出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
CKM行列 その3
・CKM行列
小林と益川は3世代以上のクォーク対があるとCP対称性の破れを説明できることを発見し、カビボ行列にもう1世代のクォーク対を加えて 3行3列とした CKM行列を提唱した。
上系列クォークの質量固有状態 u,c,t と対を成す状態をそれぞれ d',s',b' とし、下系列クォークの質量固有状態を d,s,b とすると,
と書くことができる。この V がCKM行列である。現在知られている行列の各成分の絶対値は以下の通り。
この行列では下系列クォーク(d,s,b)の混合状態(d',s',b')で上系列と下系列の不整合を説明しているが、これは純粋に便宜上のものにすぎない。上系列のクォークが混合していると見なすことも可能であり、その場合でも本質は変わらないユニタリー行列が現れる。
・媒介変数表記
CKM行列を理解するためには4つの表記法が必要であるが、ここでは代表的なもの3つを取り上げる。
・小林・益川表記
小林と益川による表記法では、行列は3つの角 θ1、θ2、θ3 と CP対称性の破れを示す位相δ で表される。θ1 はカビボ角である。以下ciはコサイン、si はサインを表す。
・標準表記
標準表記では3つのオイラー角θ12、θ23、θ13 と CP対称性の破れを示す位相δ13 が用いられる。カビボ角はθ12 で表される。
現在知られている値は以下のとおりである。
θ12= 13.04±0.05°
θ13= 0.201±0.011°
θ23= 2.38±0.06°
δ13= 1.20±0.08