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Channel: アンディマンのコスモロジー (宇宙論)
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相転移 その1
 
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相転移phase transition)とは、化学的、物理的に均一な物質の部分である相 (Phase) が他の形態の相へ転移することの熱力学あるいは統計力学上の概念であり、それらを発生機構とする物理現象の総称でもある。相転移の発生は特定の原因に由来せず、原子あるいは分子間の相互作用を初めとし、結晶構造や局所構造あるいは磁場や温度・エネルギー分布など、場合に応じて複数の要素が複合的に作用して発生する現象である。
次に代表的な相転移の例を示す。
構造相転移(気相、液相、固相間の転移など)
磁気相転移(常磁性、強磁性、反強磁性などの間での転移)
金属-絶縁体転移(モット転移など)
常伝導-超伝導転移(超伝導)
常誘電体-強誘電体転移
真空の相転移(宇宙論)
・転移点
相転移を起こす温度や圧力などの状態量の値を転移点と呼ぶ。特定の物質において転移点は熱力学的状態により決定される値であり、たとえば特定の成分系の液相-気相転移点では圧力値など状態値が指定されれば、残りの状態値である温度、すなわち沸点は一意に決定される。このように相転移の状態値を相平衡図上で俯瞰すると転移点は図上では連続した線分を形成する。
転移点の例を次に示す。
沸点、融点、昇華点、(凝固点)
キューリー温度、ネール温度
ガラス転移点
 

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相転移 その2
・相転移の種類
相転移は大別すると準安定状態を持つ第一種相転移 (phase transition of the first kind)」と、それを持たない第二種相転移 (phase transition of the second kind)」に分類される。
これとは別にポール・エーレンフェストの分類法では自由エネルギーの温度あるいは圧力の n 階微分が不連続点を有する場合を「n次相転移」と呼ぶ。例えば、 1階微分が不連続点を有する場合を「一次相転移 (first order transition)」、2階微分が不連続点を有する場合を「二次相転移」と呼ぶ。転移点が一次相転移か二次相転移かの別により「一次相転移点」、「二次相転移点」と呼び分ける場合もある。
一次相転移と第一種相転移とは一致するが、エーレンフェストの二次相転移の定義に該当しない高次相転移も第二種相転移には含まれる。
相転移は自発的に生じる場合もあるが、一次相転移のように準安定状態を持ちうる場合は、過熱状態や過冷却状態のように転移点を越えても相転移を生じない場合がある。このような準安定状態では何らかの外的要因で核となる新しい相が発生し、それが引き金となって系全体に相転移が波及する。
・第一種相転移
物質の三態の間の状態変化はいずれも代表的な第一種相転移であり、次のように呼び分けられる。
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沸点において液体全体から蒸発が生じる場合は「沸騰」と呼ばれる。
†† 凝結と呼ばれる場合がある。特に固体表面での凝縮は「結露」と呼ばれる。
第一種相転移の転移点は圧力により変化する。物質固有の三重点以下の圧力では液相が存在しないため、蒸発や凝縮、融解や狭義の凝固は起こらない。また、臨界点以上の圧力では気相と液相の相違がなくなり、単一の相しか存在しない。
 

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相転移 その3(終わり)
・物理学的性質
一次相転移点の前後では,エントロピーやモル比熱などが不連続である。そして、前後の化学ポテンシャルμ1, μ2とは一致し、相転移の状態にある2つの相にはクラウジウス-クラペイロンの式が成立する。
第一種相転移は準安定状態を持つので固体表面や空間に浮遊する吸湿性の微小粒子やイオンなどの刺激するものが存在しないことが原因で過熱状態や過冷却状態のように転移点を越えても相転移を生じない場合がある。すなわち電子レンジで過熱した水の突沸や、放射線検出器の霧箱・泡箱の原理はこの第一種相転移の準安定状態に由来する。
物性としての蒸発のし易さ、し難さを「揮発性」・「不揮発性」という。液体の表面張力に打ち勝つ熱運動エネルギーを持つ分子は蒸発することができる。言い換えると、蒸発する分子は液体表面への付着についての仕事関数を超える力学エネルギーをもっている。したがって蒸発は液体の温度が高かったり、表面張力が低かったりするほど早く進行する。
また、理想気体あるいは理想液体では圧力に依存してその振る舞いを変えることはないが、実際の物質の場合には高圧になると気相と液相の振る舞いに相違がなくなる。その限界の転移点を「臨界点」と呼ぶ。その臨界点を超えた相の状態を超臨界状態と呼ぶ。
・転移熱
熱的現象としては第一種相転移が進行中の一成分系は圧力が一定の場合、系の温度が一定のままでの系外への熱の放出あるいは吸収が見られる。このような機構で生じる熱を転移熱(heat of transition)または潜熱(latent heat)とよぶ。そもそも熱の定義は物体に作用することで温度変化をもたらす物理量であり、一次相転移点以外の状態では熱の作用は温度変化をもたらすのでこの場合を顕熱(sensible heat)とよび、一次相転移点において作用により温度変化を生じない場合を潜熱と呼び分けたことに由来するので、顕熱と潜熱とで物理量である熱として違いがあるわけではない。
相転移前後を状態1、状態2とした場合、それぞれの相の生成エンタルピー H1, H2の総量の差分だけ、転移熱が発生する。
転移熱の単位は質量あたりの熱量 (J/g) または物質量あたりの熱量 (J/mol) で示される。例えば、水の融解熱は 333.5 J/g、気化熱は 2256.7 J/g である。
次に転移熱に該当する熱現象を次に示す。
蒸発熱(気化熱、凝縮熱) - 気相・液相間の第一種相転移
融解熱(凝固熱)- 液相・固相間の第一種相転移
・第二種相転移
代表的な第二種相転移である物理現象としては、構造相転移、磁気相転移、常伝導から超伝導状態への転移、液体ヘリウムの超流動状態などが挙げられる。一般に第二種相転移はある秩序変数が秩序無秩序へと転移する現象である。秩序変数としては結晶内の原子配列の規則化や磁性体の磁気的秩序等、多岐に渡る。
二次あるいは高次の相転移では化学ポテンシャルの一次導関数も連続である為、転移熱は発生せず、比体積の不連続点も発生しない。
一方、二次相転移では、化学ポテンシャルの二次導関数等は不連続で比熱や磁化率が転移点で不連続性を示す。そのほかにも第二種相転移点付近では物理量の異常性が現れ、それらは臨界現象と総称される。たとえば、比熱が第二種相転移点付近でギリシャ文字のλ の形のグラフを示して発散するケースはラムダ転移と呼ばれる。
 

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ゲーデル解
 ゲーデル解(Gödel solution)は、一般相対性理論のアインシュタイン方程式の厳密解の一つ。クルト・ゲーデルが1949年に発表した。物質分布を規定するエネルギー・運動量テンソルを、回転する一様なダスト粒子として仮定し、ゼロでない宇宙項を仮定したアインシュタイン方程式のもとで得られる。
ゲーデルの解には時空特異点は存在しない。この解は、宇宙項の大きさをダストの密度によって再定義するなど多分に人工的なものであるが、解としてはさまざまな奇妙な振る舞いをするため、アインシュタイン方程式そのものに内在する困難さを代表するものとして、よく登場する。
時空がどこかを中心として自転している場合に相当するので、中心からはるかに離れ、回転速度が相対的に光速を越える場所では時間の輪が生じることになり、宇宙の歴史が周期的に繰り返される(過去と未来の区別が局所的にしか成立しない)と解釈することも可能である。したがって、時間旅行が理論的に可能になる。
計量
ゲーデルの解は、次の計量 (metric) で表される。
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ここで、ω は、ゼロではない実の定数で、角速度を表す。
ωがゼロなると、括弧内の式の値と関係なく、ds が無限大になって、物理学では処理できないことになる。
 

