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Channel: アンディマンのコスモロジー (宇宙論)
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出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
恒星 その3
-形成と進化
恒星は、周囲より僅かに物質の密度が高い(それでも地球上の実験室で作ることができる真空よりはずっと希薄な)領域である分子雲から生まれる。分子雲の近くで超新星が爆発したり恒星が近くを通過したりするなどして分子雲に擾乱が起こると、その衝撃波や密度揺らぎによって分子雲の中に圧縮される部分が生じ、重力的に不安定になり収縮していく。(大質量星が作られると、その周囲の分子雲が星からの紫外光で電離されて散光星雲(輝線星雲)を作ったり、強烈に照らし出されて反射星雲として観測されたりするようになる。このような星雲の例として、有名なオリオン大星雲やプレアデス星団の周囲の青い星雲などが知られている。)
ガス塊の質量が十分大きいと、ガス塊は自己重力が圧力に打ち勝って収縮を続け、次第に内部の温度が上昇し、やがて熱放射で輝くようになる。これが原始星である。
原始星の中心温度が数百万度から約1000万度に達すると、中心で核融合反応が始まる。すなわち、4個の水素原子を1個のヘリウム原子に変え、エネルギーを発生させることができるようになる。するとこれが熱源となって圧力を発生し、重力による収縮が止まる。この段階の恒星を主系列星という。恒星は一生のうち約90%の時間を主系列星として過ごす。
質量が太陽の約8%よりも小さく、核融合反応を持続することができない星(褐色矮星と呼ばれる)は、自らの重力により、数千億年(宇宙が誕生してから現在までの時間よりも長い)という極めて長い時間をかけて、位置エネルギーを熱エネルギーに変換しながらゆっくりと収縮していく。最後にはそのままゆっくりと暗くなっていき、黒色矮星へと移っていく。
褐色矮星よりも重いが質量が太陽の46%よりは小さい恒星(赤色矮星と呼ばれる)は、核反応が遅く数千億年から数兆年かけて燃料である水素を使い果たした後、ヘリウム型の白色矮星になるとされている。
赤色巨星の断面図
大部分の恒星は、燃料となる中心部の水素をほぼ使い果たすと、外層が膨張し巨大な赤い恒星に変化していく。これは赤色巨星と呼ばれる。(約50億年後、太陽が赤色巨星になった時には、金星を呑み込むほどに膨張すると言われる。)やがて核の温度と圧力は上昇し、ヘリウムが炭素に変わる核融合が始まる。恒星が十分な質量を持っている場合は、外層はさらに膨張して温度が下がる一方、中心核はどんどん核融合が進み、窒素、酸素、ネオン、マグネシウム、ケイ素、鉄というように、重い元素が形成されていく。
太陽程度の、平均的な質量を持った恒星では、中心核での核融合反応は窒素や酸素の段階で止まり、外層のガスを放出して惑星状星雲を形成する。中心核は外層部の重力を支えきれず収縮する、収縮するとエネルギーを生じ再び膨張する。こうして膨張収縮を繰り返す脈動変光星となる。高密度になったものの、もはや核融合を起こすことができなくなると縮退物質が残る。これは白色矮星と呼ばれる。白色矮星はゆっくりと熱を放出していき、極めて長い時間をかけて、黒色矮星になっていく。
太陽の8倍よりも質量が大きい恒星では、密度が比較的小さいために中心核が縮退することなく核融合反応が進んで次々と重い元素が作られて行く。最終的に鉄が生成されたところで、鉄原子は安定であるためそれ以降は核融合反応が進まなくなり、重力収縮しながら温度が上がっていく。中心温度が約100億度に達すると鉄の光分解という吸熱反応が起き、中心核の圧力が急激に下がって重力崩壊を起こす。その反動で恒星は超新星爆発と呼ばれる大爆発を起こす。これは宇宙で起こる現象の中で、人間的なタイムスケールで起こる数少ないものである。恒星の質量の大部分は爆発で吹き飛ばされ、かに星雲のような超新星残骸を作る。この時恒星は急激に明るくなり、明るさでおよそ1億倍、等級で約20等も増光し、数週間の間、超新星一つが銀河全体と同じ明るさで輝くことも多い。
歴史上、超新星は、今まで星が何も無かったところに突如出現した「新しい星」として「発見」されてきた。超新星爆発が起こったあとの中心核の運命は恒星の元の質量により異なる。太陽の20倍程度以下の質量を持った恒星の場合、中心核は中性子星(パルサー、X線バースター)と呼ばれる天体となる。さらに重い恒星の場合には中心核が完全に重力崩壊を起こしてブラックホールとなる。
重元素を多く含む、吹き飛ばされた恒星の外層は、やがて再び分子雲を作り、新しい恒星や惑星を作る材料となる。このように、超新星から放出された物質や巨星からの恒星風は、恒星間の環境を形成するのに重要な役割を果たしている。


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出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
恒星 その4(終わり)
・観測
-距離と明るさ
恒星までの距離測定には、一般的に年周視差が用いられる。これは地球が公転運動する中で、近距離の恒星が遠距離の恒星に対して見かけ上の位置に生じる差を観測するもので、1秒角の視差がある時、公転軌道の中心にある太陽からその対象までの距離をパーセク(pc) で表す。1pc 3.26光年、2.06×105AUそして3.08×1013kmである。現在判明している年周視差が最大、すなわち太陽の次に近い恒星はケンタウルス座アルファ星であり、視差0.76秒角、距離1.32pcつまり2.72×105AUとなる。この年周視差を用いる計算法は地動説確立後に間もなく意識され、18-19世紀頃から観測が始まり、1837-38年頃に手段として正しさが確認された。
恒星までの距離が判明すれば、本来の明るさである絶対等級が計算できる。ある恒星までの距離を10パーセクとした場合に見える視等級を表す。
-恒星の分光
恒星の光を分光器にかけ、そのスペクトルを観察すると、暗い筋であるフラウンホーファー線が見られる。この線が現れる位置は恒星の表面温度を反映しており、19世紀末から20世紀にかけてハーバード大学天文台が高温のO型から低温のM型までの7種類の分類を施した。
O型:電離したヘリウム、高階電離状態の炭素・窒素・酸素などの線が現れる。
B型:強い中性ヘリウムや水素の吸収線が現れる。
A型:強い水素の吸収線と、金属吸収線が現れる。
F型:弱い水素の吸収線と、強い電離カルシウムのHK線が現れる。
G型:F型よりも水素の吸収線が弱く、HK線はより強い
K型:多くの金属吸収線が現れる。
M型:K型に、酸化チタン(TiO)の吸収帯が際立つ。
現在は、この7種それぞれをさらに9段階のサブクラスに分け、合計63段階で表示される。
1940年代に、同じスペクトルに現れる線の太さや強さが着目され、これが恒星の絶対等級と関係する事が明らかになった。例えばBA型の恒星では、絶対等級の明るい星ほど水素のパルマー線の幅が狭く、絶対等級効果と呼ばれる。これを元に光度階級という指標が導入され、ローマ数字のIからVまでの5段階で表す。
I型:最も直径が大きい恒星(超巨星)
II型:次に直径が大きい恒星輝巨星)
III型:直径が大きい恒星(巨星)
IV型:巨星と矮星の間に当たる恒星準巨星)
V型:矮星(主系列星)
上記2種類の分類を組み合わせる表示法はMK2次元分類と呼ばれる。例えば太陽はG2V、ベガはA0V、はくちょう座のデネブはA2Iである。
スペクトルを分析すると、特定の元素が示すフラウンホーファー線は実験室で観察する線とずれが見られる場合がある。これは、恒星の固有運動によって距離が変化するために生じるドップラー効果が影響する。ここから逆に、恒星がどのような運動をしているかを分析することができる。また、恒星が含む元素構成比を測定する事も可能であり、恒星の進化状況を判断する材料も与える。
-色
恒星は黒体放射にほぼ等しい光を連続して放っている。これを利用して表面温度を測定する方法では、BBlue青)と VVisual可視)2種類のフィルターを通して等級を測定し、その差(B-V)から温度を推計する方法が用いられる。このB-V透過率は色指数と呼ばれ、A0型恒星をゼロと置き、青が強いと等級数は小さくなるため、色指数が大きいと温度が低く、小さいと温度が高いと考えられる。
-ヘルツシュプルング・ラッセル図
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20世紀初めに、アメリカのヘンリー・ノリス・ラッセルが恒星のスペクトルと絶対等級の相関関係を図に並べたところ、多くの星が左上と右下を結ぶ帯を成す事が示された。また、デンマークのアイナー・ヘルツシュプルングも独立に恒星の色と明るさの関係に偏りがあることを示した。この相関はヘルツシュプルング・ラッセル図(HR図)として纏められ、恒星の進化を示したものを認識されるようになった。HR図の横軸はスペクトルの型で表す場合と色指数で表す場合があるが、どちらも基本的に恒星の表面温度の指標である。なお後者は色-等級図と呼ばれる場合もある。
HR図にある恒星の位置は、その星の大きさを知る手がかりを与える。恒星が放射するエネルギー総量は、単位面積当たり放射量と星の表面積の積で表される。面積当たり放射量は半径の2乗に比例し、シュテファン=ボルツマンの法則から温度の4乗に比例する。スペクトルつまり表面温度が同じで絶対等級が0級と10級のふたつの星は、総放射量の差は10000倍になる。これを半径に置き換えると100倍の差がある事になる。同じ絶対等級の場合、A型(表面温度10000K)とM型(同3000K)では、A型はM型の3.3倍であり、この4乗が単位面積当たり放射量になるため差は120倍となる。しかし総放射量は同じであるため、表面積ではA型の表面積M型の1/120となり、半径では1/11となる。
X
X線は恒星の死後の姿である中性子星や、恒星の放射物が連星を成す高密度星に引きずり込まれる際に発生することが知られるが、単独の恒星からも観察される。
太陽をX線観測すると、磁力線のねじれと再結合の際にエネルギーが解放され、コロナやフレアを発する際に放射が起こる事が知られている。形成中で若く、まだ中心で水素の核融合を起こす前段階にある前主系列星という恒星は、太陽よりも強い短波長の硬X線を放つ現象が知られる。形成途上の恒星は周囲から収縮途上のガスの流入が続き、その角運動量が持ち込まれて自転が早くなる。すると星の内部で対流が大規模に起こり、発生するフレアも太陽の数万倍規模になって強いX線が生じると考えられている。前主系列星は星間ガスに取り囲まれて可視光線では観測しづらい。しかし硬X線を使えばその位置を知る手段のひとつになる。
太陽質量の5倍以上の恒星は表面対流を起こしておらずコロナやフレアが生じないためX線は放射しないと考えられていたが、X線天文衛星HEAO-2はこのような星からX線を観測した。大質量星は多くの質量を星風の形で放出しており、これが周囲のガスと衝突すると高温のプラズマが発生し、X線を放射している。これらの観測は星間ガスの分布を知る上で有用である。なお、大・中質量星でもフレアのような磁力線由来のX線と思われるX線が観測された例もあるが、そのメカニズムはわかっていない。

