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Channel: アンディマンのコスモロジー (宇宙論)
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天体宇宙物理学への扉を開く

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出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
宇宙論 基礎理論 その2
・研究分野
以下に宇宙論での最も活動的な研究分野のいくつかを大まかな時系列順に挙げる。このリストはビッグバン宇宙論の全てを網羅するものではない。
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-最初期の宇宙
初期の高温の宇宙については、宇宙創生から約10-33秒後から始まったビッグバンによってうまく説明されるが、いくつかの問題もある。その1つは、現在の素粒子物理学の理論からは、宇宙が平坦で一様・等方になる必然的理由が存在しない、というものである。しかも、素粒子物理学の大統一理論では宇宙にモノポールが存在するはずだが、実際には全く見つかっていない。これらの問題は、宇宙初期にインフレーションと呼ばれる時期が存在したと仮定することで解決される。このインフレーションによって我々の宇宙は平坦になり、非等方性や非一様性も観測可能なレベル以下に均され、モノポールも指数関数的膨張によって薄められる。インフレーション宇宙の背後にある物理モデルは非常に単純だが、これはまだ素粒子物理学の側面からは検証されておらず、インフレーションと量子場理論の両立には困難な問題が存在している。宇宙論研究者の中には、ひも理論ブレイン宇宙論がインフレーションに代わる解決策を提供すると考えている人々もいる。
宇宙論におけるもう1つの大きな問題に、我々の宇宙には物質が反物質よりも多く含まれているという問題がある。宇宙論研究者は宇宙のX観測によって、我々の宇宙は物質と反物質が占める領域に分かれているのではなく、圧倒的大部分が物質でできている、と推定している。この問題はバリオンの非対称性と呼ばれ、このような非対称性が生まれた過程をバリオン数生成と呼ぶ。バリオン数生成の理論は1967アンドレイ・サハロフによって作られ、バリオンと反バリオンの非対称性が生み出されるためにはCP対称性と呼ばれる素粒子物理学の対称性が物質と反物質について破れていることが必要とされている。しかし現在の加速器実験では、CP対称性の破れの測定値はバリオンの非対称を説明するには小さ過ぎることが分かっている。宇宙論研究者と素粒子物理学者は初期宇宙に存在した別のCP対称性の破れがバリオン非対称を説明するかもしれないと考えている。
バリオン数生成の問題とインフレーション宇宙の問題は共に素粒子物理学と深く関係しており、その解決は宇宙の観測よりも高エネルギー物理学の理論や実験からもたらされるかもしれない。
-ビッグバン元素合成
ビッグバン元素合成は初期宇宙での元素の生成理論である。初期宇宙での元素合成は宇宙創生から約3分が経過し、宇宙の温度が核融合反応が止まるほどに下がった時点で終了した。ビッグバン元素合成が起こった時間はこのように短いため、この過程で作られた元素は恒星内部での元素合成と異なり最も軽い元素のみだった。元素合成は水素イオン(陽子)から始まり、主として重水素ヘリウム4リチウムが作られた。これ以外の元素はごく微量しか作られなかった。元素合成の基礎理論は1948ジョージ・ガモフラルフ・アルファーロバート・ハーマンによって作られて以来数十年にわたって研究されており、元素合成はビッグバン時代の物理を知る非常に敏感なプローブとなる。なぜなら、ビッグバン元素合成の理論は宇宙初期から存在する軽元素の存在量や初期宇宙の特徴と結び付いているからである。具体的には、元素合成の理論が等価原理のテストやダークマターの検出、ニュートリノ物理学のテストなどに用いられている。宇宙論研究者の中には、ビッグバン元素合成によって第4の「無菌状態」のニュートリノが存在することが示唆されると提唱している人々もいる。
-宇宙マイクロ波背景放射
