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Channel: アンディマンのコスモロジー (宇宙論)
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出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
媒介変数(座標変換)
数学において媒介変数(パラメーター、パラメタ、parameter)とは、主たる変数(自変数)あるいは関数に対して補助的に用いられる変数のことである。なおこの意味でのパラメータは助変数(じょへんすう)とも呼び、また古くは径数(けいすう)とも訳された(後者はリー群の一径数部分群(1-パラメータ部分群)などに残る)。母数と呼ぶこともある。
媒介変数の役割にはいくつかあるがその主なものとして、主たる変数たちの間に陰に存在する関係を記述すること、あるいはいくつもの対象をひとまとまりのものとして扱うことなどがある。前者では関数の媒介変数表示とか陰関数などとよばれるもの、後者では集合族とか数列などが1つの例である。後者の意味を持つ媒介変数はしばしば文字の肩や斜め下に本文より少し小さな文字 (script style) で書かれ、添字 (index) と呼ばれる。
・陰関数
陰関数implicit function)とは、
y = f(x1,x2,x3,・・・・・,xr)
のような陽な(明示的な)従属関係(これを陰関数に対して、陽関数 explicit function ということがある)で表されないような関数関係をいう。陰関数は一般に、関数の零点として

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のような形で与えられる。ここで、媒介変数t1,..., tmを導入して
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のように、各変数を媒介変数の陽関数としてあらわすことができる場合がある。これをもとの陰関数の媒介変数表示とよぶ。
・例
x2+ y2 = 1 という陰関数表示をもつ関数は
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と媒介変数表示される。なおこの陰関数は媒介変数を用いずに
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という2つの陽関数の組としても表されるので 0 ≤ u ≤ 1 なる媒介変数を用いて
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と表すこともできる(ただしこれは陽な表示とは言えない)。
・座標変換
解析幾何学において座標系(x1, ..., xn) が与えられているとき、m 個の助変数t1,..., tmを用いて各座標の値を
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のように媒介変数表示で与えることによって、図形を描くことができる。m = 1 ならば曲線が、m = 2 ならば曲面が一般に得られる。またこの表示は座標系 (t1,..., tm)で表される空間から座標系 (x1, ..., xn) で表される空間への写像を与えるものであり、このような写像を座標変換と呼ぶ。変換を与える写像(f1, ..., fn) によっては変換に特別の名前がついていることもある。たとえば、全て斉一次式ならば線形変換、全て一次式ならばアフィン変換と呼ばれる。
例えば、

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は極座標系 (r, θ) から直交座標系 (x, y) への座標変換を与える。
微分幾何学などにおいては、座標変換において逆変換を持たない点を特異点と呼ぶ。特異点は関数行列式を用いて記述することができる。
 

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写像 その1

写像mapping, map)とは、2つの集合が与えられたときに、一方の集合の各元に対し、他方の集合のただひとつの元からなる集合を指定して結びつける対応のことである。函数、変換、作用素、射などが写像の同義語として用いられることもある。

ブルバキに見られるように、写像は集合とともに現代数学の基礎となる道具の1つである。圏と関手を縦横に駆使する最先端の数学を除けば、現代数学のほとんどが、集合と写像の言葉で書かれているといっても良いほどである。なお、分野によっては慣例として、「射(map)」という用語が、ある特定の写像を意味することもある(例:位相幾何学においては連続関数、線形代数においては線形写像など)。

現代的な立場では、「写像」と「函数」は論理的におなじ概念を表すものと理解されているが、歴史的には「函数」の語は解析学に出自を持つものであり、一部には必ずしも写像でないものも函数の名の下におなじ範疇に扱われる。日本語においてはその語感もあって(解析学の興味の対象となる)「数を値域に持つ写像」をして特に函数と呼ぶという傾向は現代においても根強い。函数、二項関係、対応の各項も参照のことである。

・素朴な定義

集合 A の各元に対してそれぞれ集合 B の元をただひとつずつ指定するような規則 f が与えられているとき、f始域(しいき、sourceA から終域(targetB への写像であるといい

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などと表す。また f A で(あるいは A の上で)定義されているといい、あるいはまた f B に(あるいは B の中に)値を持つという。始域 A sour(f)、終域 B tar(f) のように記すこともある。また、A の元 a f によって B の元 b に移されるとき、b a における f の像あるいは値(value)と呼び、b f(a) で表す。また、a f によって b に写されることを、棒つき矢印を用いて f: a b などとも表す。変数x を用いて x f(x) のように表すとき、f A を亘る(または走る)変数 x の函数であるという。