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ケフェイド変光星

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     スピッツァーでとらえたケフェウス座δ星とその物質放出の様子

ケフェイド変光星とは、広義にはHR図上でケフェイド不安定帯に属する脈動変光星のこと。セフェイド変光星、セファイド変光星、ケファイド変光星とも。ケフェウス座δ型(DCEP)、II型ケフェイド(CW)、こと座RR型(RR)、たて座δ型(DSCT)、ほうおう座SX型(SXPHE)、くじら座ZZ型(ZZ)の6種類がある。普通はそのうちDCEP型とCW型(この2つを特に長周期ケフェイド、或いはCEP型と呼ぶ)のことを指す。狭義にはDCEP型のみを指すが、本項では広義のケフェイド変光星について述べる。
・長周期ケフェイド(CEP

ケフェウス座δ星(学名はδCephei、略称はδ Cep)に代表される型で、ケフェウス型変光星とも呼ばれる。CEP型はさらに種族Iのケフェウス座δ型(DCEP)と種族IIII型ケフェイド(CW)に細分類される。絶対等級が比較的大きく、スペクトル型がFK型の黄色超巨星に属する周期的脈動変光星である。また、変光範囲は12等、周期は250日ほどである。この型の変光星には変光周期が長い星ほど絶対等級が明るいという性質があり、これを周期光度関係と呼ぶ。この関係を用いると、その実視等級と変光周期を測定することで距離の測定に用いることができる。いわば宇宙の灯台であり、年周視差などで測ることの出来ない1000光年以上の測定が可能である。CEP型の中には非常に明るいものもあり、他の銀河内であっても識別可能であるため、CEP型脈動変光星を用いることで、その銀河系までの距離を精密に求めることができる。

・主なケフェウス座δ型変光星

ケフェウス座δ --5.366日の周期で3.48等星~4.37等星の範囲を変光する。

いっかくじゅう座T --27.025日の周期で5.58等星~6.62等星の範囲を変光する。

・主なII型ケフェイド変光星

おとめ座W --17.234日の周期で9.46等星~10.75等星の範囲を変光する。

ヘルクレス座BL --1.307日の周期で9.70等星~10.62等星の範囲を変光する。

・こと座RR型変光星(RR
球状星団の中に多くみられることから星団型変光星とも呼ばれ、DCEP型やCW型より周期が短いので短周期ケフェイドとも呼ばれる。CEP型に似ているが、CEP型と異なり非常に短い変光周期を持ちそのほとんどが1日以下である。スペクトル型はAFに限られており、CEP型同様周期光度関係が成立する。種族IIの年老いた星である。増光が急で減光が緩やかなRRABと光度曲線の形が対称的なRRCに細分類される。
-主なこと座RR型変光星

こと座RR --0.567日の周期で7.06等星~8.12等星の範囲を変光する。

ペガスス座DH --0.256日の周期で9.15等星~9.80等星の範囲を変光する。

・たて座δ型変光星(DSCT
RRSXPHEに似ているが、RRSXPHEと異なり種族Iの若い星で、変光の全周期を通しスペクトル型がほぼ一定である。変光範囲は非常に僅かで(普通は0.1等以下)、周期は0.2日以下である。スペクトル型はAFの巨星・準巨星・主系列星で、一部輝巨星もある。半径方向に膨張収縮する他の脈動変光星と異なり、非動径振動と呼ばれる脈動が原因で変光する。
―主なたて座δ型変光星

たて座δ --0.1937697日の周期で4.60等星~4.79等星の範囲を変光する。

トゥレイス(とも座ρ星) --0.14088143日の周期で2.68等星~2.87等星の範囲を変光する。

・ほうおう座SX型変光星(SXPHE
別名矮星ケフェイド。RRに似ているがRRより暗く小さな星で、スペクトル型がAFの準矮星で種族IIの年老いた星。変光周期は0.25日以下と非常に短いので超短周期ケフェイドとも呼ばれる。
-主なほうおう座SX型変光星