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原子核融合 その1
 原子核融合nuclear fusion)とは、軽い核種同士が融合してより重い核種になる反応である。一般には単に核融合と呼ばれることが多い。
イメージ 1原子核同士がある程度接近すると、原子核同士が引き合う力(核力)が反発する力(クーロン力)を超え、2つの原子が融合することになる。融合のタイプによっては融合の結果放出されるエネルギー量が多いことから水素爆弾などの大量破壊兵器に用いられる。また核融合炉によるエネルギー利用も研究されている。
核分裂反応に比べて、反応を起こすために必要な温度・圧力が高いため技術的ハードルが高く、現在のところ、水素爆弾は核分裂反応を利用して起爆する必要があり、核融合炉は高温高圧の反応プラズマを封じ込める技術開発が困難を極めている。
なお、具体的な放出エネルギー量や反応を起こさせる方法の詳細については核融合炉も参照のこと。
・核融合の種類
熱 核融合 - 超高温により起こる核融合。本項で詳説する。
衝突核融合 - 原子核を直接に衝突させて起こす核融合。原子核の研究目的。
スピン偏極核融合 - 陽子と中性子の自転の角運動量のパラメータ(スピン)を制御する事により核融合反応を制御する。
ピクノ核融合 - 非常に高密度の星(白色矮星)の内部で起こっていると考えられている核融合反応。電子が原子核のクーロン力を強く遮断して、低温の状態でも零点振動による量子トンネル効果により核融合が起こる。
ミューオン触媒核融合 - 負ミューオンが原子核の電荷1つ分を核近くまで無効化するので核融合が起こりやすくなる。負ミューオンは消滅までに何度もこの反応に関与できるので触媒のように作用する。
常温核融合 - 室温で核融合が起こるとされた実験報告がなされた。
 

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原子核融合 その2
・融合炉・爆弾での反応
D-T反応
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*D-T反応
 D + T 4He + n
核融合反応の中でもっとも反応させやすいのが、重水素(D)と三重水素(トリチウム、T)を用いた反応である。これは過去には水素爆弾に利用され、現在でも、もっとも実現可能性の高い核融合炉の反応に用いられている。
・恒星での反応
恒星などの生み出すエネルギーも、基本的には核融合によるものである。
*D-D反応
 D + D T + p
 D + D 3He + n
収縮しつつある原始星の中心温度が約250Kを超えると、初めて核融合が起こる。最初に起こるのは、比較的起こりやすい、2つの重水素(D) が反応する重水素核融合(工学ではD-D反応と呼ぶことも多い)である。重水素核融合を起こした天体を褐色矮星と呼ぶ。
中心の温度が約1,000Kを超えると(ちなみに太陽の中心は1,500K)、以下に述べるような水素核融合を起こし、恒星と呼ばれる。
・陽子-陽子連鎖反応
次の、軽水素(陽子、p)どうしが直接反応する水素核融合を、陽子-陽子連鎖反応、p-pチェインなどと呼ぶ。太陽で主に起こっている核融合反応である。
(1) p + p 2H + e+ + νe
2つの陽子が融合して、重水素となり陽電子とニュートリノが放出される。
(2) 2H + p 3He + γ
重水素と陽子が融合してヘリウム3が生成され、ガンマ線としてエネルギーが放出される
(3) 3He + 3He 4He + p + p
ヘリウム3とヘリウム3が融合してヘリウム4が生成され、陽子が放出される。
CNOサイクル
次の、炭素(C)・窒素(N)・酸素(O) を触媒とした水素核融合を、CNOサイクルと呼ぶ。星の中心温度が約2,000Kを超えると、p-pチェインよりCNOサイクルのほうが優勢になる。
(a-1) 12C+4p 12C+α
(b-1) 12C+p 13N
(b-2) 13N+3p
12C+α
(c-1) 12C+p 13N
(c-2) 13N+p
14O
(c-3) 14O+2p
12C+α
系の温度が高いとa->b->cの順に反応経路が変化し、反応速度が速まるが、基本的には炭素1+陽子4つが炭素1つとアルファ線になる反応である。
また、b,cでは13N14Oがそれぞれベータ崩壊、ガンマ崩壊する前に次のステップに進む。
・ヘリウム燃焼
恒星の中心核に充分な量のヘリウムが蓄積された場合に起こる反応。水素原子核の核融合の後に残ったヘリウムは恒星の中心に沈殿し、重力により収縮して中心核の温度が上がる。約1K程度になると3つのヘリウム原子核がトリプルアルファ反応を起こし、炭素が生成され始める。
 3 4He C
ヘリウム中心核からの熱により核の周辺部では水素の核融合が継続する。
 

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原子核融合 その3(終わり)
・炭素より重い元素の燃焼
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中心温度が15 Kを超えると、炭素も核融合を始める(炭素燃焼過程)。さらに恒星が十分な質量を持っていれば、ネオン燃焼過程、酸素燃焼過程、ケイ素燃焼過程を経て安定した鉄56(最も安定な核種はニッケル62。詳細は鉄参照)が作られ、中心での核融合反応は終了する。星は内側から、鉄の核、ケイ素の球殻、酸素の球殻、ネオンの球殻、炭素の球殻、ヘリウムの球殻、水素の最外層からなる、タマネギ状の構造になり、中心以外の各層で核融合が進行する。
・超新星爆発
中心温度が100 Kを超えると、黒体放射の光子のエネルギーが核子の結合エネルギーと同程度になるため、鉄の光分解が起こる。
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この吸熱反応により中心の温度が下がり、それにより圧力も下がる。圧力が下がると星は収縮するが、収縮により温度が上がって光分解が進む。繰り返されるこの過程により恒星は重力崩壊する。中心部に物質が落下し、原子核に電子が取り込まれて陽子がニュートリノを放出して中性子が出来る。中心に中性子の塊が出来、自身の縮退圧で支えられるようになると、外層から落下してきた物体は中性子の塊の表面で跳ね返され、超新星爆発を起こす。鉄より重い元素は、超新星爆発のときの核融合で作られる。
なお、この時に残った中性子の塊は中性子星となる。もし中性子の塊が自身の縮退圧で支えられない状況になると、ブラックホールになる。
 

