出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
大統一理論 その2
・SU(5) モデル
大統一理論の最小モデルとしてはランク4のSU(5) モデルが考えられている。
この理論ではいくつかのことが予言されている。陽子崩壊現象、磁気単極子や宇宙ひもの存在がこれにあたる。但し、陽子崩壊の予言は観測と食い違っており、従って単純なSU(5)GUT は排除されている。
SU(5)モデルによる陽子の寿命は1030 - 1032年であるが、神岡鉱山のカミオカンデ・スーパーカミオカンデにおける実験結果では陽子崩壊が観測されず、実際の寿命はそれ以上、少なくとも1034年はあり、大きくくい違っている。
・ゲージボソン
SU(5)の次元は24であり、対応する24個のゲージ場が存在する。ゲージ対称性が破れると、ゲージ場は次のように分かれる。
(8,1)0 は SU(3)c に対応する8個のグルーオン、(1,3)0 は SU(2)L に、(1,1)0 は U(1)Y に対応するゲージ場である。 (3,2)-5/6 と (3*,2)+5/6 はSU(5)GUTにおいて新たに導入されるゲージ場で、両者は互いに反粒子の関係にある。電弱対称性が破れるスケールでは、XボソンとYボソンと呼ばれる。
・フェルミオン
・SUSY SU(5)
SU(5)大統一理論に超対称性と呼ばれる要素を加えた超対称大統一理論では陽子の寿命はさらに延びることになり、実験結果を説明できる可能性がある。
・SO(10) モデル
大統一理論の最小モデルとしての単純なSU(5) モデルは実験とは整合せず排除されている。SU(5) の次に小さなモデルとしてSO(10) モデルが考えられている。SO(10) はランク5なのでextra U(1) が存在する。SO(10) の次元は45である。
ゲージボソン
フェルミオン
U(1)X に対応する保存電荷はXチャージと呼ばれる。これはバリオン数とレプトン数の差(B-L)と関連した対称性である。 SO(10) はカイラルアノマリーはない。
SO(10) モデルは右巻きニュートリノを含む1世代分のフェルミオンが一つの多重項にまとまる。 SU(5) モデルでは右巻きニュートリノの存在は必然ではないが、SO(10)モデルでは、右巻きニュートリノが必然的に含まれる。 GUTスケール程度のマヨラナ質量を右巻きニュートリノが持てば、シーソー機構により、ニュートリノが他の粒子に比べてゼロでないが極端に小さい質量を持つ事が説明できる。