もう少し一般に、必ずしも全体集合 A に一致するとは限らない何らかの部分集合 A′ に属する各元a に対して、集合 B a における f の値となる元 f(a) が与えられているとき、つまり f: (A )A′ → B が写像となるような集合 A′ が存在するとき、f A を始域、B を終域とする部分写像(partial mapping)であるといい、これを(記号の濫用だが)やはり

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と記す。このとき、A′ を部分写像 f の定義域(domain of definition)と呼んで、D(f), dom(f) などで表す。部分写像 f の定義域 D(f) が始域 A に一致するとき、これを特に全域写像(total mapping)と呼ぶ。


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写像 その2

・像・逆像

B′ B の部分集合とするとき、f によって B′ に写される始域A の元全体からなる集合 {a A | f(a) B′} B′ 逆像inverse image)または原像preimage)といい、f-1(B′) で表す。

Aの部分集合 X の元の f による像たちの全体からなる終域 B の部分集合{f(a) | a X} X f による像(image)といい、f[X], f″X などで表す。特に f A による像 f[A] f の値域 (range) と呼び、ran(f), Im(f) などで表す

・形式的な定義

A から B への写像 f に対して、f のグラフ G(f) G(f) = { (x, y) | y = f(x) } によって定義すれば、

右一意性: 任意のx A に対して、ただ1つの y B が存在して (x, y) G(f)

が成り立つ。逆に、右一意性をみたす A × B の部分集合 G に対して、必ず G(f) = G をみたす写像 f : A → B が存在する。したがって、A から B への関数たちと右一意性をみたす A × B の部分集合たちの間には一対一の対応がある。そこで、右一意性をみたす A × B の部分集合のことをこそ写像と呼ぼうというのが現代的な写像の定義の指針である。正確な定義を次に述べる。

集合 A, B の元の順序対からなる集合(すなわち二項関係)f が次をみたすときf A から B への関数関係であると言われる:

右一意性: (x, y1) f かつ (x, y2) f ならばy1 = y2

このとき、3つ組 (A, B, f) をこの関数関係 f から定まる A から B への部分写像と呼び、f: A → B あるいは(記号の濫用で)単に f で表す。2つの部分写像 (A, B, f) (C, D, g) の相等は、3つ組としての相等をいう。

部分写像 fA × B の定義域 dom(f) と値域 ran(f) は次のように定義される:

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特に dom(f) = A のとき、f A から B への(全域)写像または関数であるといい、f, g がともに A から B への関数のとき、f g が等しいというのは、この2つが A × B の集合として同一であるということ、すなわち

x (x f x g)

ということであるが、これは任意の a A に対してf(a) = g(a) であることと同値なので、素朴な意味で写像 f g が等しいと言ったときと同じ意味となる。

・自明な写像

A の任意の元 a に対して a 自身を対応させると、これは A からA への写像になる。この写像を恒等写像(identity) といい、IA とかidA などと表す。

B A の部分集合とするとき、B の任意の元 b に対して b 自身を A の元として対応させる B から A への写像を包含写像 (inclusion) という。

f:A → B とする。A の部分集合 A′ について、A′ の各元a に対して B の元f(a) を対応させると、これは A′ からB への写像になる。この写像を f A′ への制限写像といい、f|A′ と表す。

Aが空集合のとき、A からB への写像はただ1つ存在し、これを空写像と呼ぶ。空写像に対応するグラフは空集合である。A の元が存在しないので何の対応も定めてはいないが、これも立派な写像である。素朴な定義では、f が写像であるとは「a A の元ならば B の元f(a) がただ1つ定まる」が成り立つことであったが、A が空集合ならば「a A の元」は偽であるから、この命題は真である。この議論は A B が共に空集合である場合も通用するので、空集合から空集合への写像は空写像ただ1つである。

 

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写像 その3

・写像の合成

2つの写像 f: A → B, g: C → D を考える。 B C の部分集合であるとき、A の任意の元a に対してg(f(a)) D のある1つの元になる。こうして決まる写像を f g との合成composition; 結合)といい、g f あるいは gf と表す。

上の集合論的な定義からは

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が合成写像のグラフであり、g f = (Ggf, A, D)となる。合成写像について、
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が成り立つ:すなわち、写像の合成は結合法則を満たす。このことから、A からそれ自身への写像全体の集合は恒等写像を単位元とするモノイドをなすことがわかる。

・全射・単射および逆写像

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右全域性「f: A → B について ran(f) = B」が成り立つとき(つまり値域と終域が一致するとき)、f A からB への全射という。