ほうおう座SX --0.055日の周期で6.76等星~7.53等星の範囲を変光する。

みずがめ座CY --0.061日の周期で10.42等星~11.16等星の範囲を変光する。

・くじら座ZZ型変光星(ZZ
脈動する白色矮星。非動径脈動により明るさを変える。
-主なくじら座ZZ型変光星

くじら座ZZ-- 213秒の周期で14.13等星~14.16等星の範囲を変光する。

やまねこ座VW-- 260秒の周期で14.55等星~14.70等星の範囲を変光する。


[注]上記画像は、AstroArtsより引用したものです。




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統一場理論
統一場理論とは、様々な力を統一しようとする場の理論のこと。最終的には自然界の四つの力をすべて統一しようという理論的試みである。この全ての力を統一した理論のことを万物の理論と呼ぶ。現在、万物の理論の候補は、超弦理論のみであると考えられている。
アルベルト・アインシュタインは一般相対論の論文を発表した後、重力と電磁気力の統一を試みたが、当時は完成させることはできなかった(現在では、超弦理論に重力と電磁気力は含まれている)。また、電磁気力と弱い力を統一した電弱統一理論は、統一場理論の一例である。
・歴史と背景
自然物理学の歴史は力の統一の歴史といってもよい。アイザック・ニュートンは天体の力と地上の力を万有引力として統一した。つまり天体の重力も地上の重力も同様なニュートンポテンシャルをもつ運動方程式で表せる。ジェームズ・クラーク・マクスウェルは電気力と磁気力を電磁気力として統一した。つまり、電流や時間変動する電場は磁場を生じ、時間変動する磁場は電場を生じる。互いに相互関係にあり、これら2つを電磁気力として統一された。
さらにスティーヴン・ワインバーグ、アブドゥス・サラムは電磁気力(電磁力とも呼ぶ)と弱い力を電弱統一理論として統一した。この意味は、「電荷をもつ素粒子は必ず弱超電荷もあわせもつ」理論形式になっているということで、つまり普通の電荷の定義に弱超電荷演算子の第3成分が含まれている。このような電弱の不可分な関係は実験事実に基づくが、数学的には非可換な2×2行列であらわされる。ただしこの電弱統一理論に強い力の理論である量子色力学を加えた標準模型では、電磁気力と弱い力、強い力の結合定数はそれぞれ異なり、合計3つある。
ところで「統一」という言葉は別の意味で使われることもある。つまり、各々の力の結合定数は現在観測されうる限りの低エネルギー領域では異なるが、ある高エネルギーの点で同一の値になると期待されている。繰り込み理論によれば結合定数がエネルギーに依存することを利用して、このような理論を構成する試みがある。この流れで電磁気力、弱い力、強い力の三つが大統一理論として統一されようとしている。しかし最も単純で美しいと言われるSU(5)ゲージ群に基づく大統一理論は、陽子崩壊が現在までのところ一例も観測されていないという実験事実と矛盾し、すでに否定されている。そこで超対称性を仮定することによって修正した超対称大統一理論も未完成ではあるが、20年以上前から考えられている。これらは重力相互作用をのぞいた三つの力を全て統一しようという試みである。
一方、素粒子の世界では効果が小さすぎて観測の困難な重力も含めて、四つの力を全て統一しようという試みは、世界中の理論物理学者がこぞって研究しているにも拘らず、現在のところまだ完成にはほど遠い。これは、重力相互作用のゲージ粒子である重力子が繰り込み不可能であることに起因している。
しかし、物質の基本的な構成物である素粒子を「点」とせず、ある種の「ひも」とすればこの問題は解決できるかもしれないことがわかった。(なお、この「ひも」は宇宙論における「宇宙ひも」とは別の概念である)。この弦理論で超対称性を仮定したものを「超弦理論超ひも理論ともいう)」という。
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上の画像は、超弦理論超ひも理論)に関連する概念図である。
超弦理論 によればエネルギーは、それぞれの素粒子 、つまりその最小単位の“弦(ひも)”が奏でるバイブレーション・パターン(振動パターン)によって生じるものと考えられる(開いたひもで、膜に貼り付いている)。一方、重力は閉じたひもを形成し、重力(正確には重力波を媒介する重力子 )の正体である。

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大統一理論 その1
大統一理論grand unification theory あるいはgrand unified theoryGUT)とは、電磁相互作用、弱い相互作用と強い相互作用を統一する理論である。幾つかのモデルが作られているが、未完成の理論である。
電磁相互作用と弱い相互作用の統一は電弱統一理論としてシェルドン・グラショウ、スティーブン・ワインバーグ、アブドゥス・サラムにより完成されている。
・概要
自然界は四つの基本的な力電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用、重力」で表される。宇宙の始まりに存在したのは唯1つの力だけで、その後これらの4つに分かれたという考え方から、これら4つの力を1つの形で表して統一しようとする理論の1つである。大統一理論はこれらのうちで重力を除いた前者3つを1つの形に統一しようとしている。大統一理論は重力については考えていない。重力までも統一する理論としては超弦理論などが研究されている。
歴史はマックスウェルによる場の方程式による電磁場理論によって、電気と磁気が統一されたことから始まる。アインシュタインの一般相対性理論に大きな影響を及ぼし、「統一場理論」への夢につながった。その後電磁相互作用と弱い相互作用が統一された。その後作られたこの理論は、3つめの「強い相互作用」も統一しようとする理論である。「ゲージ変換」という、ある式にある操作を施しても対称性(ゲージ対称性)が保たれるという数学的手法を使い、知られている性質を説明し未知の性質を予言して検証することによって理論を確認しようとしている。標準理論では説明できない現象を説明しようとして作られたこの理論は、ビッグバン理論(インフレーション宇宙)の基礎となっているため、様々な検証がおこなわれている。カミオカンデの実験により最初の大統一理論は否定され、超対称性という概念を加えた新しい大統一理論を検証の対象としている。1つは東京大学の森俊則教授の率いる日本・スイス・イタリア・ロシア・米国の国際チームがスイス・ポールシェラー研究所で行っているのが、ミュー粒子が崩壊して電子とガンマ線になること(μ→eγ(ミューイーガンマ)崩壊)を観測する実験である。標準理論では起こらないが、大統一理論では数千億から数兆分の一の確率で起こることが予想されていた。20119月に発表された5年間の5千億個の実験による中間報告では発見できなかったため、実験を2年間継続し10兆個のミュー粒子で検証する。ミュー粒子の崩壊を発見できない場合、大統一理論は修正する必要が出てきて、さらにビッグバン理論は成立せず、宇宙の起源に対する新たな理論の構築が求められる。
GUTのモデル
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現在、一定の成功をおさめている標準模型は、ゲージ群
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に対するゲージ理論であり、大統一理論は基本的にこのゲージ群を含む更に大きなゲージ群に対するゲージ理論である。
Gs3つのゲージ群の積の形になっていて、それぞれにゲージ結合定数を持つ。力を統一するということは、1つのゲージ群として表し、結合定数を1つにすることである。
Gs はランク4である。大統一理論のモデルとしてはランクが4以上のゲージ群となる。
Gs の次元は12でそれに対応して12個のゲージ場を持つ。大統一理論のゲージ群では次元が増え、それに対応してゲージ場も増える。
標準模型は電弱相互作用が破れるウィークスケール
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での理論である。大統一理論はそれより高いエネルギースケール(GUTスケール)で破れる。大統一理論で新たに増えるゲージ場は対称性が破れると、GUTスケール程度の質量を持つ。
対称性が高くなると、幾つかのフェルミオンがまとまって記述される。
 

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大統一理論 その2
SU(5) モデル
大統一理論の最小モデルとしてはランク4SU(5) モデルが考えられている。
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この理論ではいくつかのことが予言されている。陽子崩壊現象、磁気単極子や宇宙ひもの存在がこれにあたる。但し、陽子崩壊の予言は観測と食い違っており、従って単純なSU(5)GUT は排除されている。
SU(5)モデルによる陽子の寿命は1030 - 1032年であるが、神岡鉱山のカミオカンデ・スーパーカミオカンデにおける実験結果では陽子崩壊が観測されず、実際の寿命はそれ以上、少なくとも1034年はあり、大きくくい違っている。
・ゲージボソン
SU(5)の次元は24であり、対応する24個のゲージ場が存在する。ゲージ対称性が破れると、ゲージ場は次のように分かれる。
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(8,1)0 SU(3)c に対応する8個のグルーオン、(1,3)0 SU(2)L に、(1,1)0 U(1)Y に対応するゲージ場である。 (3,2)-5/6 (3*,2)+5/6 SU(5)GUTにおいて新たに導入されるゲージ場で、両者は互いに反粒子の関係にある。電弱対称性が破れるスケールでは、XボソンとYボソンと呼ばれる。
・フェルミオン
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SUSY SU(5)
SU(5)大統一理論に超対称性と呼ばれる要素を加えた超対称大統一理論では陽子の寿命はさらに延びることになり、実験結果を説明できる可能性がある。
SO(10) モデル
大統一理論の最小モデルとしての単純なSU(5) モデルは実験とは整合せず排除されている。SU(5) の次に小さなモデルとしてSO(10) モデルが考えられている。SO(10) はランク5なのでextra U(1) が存在する。SO(10) の次元は45である。
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ゲージボソン
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フェルミオン
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U(1)X に対応する保存電荷はXチャージと呼ばれる。これはバリオン数とレプトン数の差(B-L)と関連した対称性である。 SO(10) はカイラルアノマリーはない。
SO(10) モデルは右巻きニュートリノを含む1世代分のフェルミオンが一つの多重項にまとまる。 SU(5) モデルでは右巻きニュートリノの存在は必然ではないが、SO(10)モデルでは、右巻きニュートリノが必然的に含まれる。 GUTスケール程度のマヨラナ質量を右巻きニュートリノが持てば、シーソー機構により、ニュートリノが他の粒子に比べてゼロでないが極端に小さい質量を持つ事が説明できる。

