議論が数十年以上も続くことになった。ニュートンは『自然哲学の数学的諸原理』の第二版発行の時点では同版に「Hypotheses non fingo  (我、仮説を立てず)」との記述を書き加えた。
もっとも、第二版にHypotheses non fingoとは書いたものの、ニュートン自身は実際にはその後、万有引力が起きる仕組みについての検討・考察を行っており、重力というのはエーテルの流れが引き起こしているのかも知れない、とも考察した。すなわち近接作用論に回帰するような仮説立て、推察も行っていたのである。
現代の初学者向けの科学史などでは、こうした複雑な経緯がすっかり忘れ去られ美化され、「ニュートンは原因の哲学的な思弁を避け、数的な関係の記述にとどめるという新しい方法論を提唱した」「力学の基礎、ひいては近代科学の考え方の基礎となった」とだけ解説がされていることもある。


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万有引力 その6(終わり)

・万有引力の法則、その後

イギリス側の自然哲学者はニュートンの説を支持をする者が多かったが、その後、数十年以上の長い年数の議論を経て徐々に大陸側でも支持者が増え、やがては物理学においては自然界に存在する基本的な力だと見なされるようになっていった。

後の時代で発見された電磁気力では、引力と斥力がある、とされているのに対して、重力(万有引力)では引力しか存在せず、斥力は存在しない。

現在では、重力と呼ぶ場合には、質量に加速度を与える力全般を意味する。重力には、地球自転の遠心力のような慣性の力や、一般相対論で予言される慣性系の引きずりによる力も含まれるが、それらは万有引力ではない。

重力(または重力相互作用)の正体は、アルベルト・アインシュタインの一般相対性理論では、質量を持つ物体が引き起こす時空の歪みである、と説明された。これに対して、'万有引力'という用語は、ニュートンの定式化した重力の意味で用いられる傾向にある。

質量を持つ物体が自然発生的に引力を獲得する事は広く知られているが、そのような現象が起きる理由は一切解明されていない。

・一般相対性理論と重力

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アインシュタインは、光速度に近い場合の力学として、1905年に特殊相対性理論を発表した後、加速度運動を含めた相対性理論の構築に取り掛かかった。そして重力場を時空の幾何学として取り扱う方法を模索し、1916年に一般相対性理論を発表した。

アインシュタインの重力場の方程式(アインシュタイン方程式)では、万有引力はもはやニュートン力学的な力ではなく、重力場という時空の歪みである、と説明されるようになった。また、重力の作用は、瞬時ではなく光速度で伝えられる、とされるようになった。

ニュートンの万有引力の法則では、質量を持った物体間の力であるとされるので、質量を持たない物質には万有引力は存在しないこととなる。一般相対性理論を採用すると、重力が時空の歪みであるとすると、光の軌道もまた重力によって曲がる事を意味する。これはアーサー・エディントンによる観測で実証されることになった。

一般相対性理論は、非常に強い重力が働く場を記述する。太陽系であれば、ニュートン力学に若干の補正項が加わる程度なので、ニュートン力学はその意味で近似的に正しいと考えて差し障りない。例えば前述の光の軌道の歪みについても、太陽の近傍においてようやく観測され得るものである

アインシュタイン方程式は、通常の物理の方程式と同様、時間反転に対して対称なので、宇宙全体に適用すると、重力の影響で収縮宇宙の解と共に、膨張宇宙の解が得られる、という。

一般相対性理論の発表当時は、ハッブルによる膨張宇宙の発見前で、アインシュタインは「宇宙は静的で安定している」と考えていた。自身の方程式が、動的な宇宙を予言したため、アインシュタインは万有引力に拮抗する万有斥力があると想定し、重力場の方程式に宇宙項を加えることで、静的な解が存在できるように重力場の方程式を修正した。

後に彼は宇宙項を「生涯最大の過ち」と悔いた。

「だが、宇宙項のアイデアは現在の宇宙論では、宇宙のインフレーションや宇宙の加速膨張を説明するものとして復活していると言える」と言う。

・素粒子物理学と重力

素粒子物理学では、自然界に存在する四つの基本的な相互作用のひとつとして、素粒子間に働く重力相互作用とみなされ、重力子(グラヴィトン)という素粒子により媒介するとみなされるが、素粒子としての重力子は現在のところ未発見である。素粒子間の重力相互作用は無視できるほど小さいが、素粒子と地球との間の重力を考慮する必要があることもある。

(※「ひとつの原子に存在する電子の数と陽子の数は同じで、種類によって数が決まっている。により、やはり電荷を帯びた電子が運動する事により電磁波が生まれ、それが引き付けあう力(反発力より若干大きい為)が発生し引力として認識される、とする説もある。)

・量子重力

近年では、量子力学と一般相対性理論の結合、重力の量子化が試みられ、量子重力と呼ばれている。格子重力などさまざまな試みがあるが、実現は困難である。量子重力を宇宙論に適用する試みは、量子宇宙論と呼ばれる。