左一意性「A の任意の元 a1, a2 に対して、a1 ≠ a2 ならば f (a1) ≠ f (a2)」が成り立つとき、 f 単射という。包含写像は単射である。単射の制限写像も単射である。

Aから B への全射f がさらに単射でもあるとき、f Aから B への全単射であると言われる。定義域を A とする任意の単射 f はあきらかにその値域f(A) への全単射である。

f A からB への全単射とする。f(a) = b によって、「b a に」対応させると、f は全射だから、全てのb がある a に対応していて、fが単射であることからそのような a 1つしかないことが分かる。こうして作られる写像を f 逆写像といい、f-1 と表す。構成から、

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であることが分かる。

Aからそれ自身への全単射全体の集合を S(A) とすると、写像の合成は結合法則を満たし、恒等写像を単位元として、任意の全単射が逆写像を逆元に持つから、これは群をなす。特に A n 個の元からなる有限集合の場合の S(A) n 次対称群という。

f:A → B, g: C → D の合成 g ∘ f: A → D が定義可能で全単射であるとき、g が全射であることおよび f が単射であることが容易に確かめられるが、このことの逆も次の意味で成り立つ。

f:A → B が全射であるとき、(選択公理を仮定すると)B から A への写像r が存在して右可逆性 f r = idB が成り立つ。この r のことを、f の右逆写像という。

f:A → B が単射であるとき、B からA への写像 l が存在して左可逆性l f = idA が成り立つ。この l のことを、fの左逆写像という。

この二つの事実には、正確に逆が成り立つ。従って、全射と単射を次のように定義することもできる;

写像 f が右逆写像を持つとき、f を全射といい、fが左逆写像を持つとき、f を単射という。


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写像 その4(終わり)
・写像図式
複数の集合写像を一度に扱う必要があるとき、図式や系列と呼ばれる道具を用いると記述が簡素になる。ホモロジー代数圏論の文脈ではよく用いられる。写像の図式とは、いくつかの集合を頂点とし、それらの集合間の写像を有向辺にもつようなグラフである。簡単な図式の例としては
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などを挙げることができる。任意の頂点から別の任意の頂点への写像が経路の取り方に依らないとき、図式は可換であるという。例えば h = g f のとき、図式
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は可換である。

[参考]

コスモス (宇宙観)

コスモス(cosmosとは、一般的に、宇宙を秩序ある、調和のとれたシステムとみなす宇宙観である。「秩序、整列」を意味するギリシャ語のκόσμοςという言葉に由来し、カオスと対をなす概念である。現代英語では、Universeの類義語として使われ、ロシア語では単に「宇宙」を意味している。

化粧を意味するコスメティクスや化粧学を意味するコスメトロジーも同じ語源である。

・哲学

Petrus ApianusCosmographia(Antwerp, 1539)に描かれた中世のコスモス

古代ギリシャのピタゴラスは、宇宙を指すのに「kosmos コスモス」という語を用いた最初の哲学者だと言われている。この背景を説明すると、古代ギリシャでは「コスモス」という言葉は、調和がとれていたり秩序がある状態を表現する言葉であり、庭園・社会の法・人の心などが調和がとれている状態を「kata kosmon(コスモスに合致している)」と表現した。同学派の人々は、数を信仰しており、存在者のすべてがハルモニアやシンメトリアといった数的で美的な秩序を根源としていると考えゆえに、この世界はコスモスなのだ、と考えたそう呼んだ。このように見なすことにより同学派の人々は、一見すると不規則な点も多い天文現象の背後にひそむ数的な秩序を説明することを追及することになった。その延長上にプロラオスやエウドクソスらによる宇宙論がある。

・神学

キリスト教神学では、この言葉は創造された宇宙を意味する。七十人訳聖書では、コスモス及びoikumene エクメーネという言葉は生きている者が住んでいる世界を指す。キリスト教神学では、「この世」を意味する「aion アイオーン」という言葉の類義語も意味し、死後の世界と対比される。

 ピタゴラスの用いたコスモスに相当する語がゾロアスター教にもあり、「aša アシャ」という。「神の秩序」を意味した。

「無限の拡大」と定義されることもあり、外宇宙のような霊的、精神的な存在に対して用いられる。

・コスモロジー

 「コスモロジー」(cosmos + logy)とは、宇宙に関する説、論などである。西洋の宇宙論は一般的に、全ての存在の中に何らかの暗黙の秩序を見出すことを目的としている。世界および存在にある何らかの秩序を説明するという点では、宗教や哲学の体系は一種の宇宙論でもある。