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大統一理論 その3(終わり)
E6, E7及びE8
リー群の言葉では、SU(5)及びSO(10)は古典型の単純リー群でそれぞれ A4,D5 と呼ばれるが、例外型の単純リー群のE系列 E6,E7, E8 の自然な拡張として、
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と見ることが出来る。これらE系列の例外群をゲージ群とするゲージ理論も大統一理論の候補として考えられている。
特に E8 はこの系列では最も大きなリー群でそれ以上の拡張が出来ないことや、超弦理論との関連もあり、またSO(10) 1世代分のフェルミオン多重項を3つ分含み、3世代の繰り返しとの関連性なども考えられている。E8理論からは、加えて重力場を導出する事も可能であり、AnExceptionally Simple Theory of Everythingという超統一理論のモデルが提案されている。
・パティ・サラムモデル
クォークのカラーSU(3) SU(4) へと拡張し、カラーの四番目の成分をレプトンとみなしてフェルミオンを統一しようとするモデルが考えられている。左手型と右手型を対称に扱うために、右手型"弱い相互作用"SU(2)R も考える。SU(2)R のゲージ場はW'ボソンとZ'ボソンである。
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右手型のフェルミオンはSU(2)R の下で二重項をなす。また、右手型ニュートリノも必然的に含まれる。フェルミオンは統一的に扱えるが、ゲージ群が積の形になっていて、力の統一はなされていない。
SO(10)はパティ・サラムモデルを含む。
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超対称大統一理論

超対称大統一理論Supersymmetric Grand UnifiedTheory : SUSY GUT)とは、大統一理論 (GUT) を超対称化した理論、仮説である。

イメージ 1素粒子標準理論ではヒッグス粒子の質量パラメータに対して2次発散が生じ、素朴にはプランク質量程度(1036GeV2) になると期待される。しかしながら、この質量パラメータは現実的には電弱スケール (10^4GeV2) 程度でなければならず、繰り込みを受けることによって32桁にわたる尋常ではない相殺が起きていると考えられている。これは自然がそのように選ばれていると考えることもできるが、多くの研究者は不自然なことであると認識している。この問題をゲージ階層性問題と呼ぶ。

超対称性理論はゲージ階層性問題に対する1つの答えとなっており、高エネルギーを記述する理論として着目されている。一方で、理論に超対称性を課すと大統一理論の観点から魅力的な出来事が起こる。以下このことについて説明する。
ゲージ結合の強さは測定するエネルギースケールによって変化し、その変化の度合いは繰り込み群という手法を使って計算でき、標準理論においては3つのゲージ群のゲージ結合定数は1016GeVでほぼ一致することが知られているが、厳密には一致していない。しかし超対称標準理論でゲージ結合定数の変化を調べた場合、結合定数の一致する程度が標準理論と比較して格段に上がる。これは自然が超対称性をもっており、大統一が実現されていることを示唆するのではないかと思われる。しかし、現実的な大統一理論はいまだ構築されておらず、一部では第5の時空の次元(第4の空間方向)を考えた余剰次元理論なども提唱されている。
 

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電磁相互作用
電磁相互作用は、電場あるいは磁場から電荷が力を受ける相互作用のことをいい、基本相互作用の1つである。電磁気学によって記述される。
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・概要
イメージ 2電磁相互作用で発生する力は電磁気力といい電荷にはプラスとマイナスがあり、同じもの同士で斥力、異なるもの同士で引力が働く。ゲージ場理論より、相互作用を媒介する粒子が存在し、電磁相互作用の場合は光子が媒介する。電磁相互作用を媒介する光子を仮想光子と呼ぶ事もある。
また、電磁相互作用と弱い相互作用は1967年に、ワインバーグとサラムによって統一された(ワインバーグ・サラム理論)。
・電磁気力
電磁相互作用による力はマクロな系では電気力と磁気力として現れる。電磁気力の強度は距離の逆二乗に比例し、クーロンの法則(電気力)として定式化されている。
なお、電磁気力は電気力と磁気力を理論的に同じものであるとして統一したものである。

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弱い相互作用
イメージ 1弱い相互作用(weak interaction)は、自然界の基本的な4つの相互作用の1つである。素粒子の間に働く。弱い力、弱い核力ともいう。この相互作用による効果として代表的なものにベータ崩壊がある。電磁相互作用と比較して、力が非常に弱いことからこの名がついた。
・特徴
重力相互作用や電磁相互作用が無限遠まで作用する力であるのに対し、弱い相互作用は素粒子レベルの非常に近い範囲にしか作用しない。引力・斥力である他の基本総合作用とは異なり質量0の素粒子(ただし標準模型では質量0とされたニュートリノは質量をもつことが判明している。)にも作用することから、引力・斥力に分類する力ではない。
電弱統一理論によって電磁相互作用と統一される。これは、宇宙の初期では電磁相互作用と弱い相互作用が区別できなかったことを示している。
弱い相互作用は、パリティ対称性や電荷対称性を破る唯一の力である。クォークの世代が3つ以上の場合は、小林・益川理論によりCP対称性の破れも起こる。また、媒介粒子Wボソン / Zボソンは、自発的対称性の破れによって非常に大きな質量をもつ。
イメージ 2素粒子の1つ、ニュートリノはこの弱い相互作用しか感応しないので、他の物質に与える影響が非常に少なく、それによって検出することも困難となっている。
電弱統一された形で、ワインバーグ=サラム理論によって記述される。保存される量は弱アイソスピンとハイパーチャージであり、ゲージ群はSU(2)×U(1)である。自発的対称性の破れによってそのうちの一部が電磁力、電荷、U(1)として分離する。

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強い相互作用

強い相互作用Stronginteraction)は、自然界に存在する四つの基本的な力基本相互作用または単に相互作用ともいう)1つである。1つである。名称は、電磁相互作用の約100倍の強さをもつことに由来する。原子核内の核子同士を結びつける核力を指し、グルオンハドロン同士にはたらく力を媒介する。これらの相互作用は子色力学により説明される。いわゆる強い力である。

イメージ 1
これはまた、ハドロン間の相互作用や、原子核内の各核子同士を結合している力(核力)を指し、標準模型においては量子色力学によって記述される。強い力、強い核力とも。その名の通り電磁相互作用に比べて102倍の強さがある。
強い相互作用の理解は、歴史的には湯川秀樹による、パイ中間子の交換によって核子に働く核力の説明に始まるが、1970年代前半の量子色力学の成立によって、ゲージ理論として完成した。
・性質
強い相互作用の、重力相互作用との相対的強さは1040と大きいが、影響範囲は10-15mと小さい。力を伝達するゲージ粒子はグルーオンである。強い相互作用の伝わる平均時間は10-24(1y)ほどである。