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重力場

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重力場gravitational field)とは、万有引力(重力)が働いている場のことである。

重力および重力場を記述する手法としては、ニュートンによる重力理論にもとづく手法と、アインシュタインによる一般相対性理論にもとづく手法がある。

ニュートンの重力理論によれば、ある質量m0に働く重力F-は、遠距離にある別の質量miによる重力の重ねあわせであり、その重力は質量に比例し距離の 2 乗に反比例する。

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これは、質量m0が、位置r0-に存在する重力場f-(ro-)から力を受けると解釈することができる。(記号-は、文字の上に”→”を付す)この場合、ニュートン重力場は

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となる。

一方、一般相対性理論によれば、時空に質量やエネルギーや運動量が存在すると、時空がゆがむ。ゆがみはアインシュタイン方程式

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で表される。

ゆがんだ時空中では、物体の軌跡や光線が曲がる。これは質量やエネルギーや運動量のつくる重力によって軌跡や光線が曲げられたとみなされ、時空のゆがみが重力場と解釈できる。

ただし、一般相対性理論の基本原理である等価原理によると、加速する系における物体の運動と、重力場のなかでの物体の運動は(局所的には)区別できない。つまり、万有引力の源となる質量やエネルギーや運動量のない時空においても、座標変換によって重力場を作ることができることになる。

質量やエネルギーや運動量によってゆがんだ時空のみを重力場とみなすか、それとも「ロケットが加速すると重力場が生じる」という言い方も許容するか(座標系の取り方によって計量テンソルがミンコフスキーの計量テンソルからずれた時空も重力場とみなすか)という立場の違いによって、一般相対性理論における重力場には解釈の余地があることになる(もちろん、立場のちがいによって軌跡や光線の計算結果に差が出ることはない)。

 

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時空

時空spacetime)は、時間と空間を合わせて表現する物理学の用語、または、時間と空間を同列に扱う概念のことである。時空間time and space)ともいう。

・概要

イメージ 1かつてニュートンは時間と空間は絶対的なものであるとした。空間とは物理現象が起きる入れ物であり、時間は宇宙のどこでも一様に刻まれるもの、と考えた。しかし、アインシュタインは相対性理論を構築し、時間と空間を合わせたものを四次元時空と呼び、四次元時空こそが物理学の対象だと導いた。具体的には、以前は独立に存在すると考えられていた時間と空間が、ローレンツ変換によって入り混じり(特殊相対性理論)、時間の進み方は運動状態の違う観測者では異なることが示された。また、一般相対性理論によって、時空は物質の存在によって歪み、この歪みが重力の正体であることが説明された。どちらの概念も、現代物理学では標準として受け入れられている。

素粒子物理学や場の理論など現代の理論物理学では、さらに空間の次元を広げた高次元時空で基礎方程式を考えることで、数学的に矛盾をなくしたり、美しい形式としてまとめる工夫が行われている。この考えを発展させて、初期宇宙を考えるときに空間の次元を上げて高次元宇宙を考える試みが1980年代から積極的に行われている。また、1999年にリサ・ランドールとラマン・サンドラムによって提案されたブレーンワールドモデルは、『我々の住む4次元時空は、重力だけが伝播できる5次元時空中の膜のような4次元断面である』と考えることで、基本的な力のヒエラルキー問題を解決しようとする試みである。いずれも、余剰次元は、空間の次元である。

一般相対性理論と量子力学を融合する量子重力理論構築のステップとして、時空の量子化の手法がいろいろ試みられている。このような現状下にあり、本理論の範疇にある超弦理論は、有力な手法として期待されている。なお、不確定性原理を時空に当てはめるならば、時空の大きさがプランク長程度のものを考えるとき、時空自身は、存在時間がプランク時間程度で生成・消滅する物理的対象となる。このような描像は、時空泡 (space-time foam) と呼ばれ、1955年にジョン・ホイーラーによって提案されているが、この時空泡が一般相対性理論と量子力学の両立を困難にしている本質である。これは従来の粒子を点として扱うことにより、不確定性原理の帰結として、上記のミクロスケールにおいて現出する量子的混乱状態であるが、超弦理論では、基本構成要素をゼロ次元の点粒子ではなく、1次元の"ひも"とすることにより、両立可能となる理論でもある。


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プランク長

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プランク長Planck length)は、長さのプランク単位である。記号lpで表され、コンプトン波長をπで割ったものとシュヴァルツシルト半径とが等しい長さとなる質量で定義される。その値は次のようになる。

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ここで、\hbarはディラック定数、G は万有引力定数、c は真空中の光速度である。
・概要
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この単位は自然単位による計測系を作ろうとしていたマックス・プランクによって作られた。プランク長はプランク質量に基づくものである。この単位が提唱されたときには量子力学や一般相対性理論は知られていなかったが、後に、プランク長の距離では重力が量子力学の影響を示すことが明らかとなった。

