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Channel: アンディマンのコスモロジー (宇宙論)
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天体宇宙物理学への扉を開く

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出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
重力相互作用(重力) その1
重力とは、
地球上で物体が地面に近寄ってゆく現象や、それを引き起こすとされる「力」を呼ぶための呼称である。人々が日々、物を持った時に感じているいわゆる「重さ」を作り出す原因のことである。
物体が他の物体に引きよせられる現象の呼称である。および(その現象は《力》が引き起こしていると見なす場合の)その「力」に対する呼称である。
英語の gravity (グラヴィティ)の頭文字を取って、俗にG(ジー)と略されることがある。ただし、物理学の専門書や教科書においては、地球の重力は小文字のg、万有引力定数は大文字のGというように区別される。
・概説
重力という表現は、宇宙論などの領域では万有引力と同一として扱われることがある。
地球上のことについて論じている場合は、地球上の物体に対して働く地球の万有引力と地球自転による遠心力との合力を指している。また、人工衛星のように、地球の自転とは無関係な物体の運動について論じている場合は、遠心力の成分は除いて扱うことになる。
重力の大きさは、単位「ガル (Gal)」を用いて表すことができる。
地球上で質量が 1 kg の物体に作用する重力の強さというのは約 9.8 N でほぼ一定である。だが、精密に調べてみると重力は地球上の場所により、あるいは時間によっても変化している。
・歴史
重力や重さに関する議論というのは、古代ギリシャのしかも初期の段階から行われていた形跡があるという。
影響力の大きかったのはアリストテレスである。彼は『自然学』を著し、物の運動等についても体系的に論じた。彼の宇宙観では、天界と地上はまったく別世界であり、天体はエーテルでできていて、地上の物体は四元素でできていると見なした。そして《重さ》と《軽さ》というのは、地上界にある物体に特有の一対の内在的な性質だと見なした。古代ギリシャでは、コスモス(世界、宇宙)の中心に地球があると考えられていたので、アリストテレスもそう考えていた(地球中心説)。アリストテレスにとって、物の落下するということはコスモスの中心へ接近することであり、上昇するということはコスモスの中心から離れてゆくことを意味した。《火元素》を含むものが《軽さ》を内在しており、地中から離れ天へと向かいたがり、石などには《土元素》が含まれており、《土元素》はコスモスの中心に帰りたがる性質を持っているのだ、とした。その《土元素》をより多く含んでいるものが、より大きな《重さ》を内在している、とした。またその速さについては、《土元素》を多く含むものが速く落ちる、とした。
イメージ 1

ペトルス・アピアヌス(Petrus Apianus)のCosmographia(アントワープ、 1539年刊)に描かれた中世のコスモス像。アリストテレスの宇宙観の延長上にある。

ヨーロッパ中世の人々は、以下のように考えていた。
地リスや鳥などの生き物がそれぞれ巣穴や巣という本来の位置を持っていて一時的に理由があってそこを離れることがあっても結局本来の位置に帰るように、物も、それぞれの性質に応じて本来の位置を持っている。たとえば小石はその本来の位置を地に持っている。焔はその本来の位置を天上に持っている。
例えば、小石を空中に投げれば、小石は本来の位置から離されることになり、小石は一旦は抵抗を示しながら上に上がるが、結局はできるだけすみやかに、その本来の位置である地に戻ってこようとする。

(太陽中心説というのは一応アリスタルコスも唱えていたとされはするが)16世紀にヨーロッパでコペルニクス(1473- 1543)によって太陽中心説が唱えられると、(それがすぐに受け入れられたわけではないが)もしこれを受け入れた場合、アリストテレス的な《重さ》《軽さ》の概念は根底から考え直さざるを得ない、ということになった。

コペルニクスは、重力というのは、各天体の部分部分が球形になりたがり一体化しようとする自然的な欲求だ、とした。一方《軽さ》というのは、重さの少ない物体が持つ偶有的性質だとされた。
フランスのデカルト(1596–1650年)は、著書『哲学の原理』(1644年)と『世界論』(1633ころから執筆、死後1656刊行)において渦動説を展開し重力を説明した。世界にはエーテルが満ちており、ちょうど渦に木切れが吸い寄せられるように、エーテルに渦が起きるとその渦の中心に物体は引き寄せられる、こうして物体は地球に引き寄せられる、と説明した。
ドイツのケプラー(1571–1630年)は、重力というのは似たもの同士が引き合う力(引力)であり、この引力は潮の満ち引きという(月の変化の周期と連動する)現象から推察するに、地球と月との間にも作用している、と見なした。
ガリレオ・ガリレイ(ユリウス暦1564グレゴリオ暦1642年)は重さと落下の速さとは無関係であることを実験で見出した。
オランダのホイヘンス(1629–1695年)は1669年から1690年にかけてデカルトの渦動説を検討し精密化した。ライプニッツも渦動説の流れを汲んだ理解をしていた。
アイザック・ニュートン(1642 - 1727)は、天体の運動も地上の物体の運動もひとつの原理で説明できる、とする説(万有引力)を『自然哲学の数学的諸原理』で発表した。天界と地上の区別がとりはらわれており、宇宙全域の物体の運動を同一の原理で説明しており、地上のgravityというのも万有引力のひとつの現れとされている。
また(上でも述べた)ホイヘンスは、遠心力の公式を発見した。地球の自転はすでに明らかになっていたので、重力は万有引力そのものではなく、万有引力と地球の自転による遠心力との合力だということになった。
エルンスト・マッハ(1838 - 1916)は、「慣性力は宇宙の全質量の作用として考えなければならない」とした。例えば、回転するバケツの水面をへこませる慣性力についてマッハは、「慣性力はバケツが絶対空間に対してまわったから発生したのではなく、宇宙の物質が回転するバケツに、ある作用を及ぼした結果、発生した」と考え、「バケツがまわることと、バケツを止めて宇宙をバケツのまわりに逆回転させることは同等であるとした(マッハの原理)。
マッハの原理は、アルバート・アインシュタインの一般相対性理論により体系化された。一般相対性理論によれば、万有引力も慣性の力も等価(等価原理)であり、共に、時空の歪みによる測地線の変化である。ただ、万有引力と慣性の力とでは歪みの原因が異なるにすぎない。
アインシュタイン方程式からは、時空の歪みの源は質量ではなく、エネルギーと運動量からなるエネルギー・運動量テンソルで決まることがわかる。つまり、質量(エネルギーに比例)だけでなく運動量も時空を歪め、重力を生む。質量は引力を生むのに対し、運動量が生む重力は、引力でも斥力でもない慣性系の引きずりという形を取る。慣性系の引きずりは自転するブラックホールであるカー・ブラックホールで顕著である。慣性力も、地球外の全宇宙による慣性系の引きずりで説明できるとの見方が強い。ただし、いまだ近似計算のみで、厳密な計算はなされていない。
素粒子物理学では、重力は自然界に働く4つの力のうちの1つとして扱われており、電磁気力、弱い力、強い力との統合が試みられている。だが、その試みがうまくゆくのかどうか定かではない。なお、2010年にアムステルダム大学理論物理学院のエリック・ベルリンドにより、重力は存在しないという説も提唱された。
近年では、一般相対性理論での重力を量子化し、量子重力理論にしようとする試みもなされている。ここでの重力とは、万有引力に限らず、慣性の力なども含めた重力の意味である。量子化された重力は重力子と名づけられている。


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