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重力相互作用(重力) その1
重力とは、
地球上で物体が地面に近寄ってゆく現象や、それを引き起こすとされる「力」を呼ぶための呼称である。人々が日々、物を持った時に感じているいわゆる「重さ」を作り出す原因のことである。
物体が他の物体に引きよせられる現象の呼称である。および(その現象は《力》が引き起こしていると見なす場合の)その「力」に対する呼称である。
英語の gravity (グラヴィティ)の頭文字を取って、俗にG(ジー)と略されることがある。ただし、物理学の専門書や教科書においては、地球の重力は小文字のg、万有引力定数は大文字のGというように区別される。
・概説
重力という表現は、宇宙論などの領域では万有引力と同一として扱われることがある。
地球上のことについて論じている場合は、地球上の物体に対して働く地球の万有引力と地球自転による遠心力との合力を指している。また、人工衛星のように、地球の自転とは無関係な物体の運動について論じている場合は、遠心力の成分は除いて扱うことになる。
重力の大きさは、単位「ガル (Gal)」を用いて表すことができる。
地球上で質量が 1 kg の物体に作用する重力の強さというのは約 9.8 N でほぼ一定である。だが、精密に調べてみると重力は地球上の場所により、あるいは時間によっても変化している。
・歴史
重力や重さに関する議論というのは、古代ギリシャのしかも初期の段階から行われていた形跡があるという。
影響力の大きかったのはアリストテレスである。彼は『自然学』を著し、物の運動等についても体系的に論じた。彼の宇宙観では、天界と地上はまったく別世界であり、天体はエーテルでできていて、地上の物体は四元素でできていると見なした。そして《重さ》と《軽さ》というのは、地上界にある物体に特有の一対の内在的な性質だと見なした。古代ギリシャでは、コスモス(世界、宇宙)の中心に地球があると考えられていたので、アリストテレスもそう考えていた(地球中心説)。アリストテレスにとって、物の落下するということはコスモスの中心へ接近することであり、上昇するということはコスモスの中心から離れてゆくことを意味した。《火元素》を含むものが《軽さ》を内在しており、地中から離れ天へと向かいたがり、石などには《土元素》が含まれており、《土元素》はコスモスの中心に帰りたがる性質を持っているのだ、とした。その《土元素》をより多く含んでいるものが、より大きな《重さ》を内在している、とした。またその速さについては、《土元素》を多く含むものが速く落ちる、とした。
イメージ 1

ペトルス・アピアヌス(Petrus Apianus)のCosmographia(アントワープ、 1539年刊)に描かれた中世のコスモス像。アリストテレスの宇宙観の延長上にある。

ヨーロッパ中世の人々は、以下のように考えていた。
地リスや鳥などの生き物がそれぞれ巣穴や巣という本来の位置を持っていて一時的に理由があってそこを離れることがあっても結局本来の位置に帰るように、物も、それぞれの性質に応じて本来の位置を持っている。たとえば小石はその本来の位置を地に持っている。焔はその本来の位置を天上に持っている。
例えば、小石を空中に投げれば、小石は本来の位置から離されることになり、小石は一旦は抵抗を示しながら上に上がるが、結局はできるだけすみやかに、その本来の位置である地に戻ってこようとする。

(太陽中心説というのは一応アリスタルコスも唱えていたとされはするが)16世紀にヨーロッパでコペルニクス(1473- 1543)によって太陽中心説が唱えられると、(それがすぐに受け入れられたわけではないが)もしこれを受け入れた場合、アリストテレス的な《重さ》《軽さ》の概念は根底から考え直さざるを得ない、ということになった。

コペルニクスは、重力というのは、各天体の部分部分が球形になりたがり一体化しようとする自然的な欲求だ、とした。一方《軽さ》というのは、重さの少ない物体が持つ偶有的性質だとされた。
フランスのデカルト(1596–1650年)は、著書『哲学の原理』(1644年)と『世界論』(1633ころから執筆、死後1656刊行)において渦動説を展開し重力を説明した。世界にはエーテルが満ちており、ちょうど渦に木切れが吸い寄せられるように、エーテルに渦が起きるとその渦の中心に物体は引き寄せられる、こうして物体は地球に引き寄せられる、と説明した。
ドイツのケプラー(1571–1630年)は、重力というのは似たもの同士が引き合う力(引力)であり、この引力は潮の満ち引きという(月の変化の周期と連動する)現象から推察するに、地球と月との間にも作用している、と見なした。
ガリレオ・ガリレイ(ユリウス暦1564グレゴリオ暦1642年)は重さと落下の速さとは無関係であることを実験で見出した。
オランダのホイヘンス(1629–1695年)は1669年から1690年にかけてデカルトの渦動説を検討し精密化した。ライプニッツも渦動説の流れを汲んだ理解をしていた。
アイザック・ニュートン(1642 - 1727)は、天体の運動も地上の物体の運動もひとつの原理で説明できる、とする説(万有引力)を『自然哲学の数学的諸原理』で発表した。天界と地上の区別がとりはらわれており、宇宙全域の物体の運動を同一の原理で説明しており、地上のgravityというのも万有引力のひとつの現れとされている。
また(上でも述べた)ホイヘンスは、遠心力の公式を発見した。地球の自転はすでに明らかになっていたので、重力は万有引力そのものではなく、万有引力と地球の自転による遠心力との合力だということになった。
エルンスト・マッハ(1838 - 1916)は、「慣性力は宇宙の全質量の作用として考えなければならない」とした。例えば、回転するバケツの水面をへこませる慣性力についてマッハは、「慣性力はバケツが絶対空間に対してまわったから発生したのではなく、宇宙の物質が回転するバケツに、ある作用を及ぼした結果、発生した」と考え、「バケツがまわることと、バケツを止めて宇宙をバケツのまわりに逆回転させることは同等であるとした(マッハの原理)。
マッハの原理は、アルバート・アインシュタインの一般相対性理論により体系化された。一般相対性理論によれば、万有引力も慣性の力も等価(等価原理)であり、共に、時空の歪みによる測地線の変化である。ただ、万有引力と慣性の力とでは歪みの原因が異なるにすぎない。
アインシュタイン方程式からは、時空の歪みの源は質量ではなく、エネルギーと運動量からなるエネルギー・運動量テンソルで決まることがわかる。つまり、質量(エネルギーに比例)だけでなく運動量も時空を歪め、重力を生む。質量は引力を生むのに対し、運動量が生む重力は、引力でも斥力でもない慣性系の引きずりという形を取る。慣性系の引きずりは自転するブラックホールであるカー・ブラックホールで顕著である。慣性力も、地球外の全宇宙による慣性系の引きずりで説明できるとの見方が強い。ただし、いまだ近似計算のみで、厳密な計算はなされていない。
素粒子物理学では、重力は自然界に働く4つの力のうちの1つとして扱われており、電磁気力、弱い力、強い力との統合が試みられている。だが、その試みがうまくゆくのかどうか定かではない。なお、2010年にアムステルダム大学理論物理学院のエリック・ベルリンドにより、重力は存在しないという説も提唱された。
近年では、一般相対性理論での重力を量子化し、量子重力理論にしようとする試みもなされている。ここでの重力とは、万有引力に限らず、慣性の力なども含めた重力の意味である。量子化された重力は重力子と名づけられている。

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重力相互作用(重力) その2(終わり)
・地球表面の重力値の相違と重力加速度
概説で述べたように、同じ地球上でも場所によって重力の大きさ(重力値)が異なっている。それは以下のような理由からである。
測定点の標高が場所ごとに異なっていること
周囲の地形の影響が場所により異なっていること
地球が完全な球形ではなく、回転楕円体のような形状をしていること
自転による遠心力が緯度により異なっていること
地球の内部構造が一様ではないこと
高度が増加するとゆるやかに重力値が減少してゆくわけであるが、その減少の度合いというのは地表付近では1mあたり0.3086mGal(ミリガル)程度である。ただしこれも場所により1割程度の変動はある。
2番目の「地形の影響」というのは、険しい巨大な山岳などのふもとでは、山が上向きの引力(万有引力)を及ぼしていることなどを意味しており、山岳地帯ではこうした影響は数十mGalに達する。
5番目の地球の内部構造(地下構造)に起因する重力値の過大や過小を重力異常と言う。
単に重力加速度といった場合は、地球表面の重力加速度を意味することが多い。重力加速度の大きさは、緯度や標高、さらに厳密に言えば場所によって異なる。

ジオイド上(標高0)の重力加速度は、赤道上では 9.7799 m/s2と最も小さくなり、北極、南極の極地では9.83 m/s2と最も大きくなる。赤道と極地との差の主な理由は自転による遠心力であるが、自転以外にも地殻の岩盤の厚さ、種類、地球中心からの距離などによる影響も若干受ける。このため、重力を精密に測定し、標準的な重力と比較することで地殻の構造を推定することができる。測定手法には絶対重力測定と相対重力測定があり、日本では国土地理院が日本重力基準網として基準重力点を設定している。