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等価原理 その1
等価原理equivalence principle)は、物理学における概念の1つで、重力を論じる一般相対性理論の構築原理として用いられる他に、異なる座標系での物理量測定の一致性についての議論でも登場する。
・概要
使用する状況によって、次の3つの意味がある。
「物理法則は宇宙のどこでも同じでなければならない」というコペルニクス的なアイデアを指す。
「慣性質量と重力質量が同一である」あるいは「自由落下する物体の軌跡は、物体の種類によらず一定である」という原理(以下に紹介する「弱い等価原理」)を直接指す。
「局所的に観測される重力は、非慣性系にいる観測者の疑似的な力と同じである」あるいは「無限小の領域では、運動の加速度と重力加速度は区別できない」という、アルベルト・アインシュタインが一般相対性理論を構築するときに発見した原理を指す。
研究対象としては、以下に述べる弱い等価原理 (WEP)・アインシュタインの等価原理 (EEP)・強い等価原理 (SEP) 3つの表現に大別される。これらの等価原理が成立していることの確認は、現在でも実験の対象である。これらの原理が破れていることを積極的に示す実験結果は、現在まで報告されていない。
・弱い等価原理
弱い等価原理 (Weak equivalence principle, WEP) は、自由落下の一般性 (the universality of free fall) としても知られている。
自由落下する物体の軌道は、初期の位置と速度にのみ依存し、物体の種類によらない。
または、
与えられた重力場において、時空のある一点で発生する加速度は、物体の種類によらず一定である。
この原理が成り立つとするならば、重力のみを受けて運動する物体の軌跡はどの物体でも同じ、ということになる。ただし、ここでの物体は、それ自身が潮汐力を受けない程度に小さなものであることを仮定している。潮汐力が作用すると重力場自身の作用が変わるからである。
・弱い等価原理の検証実験
エトヴェシュ・ロラーンドによる1908年の実験が有名である。同じ質量の2つのおもりを天秤にかけ、重力加速度と地球の回転による加速度の違いで生じる天秤のねじれを利用して等価原理を検証しようというもので、その結果は、10-9 の精度であった。
現在でも米国ワシントン大学(ワシントン州)を中心として、1987年から Eöt-Wash 実験が続けられている。およそ、10-12 の精度で等価原理が確かめられている。
 

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等価原理 その2(終わり)
・アインシュタインの等価原理(Einstein's equivalence principle, EEP)
ニュートン力学では、「自由落下する観測者は、重力と慣性力が釣り合うので重力の作用がない」と説明されるが、弱い等価原理が成り立つならば、「自由落下する観測者は慣性系である」と考えることが可能である(より厳密には局所慣性系である、という)。
アインシュタインは、弱い等価原理を拡張して、慣性系で成立するすべての物理法則(重力や力学の法則を除いた、すべての物理法則)は等価である、という表現を行った。すなわち、慣性系にある実験室での、重力に起因しない実験結果は、実験室の速度や位置に依存しない。という原理をおいた。ここでの実験室のサイズも、また実験結果も、潮汐力を受けない程度に小さいことが必要である。
・アインシュタインの等価原理の検証
検証の手段としては、次元をもたない物理定数の定数性の確認がある。Oklo における微細構造定数の定数性の確認 (1976 - ) では、10-7の精度、クェーサーによる電子・陽電子質量比の測定 (2002 - ) では、10-1の精度で、定数性が確認されている。
・重力の理論に対する帰結
アインシュタインの等価原理から、重力の理論に対する制限として次の二つが導かれる。
時空の計量テンソル gμν は、対称テンソルでなければならない。
自由落下する物体の運動は、測地線として表現されなければならない。
・強い等価原理 (Strong equivalence principle, SEP)
アインシュタインの等価原理は重力の作用を除いた表現であったが、これを重力を含めても成り立つ、とする表現である。
小さな物体の重力場中での運動は、初期位置と初速度にのみ依存し、物体の種類によらない。
または、
慣性系にある実験室での実験結果は、重力に起因するものであっても起因しないものであっても、実験室の速度や位置に依存しない。
・強い等価原理の検証実験
検証の手段としては、重力定数 G の宇宙全体における一定性、または基本粒子の質量の等価性がある。太陽系内での観測や宇宙初期の元素合成の研究では、重力定数の変化は現在値よりも 10 % 以内であることが確かめられている。
・重力の理論に対する帰結
強い等価原理から、重力の理論に対する制限として次のことが導かれる。
重力の理論は、時空の計量テンソル gμν だけで書かれていなければならない。
・重力質量と慣性質量
重力質量は、ニュートンの万有引力の法則である。
 F = G x m1m2 / r2
において現れる質量の m1m2である。G は万有引力定数、r は質点間の距離。
慣性質量 miは、ニュートンの運動方程式である。
Mi = F / a
で物体に働く力 F と加速度aの比として定義される量である。
参考 1:重力質量と慣性質量の間の比例係数が 1 となるように万有引力定数の値が与えられる。
参考 2:ケプラーの法則を、運動方程式と万有引力の法則の組み合わせとして定式化する過程で「弱い等価原理」が必要となる。ニュートンの研究において、弱い等価原理が成り立つことは、振り子を振らせたときの周期の測定と、天体の運行の観測データが根拠となっている。
 

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黒体放射(黒体)
 黒体black body)あるいは完全放射体とは、外部から入射する熱放射など(光・電磁波による)を、あらゆる波長にわたって完全に吸収し、また放出できる物体のことである。
 
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・概要
完全な意味での黒体(完全黒体)は、現実には存在しないと言われているが、ブラックホールなど近似的にそうみなせる物質、物体はある。現在、工業的に作り出された最も黒体に近い物質は、紫外線 (UV-C) から可視光線、遠赤外線(F-IR200 nm 200 µm までの広い波長域で 99 % の光(電磁波)を吸収するカーボンナノチューブ黒体である。
黒体からの熱などの放射を黒体放射と言う(以前は黒体輻射ともいった)。ある温度の黒体から放射される電磁波のスペクトルは一定である。温度 T において、波長λ の電磁波の黒体放射強度 B (λ) は、
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で表される。これをプランク分布という。プランク分布を全波長領域で積分することで、黒体放射の全エネルギーがT4に比例する(E = σT4σ:シュテファン=ボルツマン定数)というシュテファン=ボルツマンの法則を得る。また微分して B (λ) が極大となるλ を求めることで、放射強度最大の波長が T 反比例するというウィーンの変位則を得る。
・空洞放射
十分に大きな空洞を考え、空洞を囲む壁は光を含む一切の電磁波を遮断するものとする。この空洞に、その大きさに対し十分に小さな孔を開ける。孔を開けることによる空洞内部の状態の変化は無視できるとする。外部からその孔を通して入った電磁波(ある特定の波長のものが光)が、空洞内部で反射するなどして再び出てくることは、孔が十分に小さければ無視することができる。つまりこの空洞は、外部から入射する電磁波を(ほぼ)完全に吸収する黒体とみなすことができる。
この空洞からの熱などの放射を空洞放射という。
空洞放射に近い身近な例は、ガラス工房などでガラスを熱する炉である。産業革命以降、製鉄業等で炉内の温度測定をする需要があったため、空洞放射の理論が用いられた背景がある。
・黒体放射と量子力学
黒体放射とは黒体から放射される光。温度が低いときは赤っぽく、温度が高いほど青白くなる。夜空に輝く星々も青白い星ほど温度が高い。温度はK(ケルビン)で表示される(上図参照)。
理想的な黒体放射をもっとも再現するとされる空洞放射が温度のみに依存するという法則は、1859年にグスターブ・キルヒホッフにより発見された。以来、空洞放射のスペクトルを説明する理論が研究され、最終的に1900年にマックス・プランクによりプランク分布が発見されたことで、その理論が完成された。
物理的に黒体放射をプランク分布で説明するためには、黒体が電磁波を放出する(電気双極子が振動する)ときの振動子の量子化を仮定する必要がある(プランクの法則)。つまり、振動子が持ちうるエネルギー (E) は振動数 (ν) の整数倍に比例しなければならない。
E = nhν (n = 0, 1, 2, ...)
この比例定数 h = 6.626×10-34 [Js] は、後にプランク定数とよばれ物理学の基本定数となった。これは物理量は連続な値をとり、量子化されないとする古典力学と反する仮定であったが、1905年にアルベルト・アインシュタインがこのプランクの量子化の仮定と、光子の概念を用いて光電効果を説明したことにより、この量子化の仮定に基づいた量子力学が築かれることとなった。
・灰色体
工業製品などでの設計では、対象の温度範囲が限られていることから、しばしば放射率が周波数に依存しない理想的な物体として灰色体(かいしょくたい)を用いる。灰色体は、黒体の放射率を 1 より小さい定数としたものと等価であり、黒体よりも現実的なモデルを与える。
・応用例
-放射温度計
-サーモグラフィー
 

