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Channel: アンディマンのコスモロジー (宇宙論)
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天体宇宙物理学への扉を開く

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出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用

標準模型 その3(終わり)

・大統一理論

標準模型のゲージ対称性は3つの対称性の直積で書かれているが、これがより大きなゲージ対称性の一部であったとする考え方が大統一理論である。大統一理論のシナリオでは、高いエネルギースケールで対称性が自発的に破れた結果、標準模型のゲージ対称性があらわれる。陽子崩壊などが予言されるが、未だ実験的証拠は得られていない。

・階層性問題

繰り込み理論と関連して、標準模型においては、ヒッグス機構による電弱対称性の自発的破れの大きさを観測事実と合わせるために、理論のパラメーターを非常に精密に調整する必要がある。この問題は、プランクスケール(1019GeV)と電弱対称性が破れるスケール(102GeV)の間に大きな隔たりがあることに起因しており、階層性問題と呼ばれている。この問題を解決する模型として提案されているものの1つが超対称性模型である。

・強いCP問題

イメージ 1中性子の電気双極子モーメントの測定により、強い相互作用に関してCP対称性が高い精度で成立していることが分かっている。しかし、このようなことが起こるためには、強い相互作用に関するパラメーターと湯川行列の位相を上手く調節されている必要がある。関連性の薄いパラメーターが都合良く調整されていることは不自然であり、何らかの機構によって解決されるべきであると考えられている。これが強いCP問題である。解決策の一つとして有力視されているものが、Peccei-Quinn機構(Peccei–Quinn theory)であり、それによってアクシオンと呼ばれる新しい粒子の存在が予言される。

・世代数の謎

3世代のフェルミオンが存在する理由は未だ不明である。

・ニュートリノ振動

 標準模型ではニュートリノの質量は0であることが予言される。1998年に神岡鉱山に設置されたスーパーカミオカンデによりニュートリノ振動が発見されたが、これはニュートリノの質量が0ではないことの証明となっている。標準模型と矛盾する数少ない実験結果の一つとして重要である。

・暗黒物質

現在の宇宙のエネルギー密度の約1/4を暗黒物質が占めていることが明らかになっているが、標準模型には暗黒物質の候補となる粒子が存在しない。そのため、暗黒物質の正体を素粒子に求める場合は標準模型の拡張が必要である。

・バリオン数の非対称性

我々が住む宇宙では、物質の量が反物質に比べて圧倒的に多い。この問題はバリオン数の非対称性と呼ばれるが、この問題を標準模型の枠内で解決することは困難である。

 


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