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電磁場

電磁場Electromagnetic Field, EMF)は、電磁界ともいい、ベクトル場である電場(電界)磁場(磁界)の総称である。

電場の強さ・電束密度や磁場の強さ・磁束密度が時間的に変化する場合には、互いに誘起しあいながらさらにまた変化してゆくので、まとめて呼ばれる。電場・磁場の値が0でなく、時間的に一定の場合は、静電場・静磁場として別々に扱われる。電磁場の変動が波動として空間中を伝播するとき、これを電磁波という。

電磁場のふるまいは、マクスウェルの方程式および量子電磁力学(QED)によって記述される。マクスウェルの方程式を解いて、電磁場のふるまいについて解析することを電磁場解析と言う。

・電磁場のエネルギー

電磁場中に荷電粒子が存在する場合に蓄えられる電磁気的なエネルギーは荷電粒子がもっていると考える(遠隔作用)ことも出来るが、周囲の電磁場がエネルギーを蓄えていると考える(近接作用)ほうがより現代的である。

・静的な場におけるエネルギー

静的な電磁場においては、遠隔作用と近接作用に大きな違いは無い。遠隔作用と近接作用の違いが生じるのは電荷や電流の分布が変動し、その影響が周囲にどのように伝わるかを考えるときである。

電荷が電荷密度ρ で分布している場合には、

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あるいは、

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のエネルギーが蓄えられている。

また電流が電流密度 j で分布している場合には、

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となる。これが近接作用の考え方である。

・エネルギー密度

エネルギー密度とは、

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で定義される物理量である。電磁場のもつエネルギーの密度を表しており、電磁場が外部に仕事をしない場合、

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の連続の方程式を満たす。ここで、Sはポインティング・ベクトルである。ポインティング・ベクトルは電磁場のエネルギーの流れを表しており、この式は電磁場のエネルギーが保存していることを表している。


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CKM行列 その1

カビボ・小林・益川行列Cabibbo-Kobayashi-Maskawa matrix)は、素粒子物理学の標準理論において、フレーバーが変化する場合における弱崩壊の結合定数を表すユニタリー行列である。頭文字をとってCKM行列と呼ばれることが多い。クォーク混合行列とも言われる。CKM行列はクォークが自由に伝播する場合と弱い相互作用を起こす場合の量子状態の不整合を示しており、CP対称性の破れを説明するために必要不可欠である。この行列は元々ニコラ・カビボが2世代の行列理論として公表していたものを、小林誠と益川敏英が3世代の行列にして完成したものである。

・概要

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電弱相互作用(荷電カレント)により下系列のクォーク(ダウン、ストレンジ、ボトム)は上系列のクォーク(アップ、チャーム、トップ)へと崩壊する。アップクォークへと崩壊するクォークは、純粋なダウンクォークの状態(質量固有状態)ではなく、一般に下系列クォークの重ね合わせの状態となっている。チャーム、トップについても同様であり、上系列と下系列クォークのずれがCKM行列である。


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CKM行列 その2
・カビボ角
1963年、カビボはそれまでのゲルマンらの研究により導かれていた弱い相互作用の普遍性を保存するためにカビボ角θc)を提唱した。当時まだクォークモデルは存在していなかったが、これはダウンクォークやストレンジクォークがアップクォークへと崩壊する場合にかかわる現象(|Vud|2 および |Vus|2 に相当する)をよく説明できた。弱荷電カレントによりアップクォークへと崩壊するクォークは、一般に下系列クォークの重ね合わせ状態となっている。これを d′として表記すると、ベクトル表示では

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となる。
|Vud|2 |Vus|2 の和は 1 になるはずであるが、実際には 0.99999 にしかならない。これはトップクォークの存在を考慮していなかったためであるが(トップクォークを考慮すれば|Vut|2 = 0.00001 となり、総和は 1 である)、当時の実験精度ではトップクォークの存在を予言するには至らなかった。
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カビボ角は、ダウンクォークとストレンジクォークの質量固有状態|d>,|s>が作り出す質量固有ベクトル場が、弱固有ベクトル場|d'>,|s'>へと変化する場合の回転角を示す。θC = 13.04°.
1974年にチャームクォークが発見されると、ダウンクォークやストレンジクォークがチャームクォークにも崩壊することが確認され、以下のベクトル方程式が追加された。

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となる。この22列の回転行列はカビボ行列と呼ばれ、|Vij|2は、クォーク i がクォーク j に崩壊する確率を示している。
 