観測可能な宇宙の推定の大きさ(共動距離) ( 直径 930億光年 = 8.798 × 1026 メートル ) は、5.444 × 1061プランク長である。量子カオス系においてはプランク長よりも小さいスケールが現れることがある。大きさがないといわれている素粒子のシュヴァルツシルト半径はプランク長以下であるが、プランク長以下の長さが存在するか否かは判明していないことなどから実際に素粒子がシュヴァルツシルト半径を形成しているかどうかは定かではない。

 

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特異点

特異点(singularityは、ある基準 (regulation) の下、その基準が適用できない (singular) 点である。したがって、特異点は基準があって初めて認識され、「 - に於ける特異点」「 - に関する特異点」という呼ばれ方をする。特異点という言葉は、数学と物理学の両方で用いられる。

イメージ 1・例

複素解析における正則関数の正則性 (regularity) に関する特異点とは、複素関数で微分不可能な点をさす。具体的には、可除特異点 (removable singularity)、極 (pole)、真性特異点 (essential singularity)3種の孤立点がある。有理関数 1/x に於ける特異点は、x = 0 であり、これは 1 位の極である。

局所的な変換が一対一を保たない点。円座標平面 (r,θ) に於ける特異点は、r = 0 である。 

宇宙物理学では重力に関する特異点が考えられ、重力の特異点 (gravitationalsingularity) という。ブラックホール内には、時空に於ける特異点が存在する。(特異点定理参照)

 重力の特異点(gravitationalsingularityは、概略的には「重力場が無限大となるような場所」のことである。

重力場の量には曲率や物質の密度の量について含んでいる。時空の特異点で重要なのは曲率特異点と円錐特異点である。また、特異点が事象の地平面に含まれているかどうかで分類することが出来る。

一般相対性理論の解または他の重力理論(超重力と呼ばれることもある)はしばしば計量が無限大に発散するような点を結果として与えることがある。しかし、それらの多くの点は実は

完全に正則である。さらに言えば、その無限はその点に対して不適切な座標系を用いた結果にすぎな

い。よってその点が特異点であるかどうか確認する必要がある。例として、回転していないブラックホールを表すシュヴァルツシルトの解を挙げる。ブラックホールから十分に離れた系の座標系で、事象の地平線での計量は無限大となってしまう。しかしながら、事象の地平線上の時空は正則である。正則性は他の座標系(クルスカル座標系 (Kruskal-Szekerescoordinates) ではその点の計量が滑らかであることから分かる。一方で、ブラックホールの中心は、同じように計量は無限大となる、解は特異性が存在することを示している。

回転していないブラックホールの特異点は一点に発生する。それは点の特異点と呼ばれる。回転しているブラックホールのカー解では、特異点はリング状に発生する。

 特異点定理またはペンローズ・ホーキングの特異点定理(Penrose–Hawkingsingularity theorems) は、重力は重力の特異点(gravitationalsingularity)を必要とするかどうか、という問いへの、一般相対性理論による結論のまとめである。

これらの定理は、物質は妥当なエネルギー状況 (energy condition) を満たしているため、この問いに肯定的に回答している。これは、妥当な物質をともなう一般相対性理論の厳密

解は、一般相対性理論が崩壊する特異点を含んでいる、ということを示している。

1960年代、時空のもつ大域的構造の研究に取り組んだホーキングとペンローズによって証明された特異点定理には、いくつかのヴァージョンがある。

簡単に説明すると、「光的捕捉面 (trapped null surface) が存在しエネルギー密度が負ではない場合、有限で延長不可能な測地線が存在する」というステートメントである。後半は時空多様体における「特異点」の数学的な定義である。ほとんど一般的な状況で成立するので、一般相対性理論のもとでは特異点の存在は避けられない、と理解してよい。ただし、特異点定理は、特異点の存在について述べるだけであり、特異点の形状や位置を特定するものではない。

物理法則の視点からは、特異点の存在は、因果律を破壊する原因になるので避けたいものである。ブラックホールなどの特異点は、事象の地平面で覆われることで問題にならないが、事象の地平面で覆われない「裸の特異点」が出現すれば物理的に厄介である。ペンローズはこの立場から、宇宙検閲官仮説(cosmic censorship conjecture) を提唱した。自然界には裸の特異点は存在しないだろう、という予想である。しかし、この仮説の真偽については、明らかではなく、特殊な状況の数値シミュレーションでは裸の特異点が出現する、という報告もある。

相対性理論の示す特異点はあくまで古典論の範囲においてであり、量子力学的効果が無視できなくなる領域では相対性理論は破綻すると考えられている。したがって、量子効果

 を含めた特異点の考察は、ペンローズとホーキングの特異点の範囲外になる。相対論と量子論を融合する理論は量子重力理論と呼ばれており、この理論が特異点を解消、あるいは説明するものと考えられている。量子重力理論は現在多くの理論物理学者が構築中である。


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