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原子核融合 その3(終わり)
・炭素より重い元素の燃焼
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中心温度が15 Kを超えると、炭素も核融合を始める(炭素燃焼過程)。さらに恒星が十分な質量を持っていれば、ネオン燃焼過程、酸素燃焼過程、ケイ素燃焼過程を経て安定した鉄56(最も安定な核種はニッケル62。詳細は鉄参照)が作られ、中心での核融合反応は終了する。星は内側から、鉄の核、ケイ素の球殻、酸素の球殻、ネオンの球殻、炭素の球殻、ヘリウムの球殻、水素の最外層からなる、タマネギ状の構造になり、中心以外の各層で核融合が進行する。
・超新星爆発
中心温度が100 Kを超えると、黒体放射の光子のエネルギーが核子の結合エネルギーと同程度になるため、鉄の光分解が起こる。
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この吸熱反応により中心の温度が下がり、それにより圧力も下がる。圧力が下がると星は収縮するが、収縮により温度が上がって光分解が進む。繰り返されるこの過程により恒星は重力崩壊する。中心部に物質が落下し、原子核に電子が取り込まれて陽子がニュートリノを放出して中性子が出来る。中心に中性子の塊が出来、自身の縮退圧で支えられるようになると、外層から落下してきた物体は中性子の塊の表面で跳ね返され、超新星爆発を起こす。鉄より重い元素は、超新星爆発のときの核融合で作られる。
なお、この時に残った中性子の塊は中性子星となる。もし中性子の塊が自身の縮退圧で支えられない状況になると、ブラックホールになる。
 

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スペクトル
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 スペクトルspectrum)とは、複雑な情報や信号をその成分に分解し、成分ごとの大小に従って配列したもののことである。2次元以上で図示されることが多く、その図自体のことをスペクトルと呼ぶこともある。
様々な領域で用いられる用語で、様々な意味を持つ。現代的な意味のスペクトルは、分光スペクトルか、それから派生した意味のものが多い。
・語源
日本語の「スペクトル」は、フランス語の spectre から来ており、英語の spectrum[スペクトラム]同様、ラテン語の spectrum[スペクトルム]を語源としている。この語は「見る」を意味する動詞 specere の派生語で「像」を意味する(原義は「見えるもの」「現れるもの」)。「幻姿」を意味する英語の specter[スペクター]とは同語源。
・分光スペクトル
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分光学では、電磁波(光)をプリズムや回折格子といった分光器を通すことにより得られる、電磁波の波長ごとの強度の分布を(分光)スペクトルという。
対象物と光との関係により、次の種類がある。
光源スペクトル - 対象物が発する光のスペクトル。
反射スペクトル - 標準の光源に対し、対象物で反射する光のスペクトル。
透過スペクトル - 標準の光源に対し、対象物を透過する光のスペクトル。
吸収スペクトル - 標準の光源に対し、対象物が吸収する光のスペクトル。直接は計測できず、減算で計算する。また、スペクトルの波形の特長から、次のような種類がある。
連続スペクトル
熱放射による光はあらゆる波長の光を含んでいる。このような光はプリズムで分光すると連続的な虹色の模様になる。そこでこのような光のスペクトルを連続スペクトルという。
輝線スペクトル
電離あるいは励起された原子から放射される光は原子内の電子のエネルギー準位が量子化されているため、ある特定の波長だけに限られている。このような光はプリズムで分光すると離散的ないくつかの光の線となる。この光の線を輝線といい、輝線からなるスペクトルを輝線スペクトルという。
吸収線スペクトル
連続スペクトルを放つ光源と観測者との間に原子が存在すると、その原子がある特定の波長の光を吸収して励起されるため、その波長での強度が減少したスペクトルとなる。このような光はプリズムで分光すると連続的な虹色の模様の中にいくつかの暗い線が見られる模様となる。この暗い線を吸収線または暗線という。吸収線を持つスペクトルが吸収線スペクトルである。
恒星は中心部の核融合反応で輝くガス球であり、その分光学的性質はほぼ黒体に近い。そのため、恒星のスペクトルは大雑把にはその表面温度の黒体放射に対応する連続スペクトルとなっており、その中に恒星大気中の原子や分子による吸収線スペクトルが見られる。その吸収線スペクトルのパターンによって恒星の分類がされている。これをスペクトル分類という。太陽も恒星の1つであるから、そのスペクトルには吸収線が見られる。この吸収線は発見者の名前をとってフラウンホーファー線と呼ばれている。
・一般化したスペクトル
分光スペクトルの概念は、一般の波に拡張された。
・時系列解析
物理学や工学の時系列解析では、解析対象である、時間領域における時間の関数(波形)に対し、それから周波数変換(たとえばフーリエ変換)で得られる、周波数領域における周波数の関数をスペクトルという。
周波数領域におけるパワー密度(振幅の2乗)である、パワースペクトル密度 (PSD) が代表的である。分光学での分光スペクトルは、電磁波のパワースペクトル密度である。
なお正確には、スペクトルを求める周波数変換の対象は時間領域とは限らず、たとえば長さのこともよくある。周波数領域に対しさらに周波数変換をすることもあり、その結果は、ケプストラム(cepstrumspectrumのアナグラム)という。
・化学
化学では、一般には、試料に対してなんらかの刺激を与えた際、その刺激や応答を特徴づける量に対して応答強度を記録したものをスペクトルという。
吸収スペクトルをスペクトルと言うことが多いが、この文脈では吸収スペクトルとは、「刺激として電磁波を用い、波長に対し吸収強度を記録したもの」と言える。
他には、質量分析法では、刺激として電子衝突を用いて、分解によって生じた破片の質量に対しその量を記録したものをスペクトルと呼んでいる。
・その他のスペクトル
-生物学
抗生物質が効く細菌の種類の範囲を(抗菌)スペクトルという。
-政治学
政治学では、イデオロギー分布に基づいて諸政治勢力(政党が中心だが、議会外野党や反体制組織まで範囲を拡大する場合もある)を配置した模式図、ないし配列そのものを政治的スペクトル(political spectrum)として、分析ツールの一つとして用いている。一般には、左に左翼勢力を持ってくる。対象は、一般的な政党や各国の具体的な政党など、自由に設定でき、特定の政党内部での派閥の配置を表現することも可能である。日本の主要政党を例にとると、<共産党:社民党:民主党の左端:公明党:自民党の左端:国民新党:民主党の右端:自民党の右端>といったような並び方になる。
各政党の政策パッケージが多様化してきている今日では、政治(第一軸)、経済(第二軸)による二軸型、さらには文化(第三軸)まで加えた三軸型の分析枠組も活用されており、一軸型の政治的スペクトルは過去のものとなりつつあるが、単純であるが故にわかりやすいという利点もあり、最適な分析枠組となる状況もある。
 