宇宙マイクロ波背景放射は、原子が最初に形成され、ビッグバンによって生み出された放射が荷電イオンによるトムソン散乱を受けなくなった脱結合期以来残っている放射である。この背景放射は1965アーノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンによって最初に観測され、完全な黒体放射のスペクトルを持っている。放射の温度は今日では2.7Kで、105分の1の精度で等方的である。初期宇宙のわずかな非一様性の進化を記述する宇宙論的ゆらぎの理論によって、研究者は背景放射の角パワースペクトルを正確に計算することができ、同時に最近の衛星観測実験(COBE WMAP)や多くの地上観測・気球観測実験(Degree Angular Scale Interferometer, Cosmic Background Imager, BOOMERanG)によって測定が行なわれている。これらの研究の目標の1つは、Λ-CDMモデルの基本パラメーターを高い精度で測定することであり、またビッグバンモデルの予言をテストし、新たな物理学を探求することである。例として、最近行なわれた WMAP による観測結果はニュートリノの質量に制限を与えている。
また、宇宙マイクロ波背景放射の偏光を測定するという新たな実験も試みられている。これによって理論がさらに確認され、また宇宙のインフレーションや、銀河や銀河団と宇宙マイクロ波背景放射との相互作用によって起こるスニヤエフ・ゼルドビッチ効果ザックス・ヴォルフェ効果といったいわゆる第二の非等方性に関する情報が得られるものと考えられている。
-大規模構造の形成・進化
宇宙で最も大きな、また最も初期に存在した構造(クエーサー、銀河、銀河団、超銀河団)の形成と進化について理解する研究は、宇宙論の主要な目的の1つである。現在、宇宙論に関わる研究者は階層的構造形成モデルを標準モデルと考え研究を行なっている。これは宇宙に存在する構造はより小さな天体から作られ、そこから小質量の構造が衝突・合体を繰り返すことで、銀河団・超銀河団のような大質量の構造が形成されたとするモデルである。この様に小質量の構造から構造形成が進むシナリオはボトムアップ・シナリオと呼ばれている。超銀河団のような最も大きな構造は、ビリアル平に達しておらず、現在でも進化していると考えられている。宇宙の構造を研究する最も単純な方法は、目に見える銀河をサーベイして宇宙における銀河の三次元分布を構築し、物質分布のパワースペクトルを求めることである。このようなアプローチの実例として、スローンデジタルスカイサーベイや2dF銀河赤方偏移サーベイなどがある。
このような構造形成を理解するための重要な道具として計算機によるシミュレーションがある。宇宙論研究者は数値シミュレーションを用いて、宇宙で物質が重力で凝集し、フィラメントや超銀河団、ボイドといった構造を作る過程を研究している。ほとんどのシミュレーションではバリオンでない冷たいダークマターのみを用いている。この仮定は宇宙の最も大きなスケールでの振る舞いを理解するためには十分なものである。なぜなら我々の宇宙には目に見えるバリオン物質よりもはるかに多くのダークマターが存在するためである。現在ではバリオンも計算に含み、個々の銀河の形成を研究するより高度なシミュレーションも始まっている。宇宙論研究者はこのようなシミュレーションによって、計算結果が銀河のサーベイ観測と一致するか、また不一致がある場合にはその原因を理解できるかどうかを調べている。
またこれ以外にも、遠方の宇宙の物質分布を測定したり再電離の時期を検出するための補完的手法がある。例として以下のようなものがある。
ライマンアルファの森と呼ばれる、遠方のクエーサーの光に含まれる銀河間ガス雲の吸収線を測定することで、初期宇宙の中性水素原子の分布を測定することができる。
中性水素原子の21cmの吸収線の測定も宇宙論の高精度のテストとして用いることができる。
ダークマターの重力レンズ効果によって遠方天体の画像が歪む弱い重力レンズ (weak lensing) も研究に用いることができる。
このような手法は、最初のクエーサーがいつ生まれたかといった問題を解く手掛かりとなる可能性がある。
 

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