国際度量衡会議では、定数として使える標準重力加速度の値を g = 9.80665 m/s2と定義している。
・古典力学
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古典力学で説明される重力とは、他の質量から受ける万有引力(以下「引力」)と、慣性力との合力である。
例えば、地球表面に存在する物体は、地軸のまわりを等速円運動しているため、地軸に対して垂直に、下記の慣性力(この場合、遠心力)を受けている。
        遠心力=質量×地軸までの距離×(角速度)2
したがって、実際に観測される重力は、引力と遠心力の合力となる。引力は、地球が球対称ではないため厳密にではないが、ほぼ地球の中心方向に向かう。それに対し重力は、遠心力が加わるため、地球の中心方向からやや赤道寄りに(北半球なら南寄りに)ずれ、大きさはやや小さくなる。
慣性の力は座標系に依存するため、重力も座標系に依存する(引力は座標系に依存しない)。そして、基準となる座標系は時と場合により異なる。通常は地球の自転と共に動く回転系で考えるが、乗り物の中などでは乗り物の座標系で考えることもある。たとえば乗り物に乗って「Gがかかる」とか「重力がかかる」とか言った場合は、乗り物の座標系で考えている。
一方、天文学や宇宙開発では、宇宙空間のことは適当な慣性系で考えることが多い。すると、慣性の力は存在しないので、重力という言葉を引力と同じ意味で使うことになる。たとえば人工衛星の運動を絶対座標で説明すると、「重力(= 引力)が向心力となって回転運動をしている」となる。あるいは、暗黙のうちに極座標系で考え、「重力(= 引力)と遠心力がつりあっている」となる(極座標で考えているので、地球との距離が変わらない状態がつりあいである。また、ここで言う遠心力とは慣性力ではなく、座標系が直交座標系でないことによる見かけの力である)。一方、人工衛星の座標系で考えれば、引力と遠心力(慣性力)がつりあっており、その合力である重力はゼロ、つまり無重力である。しかし重力がゼロかどうかは、このように座標系によるので、無重力と言う言葉を避け「無重量」と言うこともある。

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電弱相互作用
電弱相互作用(electroweak interactionとは、物理学において、電磁気力と弱い相互作用を統一した相互作用である。この理論を電弱統一理論という。質量のない粒子に質量を与えるため、ヒッグス機構が考案された。
・内容
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数学的には、電弱相互作用はゲージ群SU(2)×U(1) で統一される。対応するゲージボソンは電磁相互作用の光子と、弱い相互作用のウィークボソン(WボソンとZボソン)である。標準模型において、ヒッグス機構によって SU(2)×U(1)Y から電磁相互作用の U(1)EM へ自発的に破れ、ウィークボソンは質量を獲得する。

添字は異なる U(1) であることを表しており、U(1)EM の生成子はQ=T3+Y で表される。Y U(1)Y の生成子(ウィークハイパーチャージと呼ばれる)で、T3 SU(2) の生成子(ウィークアイソスピンと呼ばれる)の内の1つである。

ゲージ群
SU(2)
U(1)Y
U(1)EM
生成子

Ta (a=1,2,3)

Y
Q
ゲージボソン
W^a_\mu(a=1,2,3)
B_\mu
A_\mu
結合定数
g
g'
e
理論に含まれるパラメータは
それぞれのゲージ群に対応する結合定数 g, g'
ヒッグスポテンシャル項に含まれるパラメータ v, λ
湯川相互作用の結合定数 ye, yd, yu

なお、2つのゲージ結合定数の比を tanθw=g'/g としたとき、θwをワインバーグ角と呼ぶ。また、e=g sinθw は電磁相互作用の結合定数(すなわち素電荷)である。


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繰り込み その1
繰り込みとは、場の量子論で使われる、計算結果が無限大に発散してしまうのを防ぐ数学的な技法であり、同時に場の量子論が満たすべき最重要な原理のひとつでもある。
繰り込みにより、場の量子論を電磁相互作用に適用した量子電磁力学は完成した。場の量子論に繰り込みを用いる方法は、以後の量子色力学およびワインバーグ・サラム理論を構築する際の規範となる。
・概要
量子力学の摂動論では相互作用項を含まない自由ハミルトニアンの固有状態を初期状態にしてその時間発展を求めるため、相互作用を通じて自由ハミルトニアンが保存しない中間状態にも遷移可能である。場の量子論 (QFT) ではそのような中間状態が無限にあり、そのためにしばしばこのような補正は発散する。
例えば量子電磁力学において、電子が(仮想的な)光子を放出してこれを再び自分で吸収する過程が存在する。これは電子が自身の作る電磁場中において持つ電磁的なエネルギーへの寄与を与え、自己エネルギーと呼ばれる。また、光子から(仮想的)電子と(仮想的)陽電子が対生成し、再結合して対消滅し光子に戻るという過程も起こる。このように電子の周囲の真空に電子と陽電子が絶えず対生成、対消滅していることを真空偏極という。
これらの電磁相互作用による輻射補正はループを回る粒子の運動量を積分すると無限大に発散する。簡単な例としてスカラー4点理論の2点間数の1-loop補正は
イメージ 1

と書ける。ここでkはスカラー場の外線運動量、\gammaはオイラー定数、m_sはスカラー場の質量、\epsilonは次元正則化においてdの4次元極限で0となる量、ここでは4-d \equiv \epsilonであり、括弧内の末項は4次元極限で消滅する\epsilonの一次以上の項である。ここで括弧内の第一項に発散が現れていることが分かる。しかしこれは物理的な発散ではなく計算上現れる余分な発散であり、これらの無限大は電子の質量や結合定数などの理論のパラメータの再定義によって取り除くことができる。具体的な方法は、そもそもの場の理論が場、質量、結合定数の値が発散している理論である(「裸の」パラメータ:bare parameter)として考え、そこから発散部分(counterterm)を切り離すことで物理的な有限理論を取り出し、有限理論を使って輻射補正を計算した結果現れる発散から、先に切り離した発散しているcounter termの発散を引くことで発散を相殺する、というものが最も簡単な処方であり(Minimal Subtraction scheme)このような処方をくりこみと呼ぶ。Minimal Subtraction schemeで発散を取り除いた後のスカラー場の2点関数は1-loopレベルで

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と書け、loop補正効果の有限部分を取り出すことができる。ここで\muは後述するくりこみスケールである。この2点関数自体はスカラー場の質量に比例し、摂動効果でスカラー場の質量へ量子補正を与えていることがわかる。またくりこみ処方により質量への補正が無限になることなく有限の値を与えることが分かる。スカラー4点理論は摂動論においては質量への量子補正のみを出す理論として知られているが、3点結合や湯川理論によるloop補正では2点関数は質量に比例する部分と外線の運動量に比例する部分に分かれる。運動量への補正は場そのものへの量子補正と解釈でき、場の補正項にも上記のような発散が現れるため、より複雑なくりこみ処方が要求される。