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Λ-CDMモデル
Λ-CDMモデルとは、「冷たい暗黒物質 (Cold Dark Matter, CDM)*1 モデル」に宇宙項Λ を加えた宇宙モデルのこと。
銀河の回転運動(中心部の回転速度と周辺部の回転速度が同じであるというアノマリー)や銀河群、銀河団の運動の観測から、宇宙には光を発しない暗黒物質が存在することを仮定する。そして、元素合成理論から、暗黒物質の主成分が暗い天体(ブラックホール、褐色矮星等)ではないこと、さらに普通の物質とは重力以外では弱く相互作用しない非バリオン的な物質であることが知られている。その中でも、ニュートリノのような軽い(熱い)粒子ではなく、重い(冷たい)粒子(アクシオン、ニュートラリーノなど)があると、インフレーション理論で生まれた揺らぎが成長することによって、現在の宇宙の階層構造になったという観測事実をうまく説明できる。
 
*1 コールドダークマター
コールドダークマターcold dark matter; CDM)とは、運動エネルギー質量エネルギーに比べて小さく、粒子の運動速度が遅い暗黒物質であり、宇宙の構造形成を説明するために仮説的に導入された物質である。冷たい暗黒物質とも呼ばれる。
コールドダークマターは、Λ-CDMモデルにおいて、宇宙の密度揺らぎを成長させ、宇宙の大規模構造に大きく関与したとされる。SUSY粒子ヒッグシーノアクシオン等の未発見の素粒子が候補として挙げられている。
 
*2 超対称性粒子
超対称性粒子supersymmetric particleSUSY粒子)は、超対称性理論によって存在が予想されている、既存の粒子に対し、スピンが1/2ずれただけで、電荷などは等しい素粒子。スピンが1/2ずれているため、既存のフェルミオンに対し未知のボソン、既存のボソンに対し未知のフェルミオンが予想されている。ボソンとフェルミオンの対応する相方を超対称性パートナー (supersymmetric partner) という。
現在の宇宙ではこのような粒子は観測されていない為、少なくとも低エネルギーでは超対称性は破れており、超対称性の破れによって粒子とその超対称パートナーの質量が異なっていると考えられている。2008年より稼働したCERNの加速器LHCでの発見が期待されている。
超対称性粒子の中で最も軽いものはLSP (Lightest Supersymmetric Particle) と呼ばれる。R-parityの保存を仮定すればその粒子は崩壊しない安定粒子となるため、LSPが電気的に中性であればダークマターの候補となる。
・命名法
ボソンに対するフェルミオンの超対称性パートナーは、元のボース粒子の名の語尾を-inoとする。-inoは「小さい」という意味。
フェルミオンに対するボソンの超対称性パートナーは、元のフェルミ粒子の名の語頭にs-をつける。s-はスカラーの略で、フェルミオンに対する超対称性粒子はスピンが0のスカラー粒子であることを表す。略さず「スカラー」を頭につけることもある。
 
 

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ブレイン宇宙論ブレーンワールド)
ブレーンワールド膜宇宙braneworld)またはブレーン宇宙論brane cosmology)とは、『我々の認識している4次元時空(3次元空間+時間)の宇宙は、さらに高次元の時空(バルク、bulk)に埋め込まれた膜(ブレーン、brane)のような時空なのではないか』と考える宇宙モデルである。低エネルギーでは(我々自身を含む)標準模型の素粒子の相互作用が4次元世界面(ブレーン)上に閉じ込められ、重力だけが余剰次元(5次元目以降の次元)方向に伝播できる、とする。
・歴史、概説
高次元時空の概念は、もともと素粒子論、場の理論に基づいて提唱され、研究されてきた。元来は20世紀初頭にテオドール・カルツァとオスカル・クラインによって提唱されたカルツァ=クライン理論による重力と電磁気力の統一が目的であった。しかしカルツァ=クライン理論は電磁気力の精密測定との整合性がとれず、歴史から忘れ去られる。 1980年代、超弦理論において26次元の高次元時空が存在すれば弦の量子化が可能であることが発見された。ここで高次元模型は再び日の目を見る。90年代には、Dブレーン超弦の端点が固定された膜:Dirichlet-braneなどの概念が確立し、弦理論における高次元時空の概念はさらに発展した。この期を境に、「高次元時空上に存在する、ゲージ粒子などの特定の種類の粒子が局在化した、4次元以上の時空の膜」の意として「ブレーン」と言う言葉が誕生した (語源はmembrane:和訳は「膜」) これをきっかけに高次元模型は再び研究の対象となり、90年代後期には現象論にも応用される。1998-2000年にアントニアディス、アルカニハメド、ディモポーロス、そしてドヴァリらの大きな余剰次元 (large extra dimension) の模型、リサ・ランドールとラマン・サンドラムのワープした (歪んだ) 余剰次元 (warped extra dimension) の模型、ドヴァリ・ガバダジェ・ポラッティのブレーン誘導重力 (brane induced gravity) に基づく模型などが提唱された。以降、その理論的、現象論的側面からの研究、宇宙論的側面を明らかにする研究などが活発に行われるようになった。近年精力的に研究が進められている宇宙モデルの1つである。
このような研究の動機のひとつは、超弦理論やM理論における高次元空間での整合的な理論構築である。時空の次元を増やす理論は、カルツァ=クライン理論をはじめとして古くからあるが、余剰次元は小さく丸まっていて通常の低エネルギーの観測手段では見えないとするコンパクト化の考えに基づいていた。これに対し、ブレーン仮説では、余剰次元は小さくはないが、低エネルギーの物質や電磁場はブレーン上にのみ存在でき、重力だけは余剰次元にも存在しうる、と考える。ブレーン仮説を考えると、物理学における4つの基本的な力(相互作用)のうち、重力だけが極端に弱いという階層性問題を「重力だけがバルク中も作用するから」として説明できる可能性がある。これも高次元模型を考える大きなモチベーションである。空間の埋め込みの数学的研究は19世紀に遡り、物理的なブレーンワールドは、1980年代頃から研究され、発展してきたが、上述のように、1998年頃に階層性問題への適用が再認識され、加速器、宇宙等での観測の可能性が指摘されて、一躍注目を集めるようになった。
これらの概念を応用して、宇宙の初期特異点の解決を試みるモデルであるビッグバンの起源を複数のブレーンの衝突で説明するエキピロティック宇宙モデル、宇宙のインフレーションをブレーンの運動で捉えるモデル、そして宇宙のダークエネルギー問題の解決を試みるモデルなど、宇宙論のさまざまな分野でアイデアが提出され研究されている。また高次元模型の自然な帰結として、一般相対性理論を高次元時空で考える研究もされてきた。例えば時空が高次元であるならば、陽子ビームを衝突させるLHC加速器でマイクロ・ブラックホールが生成される可能性も指摘され、近い将来実験検証が開始される予定である。ブレーン宇宙モデルでは、一般に余剰次元の効果の現れるエネルギースケールが、4次元理論での重力スケール(プランクスケール)や従来の高次元宇宙模型(カルツァ=クライン理論)に比べてずっと小さくなり得るため、初期宇宙にブレーンのサイズが余剰次元のサイズと同程度の時期があれば、将来的にその痕跡が宇宙マイクロ波背景放射の揺らぎなどから観測されると期待されている。
 

