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Channel: アンディマンのコスモロジー (宇宙論)
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天体宇宙物理学への扉を開く

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出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
繰り込み その2(終わり)
・繰り込み可能性
ところがあらゆる場の理論にくりこみ処方が有効である訳ではない。理論の中に現れる発散が有限個で済むかどうかという情報はくりこみを適用する上で重要である。有限個のcounter termで理論のすべての無限大を取り除くことができる理論を繰り込み可能であるという。量子電磁力学 (QED) 、ワインバーグ・サラム理論、量子色力学 (QCD) は結合定数が質量次元零のゲージ理論であり、繰り込み可能であることが知られている。しかし理論の結合定数が負の質量次元を持つと発散自体の数が、描けるファインマンダイアグラムの数だけ増える。摂動論の高次まで考慮すると、発散自体が無限に現れ、発散をパラメータの再定義で吸収しきれなくなる。この場合は繰り込み不可能である。また結合定数が正の質量次元を持つ理論は上記の理論に比べ発散が少なく現れるためcounter termも少なくて済む。この場合は超くりこみ可能である、という。ワインバーグ・サラム理論などに現れるスカラーの3点結合などはこれに当たるが、特に問題になることがないため単にくりこみ可能な理論として扱われる。
重力を記述する一般相対性理論は上記と同様のゲージ理論であるが、重力結合定数は負の質量次元を持っており、繰り込みが不可能であるので量子場の理論を適用すると上記のように発散が取り除けなくなる。そのため重力の寄与が無視できなくなる高エネルギー領域においては量子場の理論に代わる量子重力理論が必要と考えられている。
・繰り込みスケール
繰り込みを用いる方法では、有限な(繰り込まれた)物理定数と、引き去るべき無限大を含んだcounter termで理論を構築するのは前述の通りである。ところが発散の取り除き方は一通りではなく、条件に応じて物理的なパラメータがどの値なのかを逐一解釈する必要がある。
距離ないしはエネルギーのスケールによって、物理定数に対しての輻射補正の大きさは異なる。そのため、繰り込みの際にどのスケールで観測される物理定数の値を用いるのかについては、一通りに定まらないのである。理論の繰り込みを行うに際しては、繰り込み条件を定めるスケールを、基準として一つ選ぶ必要がある。そのスケールを、理論の繰り込み点または繰り込みスケールと呼ぶ。
繰り込みスケールの値はあくまで便宜的なものであって、低エネルギーの繰り込みスケールを選んだからといって高エネルギーの物理が説明できなくなるといった事は起こらない。繰り込まれた摂動論は繰り込みスケールに関係なく、任意のスケールで適用可能である。これは議論するスケールを限定する事によって裸の物理定数を有限値で定義する、有効場の理論の処方とは対照的である。繰り込み群の言葉で言えば、各スケールの有効理論同士を結びつけるのが繰り込み群フローであるが、ある一つの繰り込まれた理論に対しては、全スケールに渡って定義された一つの繰り込み群フローが対応する。
一方で繰り込まれた理論においても、繰り込みスケールを変えた時の物理定数の変化については、繰り込み群を用いた扱いが可能である。この方法により、結合定数のベータ関数が定義される。
・歴史
1930年代に量子電磁力学が発展していく過程で、マックス・ボルン、ヴェルナー・ハイゼンベルク、パスクアル・ヨルダンおよびポール・ディラックは摂動計算において多くの積分が発散することを発見した。1930年代、発散を解決する計算がいくつかなされたが、当時、場の量子論は相対論的に不備であるため、正確な値を与えなかった。
これを解決したのが、1943年朝永振一郎が創った相対論的に共変な場の量子論、超多時間論である。繰り込みは超多時間論を基礎にして確立される。遅れること数年、ジュリアン・シュウィンガーは朝永と類似の形式、リチャード・ファインマンは経路積分1948年を形成し、朝永・シュウィンガー・ファインマンは繰り込み理論を建設する(フリーマン・ダイソンは3者の同等性を証明)。繰り込みは、相対論・場の量子論と並ぶ基本原理とされ、朝永・シュウィンガー・ファインマンの建設した量子論的電磁気学の基礎となる。量子電磁力学は、以後の素粒子論の典型として、理論形成の規範になり、量子色力学・ワインバーグ=サラム理論を導く糸になる。この業績で、朝永振一郎、ジュリアン・シュウィンガーおよびリチャード・ファインマンはノーベル物理学賞を受ける。
量子電磁力学の完成の後、繰り込みの手法は量子色力学の構築へと応用されていく。非可換ゲージ理論(1964-1973年)、繰り込み可能性の証明(1971年)、繰り込み群による漸近的自由性の記述(1973年)では、繰り込みが用いられている。
・ノーベル賞
繰り込み - 朝永振一郎、ジュリアン・シュウィンガー、リチャード・ファインマン
非可換ゲージの繰り込み可能性 - ヘーラルト・トホーフト   
繰り込み群による漸近自由性 - デイビッド・グロス、フランク・ウィルチェックH. デビッド・ポリツァー
固体繰り込み群 - ケネス・ウィルソン


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