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繰り込み その2(終わり)
・繰り込み可能性
ところがあらゆる場の理論にくりこみ処方が有効である訳ではない。理論の中に現れる発散が有限個で済むかどうかという情報はくりこみを適用する上で重要である。有限個のcounter termで理論のすべての無限大を取り除くことができる理論を繰り込み可能であるという。量子電磁力学 (QED) 、ワインバーグ・サラム理論、量子色力学 (QCD) は結合定数が質量次元零のゲージ理論であり、繰り込み可能であることが知られている。しかし理論の結合定数が負の質量次元を持つと発散自体の数が、描けるファインマンダイアグラムの数だけ増える。摂動論の高次まで考慮すると、発散自体が無限に現れ、発散をパラメータの再定義で吸収しきれなくなる。この場合は繰り込み不可能である。また結合定数が正の質量次元を持つ理論は上記の理論に比べ発散が少なく現れるためcounter termも少なくて済む。この場合は超くりこみ可能である、という。ワインバーグ・サラム理論などに現れるスカラーの3点結合などはこれに当たるが、特に問題になることがないため単にくりこみ可能な理論として扱われる。
重力を記述する一般相対性理論は上記と同様のゲージ理論であるが、重力結合定数は負の質量次元を持っており、繰り込みが不可能であるので量子場の理論を適用すると上記のように発散が取り除けなくなる。そのため重力の寄与が無視できなくなる高エネルギー領域においては量子場の理論に代わる量子重力理論が必要と考えられている。
・繰り込みスケール
繰り込みを用いる方法では、有限な(繰り込まれた)物理定数と、引き去るべき無限大を含んだcounter termで理論を構築するのは前述の通りである。ところが発散の取り除き方は一通りではなく、条件に応じて物理的なパラメータがどの値なのかを逐一解釈する必要がある。
距離ないしはエネルギーのスケールによって、物理定数に対しての輻射補正の大きさは異なる。そのため、繰り込みの際にどのスケールで観測される物理定数の値を用いるのかについては、一通りに定まらないのである。理論の繰り込みを行うに際しては、繰り込み条件を定めるスケールを、基準として一つ選ぶ必要がある。そのスケールを、理論の繰り込み点または繰り込みスケールと呼ぶ。
繰り込みスケールの値はあくまで便宜的なものであって、低エネルギーの繰り込みスケールを選んだからといって高エネルギーの物理が説明できなくなるといった事は起こらない。繰り込まれた摂動論は繰り込みスケールに関係なく、任意のスケールで適用可能である。これは議論するスケールを限定する事によって裸の物理定数を有限値で定義する、有効場の理論の処方とは対照的である。繰り込み群の言葉で言えば、各スケールの有効理論同士を結びつけるのが繰り込み群フローであるが、ある一つの繰り込まれた理論に対しては、全スケールに渡って定義された一つの繰り込み群フローが対応する。
一方で繰り込まれた理論においても、繰り込みスケールを変えた時の物理定数の変化については、繰り込み群を用いた扱いが可能である。この方法により、結合定数のベータ関数が定義される。
・歴史
1930年代に量子電磁力学が発展していく過程で、マックス・ボルン、ヴェルナー・ハイゼンベルク、パスクアル・ヨルダンおよびポール・ディラックは摂動計算において多くの積分が発散することを発見した。1930年代、発散を解決する計算がいくつかなされたが、当時、場の量子論は相対論的に不備であるため、正確な値を与えなかった。
これを解決したのが、1943年朝永振一郎が創った相対論的に共変な場の量子論、超多時間論である。繰り込みは超多時間論を基礎にして確立される。遅れること数年、ジュリアン・シュウィンガーは朝永と類似の形式、リチャード・ファインマンは経路積分1948年を形成し、朝永・シュウィンガー・ファインマンは繰り込み理論を建設する(フリーマン・ダイソンは3者の同等性を証明)。繰り込みは、相対論・場の量子論と並ぶ基本原理とされ、朝永・シュウィンガー・ファインマンの建設した量子論的電磁気学の基礎となる。量子電磁力学は、以後の素粒子論の典型として、理論形成の規範になり、量子色力学・ワインバーグ=サラム理論を導く糸になる。この業績で、朝永振一郎、ジュリアン・シュウィンガーおよびリチャード・ファインマンはノーベル物理学賞を受ける。
量子電磁力学の完成の後、繰り込みの手法は量子色力学の構築へと応用されていく。非可換ゲージ理論(1964-1973年)、繰り込み可能性の証明(1971年)、繰り込み群による漸近的自由性の記述(1973年)では、繰り込みが用いられている。
・ノーベル賞
繰り込み - 朝永振一郎、ジュリアン・シュウィンガー、リチャード・ファインマン
非可換ゲージの繰り込み可能性 - ヘーラルト・トホーフト   
繰り込み群による漸近自由性 - デイビッド・グロス、フランク・ウィルチェックH. デビッド・ポリツァー
固体繰り込み群 - ケネス・ウィルソン

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不確定性原理
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   不確定性原理(独:Unschärferelation : Uncertainty principle)とは、ある2つの物理量の組み合わせにおいては、測定値にばらつきを持たせずに2つの物理量を測定することはできない、という理論のことである。具体的には、以下のようなバリエーションがある。

ある物理量ABに対しては、Aの測定値の標準偏差とBの測定値の標準偏差との両方を0にするような量子状態は存在しない、という主張。
ある物理量ABに対して、Aの値の測定誤差と、物理量Aの測定プロセスが生ずるBの測定値への擾乱との両方を0にすることはできない、という主張(ハイゼンベルクの不確定性原理)
ある物理量と、量子状態を指定するパラメータとの間の不確定性関係(時間-エネルギーや位相-個数の不確定性関係など)。
かつては、量子力学の基礎原理の1つとされていたが、量子力学の基礎が整備された現在は、他のより基礎的な原理から導かれる「定理」となっている
・測定精度と測定の反作用
イメージ 2 例として、ハイゼンベルクが行った思考実験、つまり量子力学で記述される粒子の位置と運動量について考えることにする。位置をより正確に観測するためには、より正確に「見る」必要がある。極微の世界でより正確に見るためには、波長の短い光が必要である。波長の短い光はエネルギーが大きいので観測対象へ与える影響が大きくなるため、観測対象の運動量へ影響を与えてしまう。結局、この粒子の位置を正確に測ろうとするほど対象の運動量が正確に測れなくなり、運動量を正確に測ろうとすれば逆に位置があいまいになってしまい、両者の値を同時に完全に正確に測る事は絶対に出来ないのである。
ただし、この種の議論は前述の証明とは異なる種類のものであることには注意されたい。前述の証明は、時間発展や測定についての基本要請を使わなくても交換関係からそのまま導けるもの、つまり量子状態そのものが持っている不確定性であり、測定器の誤差と測定による反作用との不確定性とは区別して考えなければならない。量子論での時間発展や測定についての基本的要請をすべてを使って展開できる量子測定理論を用いて、ハイゼンベルクの考察した「測定精度と反作用に関する不確定性原理」ははじめて導けるが、その結果得られる不等式の下限はケースバイケースで変わることが判っている。小澤の不等式などがその1つである。
・不確定性原理をめぐる議論
 不確定性原理は1927年にハイゼンベルクによって提唱された。量子力学の基礎原理の一つとされ、その発展に大いに寄与した。ただし、量子力学の基礎が整備された現在は、他のより基礎的な原理から導かれる「定理」となっている(「意見」や「仮説」ではない)。
粒子の運動量と位置を同時に正確には測ることができないという事実に対し、それは元々決まっていないからだと考えるのが、ボーアなどが提唱したコペンハーゲン解釈であるが、アルベルト・アインシュタインは、決まってはいるが人間にはわからないだけと考えた。この考え方は「隠れた変数理論」と呼ばれている。なお、192612月にアインシュタインからマックス・ボルンに送られた手紙の中で、彼は反論に「神はサイコロを振らない(独: Der Alte würfelt nicht. 直訳:神は賽を投げない)」という言葉を用いて表している。
この他にも不確定性原理の解釈には多数の解釈がある。これを観測問題という。どの解釈が正しいのかは現在はっきりしていない。ただし、ベルの定理により現在アインシュタインの考えを支持する人はごく僅かである。
不確定性原理が顕在化する現象の例としては、原子(格子)の零点振動(このためヘリウムは、常圧下では絶対零度まで冷却しても固化しない)、その他量子的なゆらぎ(例:遍歴電子系におけるスピン揺らぎ)などが挙げられる。
・小澤の不等式
 小澤正直は、(当初のハイゼンベルクの思考実験では混同されており、ボーアが指摘している)測定限界や測定することによる対象の擾乱や測定誤差と、量子自体の性質(不確定性原理)による量子ゆらぎを厳密に区別した式を提案した。式の形は、ハイゼンベルクの式に補正項を付け加えた形になる。さらに、その式に従えば(従来のハイゼンベルクの式に従って信じられていた)「不確定性原理による測定の限界」を超えて、量子に対する精度の良い測定が可能であると、20031月に発表した。
小澤の不等式:ε(Q)η(P)ε(Q)σ(P)σ(Q)η(P)h
ε(Q)は位置の不確定性、η(P)は運動量の不確定性、
σ(P)は運動量の量子ゆらぎ、σ(Q)は位置の量子ゆらぎ
ε(Q)η(P)は測定の不確定性(認識論的)
ε(Q)σ(P)σ(Q)η(P)は量子ゆらぎ(存在論的)
(ハイゼンベルクの不確定性原理は ε(Q)η(P)h
hはプランク定数、πは円周率)
これを実証する実験結果が、2012115日のNaturePhysicsに掲載された。ウィーン工科大の長谷川祐司准教授らの実験で確認されたという。実験では原子炉から出る中性子のスピン角度を2台の装置によってはかり、不確定性原理の限界を超えて精度よく測ることに成功したという。
これが確認されれば、1.より精度の高いナノテクによる新材料・新技術・新発見、2.量子コンピュータの実現、3.量子暗号技術の高度化(または破綻)につながると期待されている。またもともと小澤の理論は、干渉計によって重力波が発見できるという理論的根拠になっているため、重力波の研究にはずみがつくとされる。
また実験結果によると、不確定性原理より精度よく測れる場合を示したが、決定論的に精密に測れた訳ではなく、さらなる追試と検証が待たれる。小澤は2つの考えを「測定」の時点を変えることによって解決している。
・不確定性という和訳
このUncertainty principleの和訳は、不確実性原理となるべきとも考えられる。物理学において不確定性という和訳に定着した経緯について事情は不明(未調査)。