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カルツァ=クライン理論
カルツァ=クライン理論 (Kaluza-Klein theory, KK理論) は、重力と電磁気力を統一するために五次元以上の時空を仮定する理論である。理論物理学者のテオドール・カルツァが1921年に提唱し、1926年にオスカル・クラインが修正した。
・概要
通常の4次元時空(縦、横、高さ、時間)にもうひとつ、超微細な円形で存在する余剰時空を設定した5次元時空上での一般相対性理論(重力)を考えると、余剰次元が見えなくなり、4次元時空とみなせるスケールでは、重力に加えて電磁気力(ゲージ場)が現れる。4次元では別々の力として扱われていた重力と電磁気力が、5次元時空の重力に統一されるわけである。これをさらに高い次元に拡張すると、余剰次元の性質により、非可換ゲージ場を導入することも可能である。
超弦理論では、理論が無矛盾に定義される条件として10次元時空が要請されるため、このカルツァ=クラインの考え方を応用して余分な6次元空間がプランクスケール程度の大きさであると考えることにより、4次元時空上の理論を導出しているが、6次元のみが小さくなる機構は明らかになっていない。
・歴史
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 空間M x Cはコンパクト集合Cにコンパクト化され、カルツァ=クライン分解によりMの有効場の理論が得られる。
五次元 (Five-dimensional space) 目の時空をアインシュタイン方程式に四次元をマクスウェル方程式に分割する方法は、1914年にグンナー・ノルドシュトルムによって初めて発見された。しかし、この理論は忘れ去られた。
カルツァは1919年に、理論の元となるアイディアをアルベルト・アインシュタインへの手紙の中で明らかにした。論文はしばらくアインシュタインの机の中にあったが、その後アインシュタインの助力を得て1921年に発表された。当時のカルツァは無名の私講師であり、その理論も当初はあまり評価されなかった。
1926年になって、クラインがカルツァの理論を修正して理論を発展させ、「カルツァ=クライン理論」として知られるようになった。クラインは、五次元時空の理論に余剰次元を非常に小さなスケールに折りこむというコンパクト化の理論を組み込んだ。
 

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M理論
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 M理論とは、現在知られている5つの超弦理論を統合するとされる、11次元(空間次元が10個、時間次元が1個)の仮説理論である。尚、この理論には弦は存在せず、2次元の膜(メンブレーン)や5次元の膜が構成要素であると考えられている。
・低エネルギー極限
この理論の低エネルギー有効理論は、11次元超重力理論となる。この理論に登場する場は重力場(グラビトン場)・グラビティーノ場・3形式場しかなく、超弦理論の低エネルギー有効理論である10次元超重力理論よりも単純な理論であると言える。また、登場する場のスピンが2以下である超重力理論の最高次元は11次元である(時間次元が1個と仮定した場合)。従って、11次元超重力理論は超弦理論が登場する以前、究極理論である可能性があると考えられていた時期もあったが、その後、繰り込み不可能であり、多様体へのコンパクト化でカイラルな理論が作れないと考えられたため、無視されていた。 1995年、エドワード・ウィッテンによって提唱されたこのM理論は、11次元超重力理論がもつこれらの難点を克服すると考えられるものであり、その提唱は第二次超弦理論革命へのきっかけとなった。
・超弦理論との関係
超弦理論が1980年代に物理学界で話題になると研究が急速に進み、超弦理論は5つの異なるバージョンに発展してしまった。それらの5つのバージョンの超弦理論はそれぞれ、I型、IIA型、IIB型、ヘテロSO32)、ヘテロE8×E8と呼ばれる。これらの5つのバージョンを統合するのがM理論である。M理論は特にIIA型超弦理論の強結合極限として定義され、さらにこれらすべての超弦理論が双対性によって互いに繋がっていることが示唆されたため、超弦理論よりも根源的な理論と考えられている。ここでの双対性とは、弦の強結合領域と弱結合領域を関係付けるS双対性(strong-weakの略)、空間の極大領域と極小領域を関係付けるT双対性(target-spaceの略)、S,T双対性を結びつけたU双対性(unifiedの略)である。特に、T双対性は極大領域における弦の振動モードと極小領域における弦の巻きつきモードを対応付けるものであり、小さい領域に巻きつくという弦特有の(点粒子には無い)性質が反映されたものになっている。従って、M理論が定式化できた暁には、5つの超弦理論はM理論の一部であると主張されることになるであろう。
M理論に関する研究の現状
現時点ではM理論は超弦理論より更に未完成であり、現実の物理法則に合致するものも得られていないため、最終的に物理理論として成立するか不明瞭である。数学的な仮説の段階だとも言える。また最近では、M理論を超弦理論よりも深遠な理論であるとすることに疑問を持っている研究者も少なからずいるようである。M理論を定式化するにあたっての特に大きな問題は、2次元の膜を量子化する方法が分からないことであろう。これについては、IIA型超弦理論におけるD0-braneを自由度とした行列模型(flat時空を背景とするBFSS行列模型、pp-wave時空を背景とするBMN行列模型)によってM理論を定式化しようとする動きもあり、研究が進められている最中である。
・その他
ウィッテンは、名称の「M」について、2003年のヒストリー・チャンネルのドキュメンタリー番組『美しき大宇宙』の中で「Mは、マジック(Magic)、ミステリー(Mystery)、メンブレーン(membrane;膜、超弦理論における「ひも」の構成要素)など、その人の好きなものを意味します。」と悪戯っぽく語り、「M」の意味について明確に述べていない。
メンブレーン(膜)は単に「ブレーン」と呼ばれる場合もある。
 

