出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
宇宙論 基礎理論 その3(終わり)
-ダークマター
ビッグバン元素合成や宇宙マイクロ波背景放射、構造形成の研究によって得られる証拠から、我々の宇宙の質量の約25%は非バリオンのダークマターで、目に見えるバリオン物質は約4%に過ぎないことが分かっている。ダークマターの重力効果はよく理解されており、ダークマターは銀河を取り巻くハロー状に存在し、低温(相対論的速度を持たない)で、放射を出さない物質のように振舞う。ダークマターは実験室ではいまだに検出されておらず、その素粒子物理学的性質は全く分かっていない。しかしダークマターの候補は数多く挙げられており、その例としては安定な超対称性粒子、WIMP、アクシオン、MACHOなどがある。また、重力が弱い場合の重力相互作用の式自体を修正する修正ニュートン力学 (MOND) やブレーン宇宙論でダークマターを説明しようとする研究者もいる。
宇宙の曲率が平坦であるとすると、宇宙のエネルギー密度には25%のダークマターと4%のバリオンに加えて71%の別の成分が存在しなければならない。この成分をダークエネルギーと呼ぶ。ダークエネルギーの存在がビッグバン元素合成や宇宙マイクロ波背景放射の観測結果と矛盾しないためには、ダークエネルギーはバリオンやダークマターとは異なり、ハロー状に集積しない必要がある。ダークエネルギーの存在については強い観測的証拠がある。すなわち、宇宙の全質量は既に分かっており、また宇宙の曲率は平坦であることが測定から判明しているが、天体として集合している分の質量を精密に測定した結果、その質量は宇宙を平坦にするには少なすぎることが分かっている。ダークエネルギーの存在は1999年になって、現在の宇宙が(速さは異なるものの)インフレーション期と同様の加速膨張をしていることが観測的に示されたことでさらに強まった。
しかし、ダークエネルギーの性質については、そのエネルギー密度や集積しないという性質以外には何も分かっていない。量子場理論からは宇宙定数がダークエネルギーとよく似た振る舞いをすることが予言されているが、その大きさは実際のダークエネルギーより約120桁も大きい。スティーブン・ワインバーグや多くのひも理論研究者は、この事実を人間原理の証拠として取り上げてきた。彼らは、宇宙定数がこのように小さいのは、宇宙定数が大きな宇宙には生命(や宇宙を観測する物理学者)が存在できないからである、としている。しかし多くの人々はこの説明はダークエネルギーの説明としては不足であることを指摘している。ダークエネルギーに関する別の説明としては、クインテセンスや大きなスケールでの重力相互作用の修正などがある。これらのモデルが記述するダークエネルギーの宇宙論的効果はダークエネルギーの状態方程式で与えられ、理論ごとに異なる状態方程式に従う。ダークエネルギーの正体は宇宙論における最も困難な問題の1つである。
ダークエネルギーについての理解が進めば、宇宙の終焉がどうなるかという問題にも答が得られる可能性がある。宇宙の歴史において、ダークエネルギーによる現在の加速膨張は、超銀河団よりも大きな構造が作られることを妨げていると考えられる。この加速膨張が将来も続くかどうかは分かっていない。ダークエネルギーが時間的に増加して加速膨張の度合が大きくなればやがてビッグリップを迎えるかもしれないし、あるいは時間とともに減少すれば最終的に宇宙は収縮に転じるかもしれない。
非主流的な宇宙論は過去の、または、現在の科学的コンセンサスに従わないどんな宇宙論の仮説かモデルにも適用された用語である。それは捨てられた歴史的な理論を参照するだけではなく、現在標準の宇宙で法人組織であることの特別な理論も参照。第一に、それはどんな局面でもビッグバン概念に矛盾する重大な新型を表している。例えば:
ド・ジッター宇宙
マイン・モデル
Brans-Dicke理論
ゲーデル解
準定常宇宙論
スケールで広がる宇宙 (Scale Expanding Cosmos)
プラズマ宇宙論
本質的赤方偏移
疲れたライト(赤方偏移) (Tired light)
宇宙論でも以下のような問題にも取り組んでいる。
超高エネルギー宇宙線のGZK限界の問題。またこの問題が高エネルギー領域での特殊相対性理論の破綻を示しているかどうか。
等価原理の問題。アインシュタインの一般相対性理論は重力の理論として正しいかどうか、また物理学の基本法則は宇宙のどこでも同じかどうか。