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出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
ファインマンダイアグラム
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ファインマンダイアグラムは、場の量子論において摂動展開の各項を図に示したものである。それぞれのダイアグラムは素粒子をはじめとする実際の粒子の反応過程を表現している。
イメージ 2ノーベル物理学賞受賞者で量子電磁力学の創始者の一人であるリチャード・P・ファインマンによって提唱されたファインマンルールにのっとって計算することによって素粒子の振る舞いを記述できる。

右図に中性子のベータ崩壊についてファインマンダイアグラムを描いたものを示す。直線はフェルミオンを表し、波線はゲージボソンを示す。ダウンクォーク d がアップクォークu に変換されるときウィークボゾン W- を放出し、不安定なボゾンは電子 e- と反ニュートリノ\overline{\nu_\mathrm{e}}に崩壊することを表している。

この図の場合は時間の流れを縦にとり、下が始状態(initial state)、上が終状態(finalstate)となっている。時間の流れを横にとった場合は、反応式(例えばn \rightarrow p+e^- +\bar{\nu}_e)に合わせて左を始状態、右を終状態とする場合と、S行列S_{fi}=\langle f \vert S \vert i \rangleに合わせて右を始状態、左を終状態とする場合がある。

・ファインマンルール

ファインマンルールとは、与えられたラグランジアン密度からファインマンダイアグラムの頂点(バーテックス、verteces)、外線(externallines)、内線(internal lines)のそれぞれに物理変数からなる因子(factor)を対応させるルールのことである。物理変数からなる因子とは、多くの場合ベクトルやテンソルやスピノルである。このルールに従い、それぞれのダイアグラムに対応する因子をかけ合わせて積分すると、摂動的に、S行列から粒子の崩壊率(decayrate)、寿命、断面積(cross section)などの観測可能な物理量を計算することができる。

ファインマンルールには座標空間でのルールと運動量空間でのルールの2種類がある。
これらの対応表を与えるルールは、ある程度の一般的な形もあるが、通常、相互作用の形によってそれぞれ違った形のものが使われる。一般的なファインマンルールの大雑把な計算の流れは次のように与えられる。
・一般的なファインマンルールを用いたS行列の計算の流れ
求めたい摂動の次数に等しいだけの頂点を持ったファインマンダイアグラムをすべて書き出す。この時、相互作用の形によって頂点から出る線の種類と数は決まっている。粒子と反粒子が異なるような場(実でない場)の場合、矢印で粒子の進行する向き(反粒子の進行とは逆方向)を示すことでこれを区別する。
ファインマンルールに従い、頂点、内線、外線に対応する因子を全てかけ合わせ、積分を実行する。このときの積分は座標空間の場合、頂点に伴う座標変数について行い、運動量空間の場合は、内線に伴う運動量について行う。
ダイアグラムに対称性がある場合は同じ形になるダイアグラムの個数で割る。(Symmetry factor)

フェルミオンの反交換関係から出る符号(±)を掛ける。(fermionicsign)

書き出した全てのダイアグラムに対して足しあわせる。

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経路積分
経路積分は、リチャード・P・ファインマンが考案した量子力学の理論手法。ファインマンの経路積分とも呼ばれる。
・概要
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t0 で同時に A 点を出発した粒子が、別のt1 で同時に B 点に到達する無数の経路のうちの 3 つを示している。

古典力学(古典系)では、ある質点の運動の様子(運動の経路)は初期状態を決めてしまえば後は運動方程式を解くことによって一意的に定まる。一方、量子系では量子的な不確定さ(量子ゆらぎ)が存在するため、古典系のような一意的な経路の決定はできない。
量子系で素粒子などの運動の様子を求める方法はいくつか存在するが、その一つとして経路積分による方法がある。
経路積分の発想では、始点と終点を結ぶ経路は無数にかつ大域的に分布している。それら無数の経路の合成(計算的な意味での合成)が求める結果となる。
経路積分法によって求めた測定値の確率分布は、通常の演算子形式で求めた確率分布と一致する。よって演算子形式と経路積分法は等価な理論である。

演算子形式(シュレーディンガーによる波動力学やハイゼンベルクの行列力学)では、系の時間発展は運動方程式(例えばシュレーディンガー方程式)を解くことで求まるが、経路積分では運動の経路に着目して、経路全体に対する大域的な視点で量子力学上の問題を扱う。ファインマンは、ポール・ディラックの論文にあった「時刻 t t + ΔtΔt は微小とする)の2 状態間の遷移の振幅が、当該する系のラグランジアンの指数関数に対応する」という記述に着想を得て、この手法を考え出した。ファインマン自身は、この手法を使って液体ヘリウムの極低温でのロトンの励起の問題などを理論的に扱った。

・発想
ファインマンはディラックの著書中の
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は量子力学のqtb | qtaに対応する、という指摘に興味をそそられたと言われている。
具体的な経路積分の発想は、二重スリット実験と関連する。二重スリット実験ではスリットの数は2つであるが、これを無限個に拡張した考え方が経路積分である。
スリットの数が2つなら、経路は2つである。スリットの数が無限個なら、経路の数は無限個である。スリットの数が無限個になるという状況は、スリットの刻まれた衝立が存在しない空間、つまり障害物のない空間を意味する。従って、真空中では経路が無限個であると考えられる。
そのアイデアを数式で定式化したのがファインマンである。
・経路の干渉イメージ 3
二重スリット実験のように、少し条件が複雑になれば最終的な結論は変化し、古典力学の結論と一致するとは限らなくなる。
二重スリット実験ではスリットが2つあり、途中点が2つある。古典力学では単に経路の足し算があるだけで、ピークが2つ観測されるはずであるが、これは実験事実と異なる。一方、経路積分では経路の干渉を計算すると、縞模様の干渉縞ができる(これは、実験事実と一致する)。二重スリット実験の結果(干渉縞)は古典力学の理論では解釈できないが、経路積分の手法で考えれば妥当な説明を得ることができる。

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一般相対性理論 その1
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質量(地球)が空間の幾何学をゆがめている様子を2次元に落とし込んで描いたところ歪んだ幾何学自体が重力と解釈できる

イメージ 2 一般相対性理論(ドイツ語:AllgemeineRelativitätstheorie、英語:general theory of relativity)は、アルベルト・アインシュタインが1905年の特殊相対性理論に続いて1915 - 1916年に発表した物理学の理論である。

一般相対論General relativity)ともいい、ニュートン力学で記述すると誤差が大きくなる現象(光速度に近い運動や、大きな重力場における運動)を正しく記述できる。
・概要
   
エディントンによる1919年の皆既日食の写真   重力場の概念図
一般相対性原理と一般共変性原理および等価原理を理論的な柱とし、リーマン幾何学を数学的土台として構築された古典論的な重力場の理論であり、古典物理学の金字塔である。測地線の方程式とアインシュタイン方程式(重力場の方程式)が帰結である。時間と空間を結びつけるこの理論では、アイザック・ニュートンによって万有引力として説明された現象が、もはやニュートン力学的な意味での力ではなく、時空連続体の歪みとして説明される。

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