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宇宙の曲率(宇宙の形
宇宙の形shape of Universe)は、宇宙の幾何学を記述する宇宙物理学のテーマの一つのくだけた呼び名である。宇宙の幾何学は局所幾何(Local geometry)大域幾何(Global geometry)の両方からなる。宇宙の形は、おおざっぱには曲率と位相幾何学により分けられ、厳密にはその両方の範疇をはみ出ている。より形式には、このテーマは、どの3-多様体が、4次元の時空の共動座標(comoving coordinates)の空間区分(spatial section)に対応するのかを調べることにある。
時空の形、宇宙の曲率、時空の曲率、ともいう
・導入
宇宙の形の考え方は、2つに分けられる。1つは、宇宙のどこでも、とりわけ観測可能な宇宙の曲率に関連した局所幾何であり、もう1つは、観測可能とは限らない宇宙全体の位相幾何学に関連した大域幾何である。
宇宙研究者は、通常、共動座標系と呼ばれる、時空の空間的(space-like)スライスを扱う。観測の点からは、観測可能な時空の区分とは、後方の光円錐(Light cone)(任意の観測者に届く時空を示す宇宙光の地平面の内側)である。距離測度(distance measures)を参照してください。関連する用語であるハッブル体積は、過去の光円錐か、最後に散乱した表面に一致する共動空間を示すために利用される。特殊相対性理論の観点からは、同時性の課題のため、(ある時点の)宇宙の形という考え方は、認識が甘い。同時性の課題からは、異なる場所で、同時にという表現は許容されないため、さまざまな場所の、ある時点における宇宙の形という表現も許容されない。
もし観測可能な宇宙が、宇宙全体より小さいなら、観測者は観測により宇宙全体の構造を決定することは、かなわない。観測可能な宇宙は小さなパッチにすぎない。また、もし観測可能な宇宙が宇宙全体であるなら、観測者は観測により宇宙全体の構造を決定できる。さらに、もし宇宙が(シリンダーのように)ある次元では小さく、またある次元ではそうではない、つまり小さな閉じたループであるなら、観測者は宇宙に多面的な像を見るだろう。
・局所幾何(空間の曲率)
局所幾何は、(十分に大きな尺度である)観測可能な宇宙における、任意の点の曲率である。超新星や宇宙マイクロ波背景放射といった、多くの天文学的観測は、観測可能な宇宙は、ほぼ一様・等方(homogeneous and isotropic)であり、また加速膨張していることを示している。
・宇宙のFLRW模型
一般相対性理論では、局所幾何は、フリードマン・ルメートル・ロバートソン・ウォーカー計量により表される。この模型はフリードマン方程式により表され、流体力学に基づいたすなわち宇宙を完全流体(Perfect fluid)として解釈した宇宙の曲率(しばしば幾何とも)をもたらす。恒星や質量の構造ほぼFRWLな模型が利用されるが、観測可能な宇宙の局所幾何の推定には、厳密なFLRW模型が利用される。
言い換えると、すべてのダークエネルギーが無視されるなら、またすべての物質は(銀河のような'濃いめ'の物質によりゆがめられているのではなく)均一に分布している仮定すると、宇宙の曲率は、宇宙に存在する物質の平均密度を評価することにより決定される。
この仮定は、以下のような観測により支持されている。宇宙の不均質性(異質性とも、homogeneity (physics))と異方性は弱く、おおむね均質的・等方的である。
均質・等方な宇宙は、曲率定数(constant curvature)のある空間幾何を可能にする。一般相対性理論とFLRW模型からは、局所幾何における密度変数オメガ(Ω)は、空間の曲率に関係しているということが、示唆される。オメガは、宇宙を臨界エネルギー密度で除した宇宙の平均密度である。すなわちΩ1であれば、宇宙は平坦(曲率0である。
空間の曲率は、空間座標においてピタゴラスの定理が有効であるか否かの、数学的に表す。以下の例では、局所的な長さの関連を表すために、ピタゴラスの定理の代わりとなる式が必要である。
曲率0(Ω=1) ピタゴラスの定理は有効
Ω>1 曲率は正
Ω <1 曲率は負
Ω=1以外では、ピタゴラスの定理は有効ではない。しかし差異が検出されるのは、三角形の一辺の長さが1 E26 m程度の尺の場合のみである。
もし小さな円の外周と直径を測り、円周を直径で除するなら、3つの幾何ではすべて、πが得られる。しかし直径が大きくなると、Ω=1以外の空間では、この商はπから離れる。
Ω>1 商はπより小さくなる。実際、球の上で得られる最も大きな円では、円周は直径の2倍となる。
Ω<1 商はπより大きくなる。
超新星事象を利用した宇宙と時空の物質-エネルギー密度の天文学的測定は、空間の曲率は0に近いことを示唆している。これは、時空の局所幾何は時空の間隔に基づいた相対性原理により導かれるが、近似的に有名なユークリッド幾何学による3空間から導くこともできる、ということを意味している。
・宇宙の形
宇宙の形は、一様・等方性を満たすには、球面、平面、双曲面の何れかの形をしていることが原則となる。ただし、これは空間が二次元の場合の話であるが、現実の三次元の場合にも、それぞれに対応した図形(数学用語では多様体)がある。これら3つの図形は、幾何学的には「曲率」という言葉で区別できる。つまり、球面は正(プラス)の曲率、平面は0、双曲面は負(マイナス)の曲率を持つ。球面の場合は、球の半径の自乗の逆数が曲率である。
3つの図形をイメージするとそれぞれ、下図のようになる。
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宇宙のエネルギー密度と宇宙の形には次のような関係がある。
エネルギー密度> 臨界密度
曲率> 0
閉じた宇宙
エネルギー密度 = 臨界密度
曲率 = 0
平坦な宇宙
エネルギー密度< 臨界密度
曲率< 0
開いた宇宙
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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クインテセンス
物理学でクインテセンス(quintessence)とは、観測による膨張宇宙を説明するために仮定されたダークエネルギーの形式である。
部分的に宇宙定数問題について説明することが出来る。いくつかの場合についてクインテセンスはファントムエネルギーの形となる。
エネルギーが物質や放射の形をとるときには、重力の引力のため宇宙の膨張を減速させる。逆にクインテセンスは重力による力が斥力となり宇宙膨張を加速させる。
クインテセンスは宇宙膨張の加速率を変え宇宙マイクロ波背景放射に影響を与えるので、WMAPプランク(人工衛星)などでそれらの効果が観測できるとされている。
・宇宙膨張が加速する理由
宇宙は膨張しつつあり、銀河やクェーサーは遠くにあるものほど速いスピードでわれわれから遠ざかっている。これは、いまの天文学では常識である。しかし、万有引力によって物質はたがいに引き付けあうので、将来その膨張が止まるか止まらないかは別として、膨張のスピードはしだいに遅くなると考えられていた。
遠く離れた銀河の距離や後退速度は、超新星を利用して、精度の高い測定がなされている。特に、タイプIの超新星は明るく、遠くでも比較的観測しやすいこと、絶対光度がほとんど一定であることのため、距離と後退速度の関係を求めるのによく利用される。最近、超新星を観測している2つのグループから、それぞれ、「宇宙の膨張はむしろ加速している」という驚くべき結果が報告された。これは相当信頼のおける結果と考えられている。
では、どうして膨張が加速されるのでしょう。加速があるとしたら、そこに何かの力が作用しているはずである。しかし、何がそのような力を働かせているのか、いまの物理学では、すぐには思い当たるものが存在していない。
ここで思い出されるのは、アインシュタインが1917年に取り入れた宇宙定数ラムダのことである。重力によって宇宙が収縮してしまうのを避けるために導入したラムダであったが、宇宙膨張が発見されて不要の仮説となり、「人生最大の誤りであった」としてアインシュタインはこれを取り下げてしまった。ところが、このラムダ(Λ、斥力)が、宇宙膨張の加速を説明するため、近ごろ、ふたたび宇宙論に現れてきているのである。
プリンストン大学のスタインハルト(Steinhardt,Paul J.)らは、この加速が、クインテセンス(quintessence)と呼ばれる新種の物質の影響である可能性を述べている。クインテセンスはマイナスの質量をもち、物質を遠くへ押しやる斥力を働かせる。この斥力ラムダは定数ではなく、宇宙の初期には大きくてインフレーションをもたらし、その後しだいに減少して、今日の小さいレベルになった、しかしいまなお宇宙膨張を加速させているというのである。
これだけの説明では、単なるおとぎ話のように思われるかもしれないが、この種の概念は、量子力学的に、真空場とか、超低エネルギー励起など、これまでにわかっている物理学で理解できる可能性もあると言われている。
現在のラムダの値は理論的に観測可能で、現実に測定されてもいるが、その結果からすべての系統誤差が除かれている保証はなく、もちろんクインテセンスの存在が立証されたわけでもない。しかし、望遠鏡、検出器などの性能が飛躍的に進歩している今日のことであるから、この問題について、何らかの結論がもたらされる日が遠くはないかもしれない。
 

