出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
一般相対性理論 その8(終わり)
・一般相対性理論の応用
-GPS
自動車などの位置をリアルタイムに測定表示するカーナビゲーションシステムはグローバル・ポジショニング・システム (GPS) を利用しており、GPS衛星に搭載された原子時計に基づき生成される航法信号に依存している。 GPS衛星からの信号を受信する装置では、さまざまな要因による補正を行うが、GPS衛星の時計に関するものとして、高速で運動するGPS衛星の運動による時計の遅れ(特殊相対論効果)、および地球の重力場による地上の時間の遅れ、言い換えれば衛星の時計の進み(一般相対論効果)が含まれる(他に地球自転に起因する信号伝播のサニャック効果もある)。
GPS衛星の円軌道速度は秒速約4 kmと高速であるため、特殊相対論によって時間の進み方が遅くなる。一方、GPS衛星の高度は約2万kmで、地球の重力場の影響が小さいことから、一般相対論によって地上よりも時間の進み方が速くなる。このように特殊相対論と一般相対論で互いに逆の効果をもたらすことになる。この相対論的補正をせずに1日放置すると、位置情報が約11 kmもずれてしまうほどの時刻差になることから、相対論的補正はGPSシステムの運用に不可欠である。