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恒星 その1
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恒星は、自ら光を発し、その質量がもたらす重力による収縮に反する圧力を内部に持ち支える、ガス体の天体の総称である。人類が住む地球から一番近い恒星は、太陽系唯一の恒星である太陽である。
・定義
理想気体の状態方程式が示す通り、ガス体の天体は重力に対抗するために内部が高温・高圧にならなければならない。しかしその一方で宇宙空間の温度は3Kに過ぎず、必ずエネルギーが全方位に流れ出ることになる。これが恒星が輝く理由であり、そのためにエネルギーを供給する源が必要になる。
大部分の恒星においてこのエネルギーは原子核融合であるが、誕生直後の恒星では内部温度が充分な高さに達していないため収縮が起こる。ここでガス体の天体を支える重力ポテンシャルのエネルギーが作用し、天体が支えられる。このエネルギーの半分は赤外線で放射され、残りは天体内部の温度上昇に寄与する。恒星となる星は収縮とともに内部温度がさらに高まり1000Kに達すると、水素の核融合を開始する。このような段階へ進む星の性質は「有効比熱が負の系」と言う。
恒星は時間経過(進化)の段階で、核融合する元素を水素からヘリウムへ、そして重い恒星は順次原子番号の大きな元素を使うようになり、その過程で収縮と膨張を繰り返す。そして最後には、その質量によって複数の命運を辿ることになる。
・語源
「恒星(羅: asteres aplanis)」という言葉は、英語「fixed star」の和訳であり、地球から肉眼で見た際に太陽や月または太陽系の惑星に見られるような動きを見せず、天球に恒常的に固定された星々という意味で名づけられた。これに対し、天球上を移動していく星のことを「さまよう人」という意味で「惑星」と名づけられたといわれる。恒星はこのような性質から、古代の人々は恒星の配置に星座を見出してきた。
・観測
-名称
比較的明るい恒星は固有名がつけられたが、地方によって名称はさまざまだった。星表が作られるようになると、代表的な星表につけられた名前が次第に使われるようになった。現在は、プトレマイオスがまとめた星表の名称が多く使われる。ギリシャ神話に由来する名称が多いが、アラビア語のものもある。これはプトレマイオスの著書がアラビア語に訳され、そこから広まったと考えられている。
それほど明るくない恒星は、主にヨハン・バイエルのバイエル星表に記載された記号で呼ばれる。これはバイエル記号と呼ばれる。星座ごとに明るい順にα星、β星とギリシャ語の記号をつけるもので、足りなくなると小文字のローマ字のアルファベットが、それでも足りないとローマ字の大文字が使われた。バイエルの死後、星座の境界が変更されたため、たとえばα星がない星座などが存在する。また、必ずしも明るい順につけられているわけでもない。具体的には、ギリシャ語のアルファベットと星座名をあわせ、「こと座α星」などと呼ぶ。国際的にはラテン語を使い、α Lyraeと書く。このとき星座名は属格に活用変化させる。3文字の略符を使い、α Lyr と書いてもよい。4文字の略符もあるが全く使われない。バイエルは混乱を防ぐため、たとえばローマ文字のa星を作らなかった。また、最も星の多い星座でも、Q星までしかつけなかったため、R以降の文字は、変光星などの特殊な天体につけられる。
これよりさらに暗い星は、ジョン・フラムスティードの星表に記されたフラムスティード番号で呼ばれる。恒星を西から順に1番星、2番星と数字の符号をつけるものである。ただし、フラムスティード番号は、南天の星座にはつけられていないなどの弱点がある。フラムスティード番号で、上記のこと座α星を表すと、こと座3番星(3 Lyrae、または 3 Lyr)となる。この番号は、フラムスティードの望遠鏡で見たところ、こと座で西端から3番目にあった星ということになる。
よく、バイエルが命名しなかった暗い星に順番に番号が振られたと言われることがあるが、誤りである。たとえば、オリオン座αベテルギウスは、フラムスティード番号ではオリオン座58番星となる。多くの恒星が、両者によって命名がされている。ただし、現在はバイエル符号が主に使われ、フラムスティード番号は主にバイエル名のついていない星に使われる。これよりもさらに暗い星は、さらにそののちに決定された星表(HDなど)でつけられた番号や記号で呼ばれる。
-固有運動
太陽系内の惑星は地球との距離が近く、互いの公転による見かけ上の位置変化が大きい。そのため季節毎で天球上の場所が大きく変わる。しかし、他の恒星の見かけ上の位置変化(固有運動)ほとんど変化しないように見える。これは、太陽以外の恒星は地球から数光年以上の離れた場所にあるためである。
しかし、恒星は天球上で完全に静止しているわけではなく、僅かに固有運動を持つ。明るい恒星では年間0.1秒角以下の固有運動を持つが、太陽に近い星はより速く動き、これらは高速度星と呼ばれる。その中でもバーナード星(HIP87937) 10.36秒角/年の速度で移動し、100年間で満月の半径にほぼ相当する17.2分角を移動する。
そのため、特に注意を払っていなければ数十年から数百年程度の時間では肉眼で変化を確認することは難しい。恒星たちは、地球の自転によって互いの位置関係を保ったまま天球上を回転しているように見える。
-明るさ
恒星の見かけの明るさは様々である。太陽を除き、最も明るく見える恒星はシリウス(おおいぬ座α星)、次いでカノープス(りゅうこつ座α星)である。しかしこのような視認できる明るさとは恒星本来の明るさとは異なり、単位面積の光量は距離の2乗に逆比例して少なくなる。
この見かけの明るさは視等級や写真等級で表される。視等級mは、こと座α星が0(ゼロ)等級になる様に定数Cを定め、地球上の単位面積あたりに届く光の強度Iから、
m = -2.5 log I + C
で表される。2つの恒星の等級差は、
m1 - m2 = -2.5 log ( I1/I2)
で表され、これをボグソンの式という。
 

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恒星 その2
-性質
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恒星は、水素やヘリウムを主な成分としたガスの塊である。恒星の中心部では原子核融合によりエネルギーが生み出されており、中心から表層へかけて密度・温度が次第に減少する構造になっている。これによって恒星の内部には圧力差が発生し、多くの場合は自己の重力による圧縮との釣り合いが保たれている。また、熱エネルギーは高温部から低温部へ移動するため、中心部で発生した熱は放射・対流によって表層へ向けて運ばれ、最終的には光エネルギーとして宇宙空間に放出されている。
恒星は惑星と比べて質量が大きく表面温度も高い。人類にとって最も身近な恒星である太陽は、地球の33万倍の質量と109倍の半径、5780K5510)の表面温度を持つ。太陽系最大の惑星である木星と太陽を比べても、質量は1000倍、半径は10倍の差がある。
恒星の性質には様々なものがあるが、太陽のように安定した段階にある恒星(主系列星)では、質量が大きいほど半径が大きく高温になるという単純な関係が見られる。例えば太陽と同じ質量の主系列星はいずれも太陽と似た半径や温度を持つことになり、太陽の7倍の質量を持つスペクトル型B5の主系列星では、半径は太陽の4倍、温度は15500K前後になる。ただし恒星が主系列星から脱して巨星化すると温度の低下と半径の膨張が起き、この法則から逸脱する。
質量が太陽の8%程度より小さい天体は、中心部が軽水素の核融合反応が起きるほど高温にならないので、恒星ではなく褐色矮星に分類される。この値は恒星質量の下限値といえる。また、質量が太陽の100倍を超えるような恒星も強烈な恒星風によって自らを吹き飛ばしてしまうため、形成されうる恒星の質量には上限が課せられる。
褐色矮星と恒星の境界付近の質量を持った恒星では、半径は太陽の10分の1程度になる。主系列星段階を終えた恒星は非常に巨大化し、例えばおおいぬ座VY星という赤色超巨星は太陽の1000倍を超える半径を持つと考えられている。太陽自体も数十億年後に巨星の段階を迎えると現在の百倍以上にまで膨れ上がると予想されている。
恒星が誕生する際には、質量の小さい恒星ほど形成される可能性が高い。銀河系に存在する恒星の大部分は、太陽より質量の小さいK型やM型の主系列星だと考えられている。しかし低質量の星は暗いために地球に近いものしか観測できない。夜空に見える明るい星の多くは、遠くにある大質量の主系列星や赤色巨星などの数量的には稀だが極端に明るい天体の姿である。
 
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