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CKM行列 その3
CKM行列
小林と益川は3世代以上のクォーク対があるとCP対称性の破れを説明できることを発見し、カビボ行列にもう1世代のクォーク対を加えて 33列とした CKM行列を提唱した。
上系列クォークの質量固有状態 u,c,t と対を成す状態をそれぞれ d',s',b' とし、下系列クォークの質量固有状態を d,s,b とすると,

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と書くことができる。この
V CKM行列である。現在知られている行列の各成分の絶対値は以下の通り。

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この行列では下系列クォーク(d,s,b)の混合状態(d',s',b')で上系列と下系列の不整合を説明しているが、これは純粋に便宜上のものにすぎない。上系列のクォークが混合していると見なすことも可能であり、その場合でも本質は変わらないユニタリー行列が現れる。
・媒介変数表記
CKM行列を理解するためには4つの表記法が必要であるが、ここでは代表的なもの3つを取り上げる。
・小林・益川表記
小林と益川による表記法では、行列は3つの角 θ1θ2θ3 CP対称性の破れを示す位相δ で表される。θ1 はカビボ角である。以下ciはコサイン、si はサインを表す。
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・標準表記
標準表記では3つのオイラー角θ12θ23θ13 CP対称性の破れを示す位相δ13 が用いられる。カビボ角はθ12 で表される。イメージ 4






現在知られている値は以下のとおりである。
θ12= 13.04±0.05°
θ13= 0.201±0.011°
θ23= 2.38±0.06°
δ13= 1.20±0.08
 

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CKM行列 その4
・ウォルフェンシュタイン表記
ウォルフェンシュタインによる表記法では、4つの媒介変数λAρη が使われ、標準表記を簡略化できる利点がある。標準表記で使われる変数とは以下のように対応している。
λ= s12
Aλ2= s23
Aλ3(ρ- iη) = s13e-iδ
λ3を基準にした場合に与えられる式は

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である。CP対称性の破れはρ - iη となる。各成分の値は、標準表記の値を代入した場合、以下の通りとなる。

λ= 0.2257+0.0009
-0.0010

A= 0.814+0.021
-0.022

ρ= 0.135+0.031
-0.016

η= 0.349+0.015
-0.017

・演算
N世代のクォークが存在する場合を考える。まず行列の成分の個数を数える必要がある。成分 V は実験により導かれる。
Nx Nの複素行列は2N2個の実数を含んでいる。
ユニタリティーの制限は
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であるので、対角成分
(i=j)N、それ以外の成分はN(N-1)の制限がある。よってユニタリー行列で独立な実数はN2個となる。
位相の1つはクォーク場へ吸収できる。全体に共通な位相は吸収できない。よって独立な数は(2N-1)個であり、変数は(N-1)2個となる。
これらのうちN(N-1)/2個はクォーク混合角と言われる回転角である。
残りの(N-1)(N-2)/2個が複素位相であり、CP対称性の破れの原因となる。
N= 2 の場合、2世代のクォーク間の混合角を表す位相因子は1つとなる。これはクォークの世代が2つしか知られていなかったときにCKM行列の前身になったもので、発見者にちなんでカビボ角といわれる。標準理論では N = 3 となり、3つの混合角とCP対称性の破れが現れる。
 

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CKM行列 その5(終わり)

・クォーク混合の発見

クォーク混合は以下の2つの観測結果を説明するために考えだされた。

アップクォークダウンクォーク、電子電子ニュートリノ、ミューオンミューニュートリノの変換は類似した振幅を持っている。

ストレンジネスが変化する素粒子の変換でΔS=1ΔS=0 1/4 の振幅を持っている。

これらについて、カビボは弱い相互作用の普遍性が1.を、ダウンクォークとストレンジクォークの混合角が2.をそれぞれ解決すると仮定した。

クォークが2世代の場合はCP対称性の破れを示す位相は現れない。その一方で中性K中間子の崩壊に伴う対称性の破れは1964年に発見されており、標準理論が発表されると1973年に小林と益川が指摘したように3世代目のクォークの存在が強く示唆された。1976年にはフェルミ研究所でボトムクォークが発見され、すぐにこれと対をつくるトップクォーク探しが始まった。

・弱い相互作用の普遍性

CKM行列の対角成分でユニタリティーの制限は

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である。これは上向きアイソスピンを持つクォークと下向きアイソスピンを持つクォークのペアの数が全ての世代で同じことを示唆している。この関係はカビボが1967年に弱い相互作用の普遍性(弱い相互作用のユニバーサリティー)として初めて指摘した。理論上全ての SU(2) 粒子対は弱い相互作用のゲージボソンと同じ強さで結合することが導かれ、これまでの実験結果と一致している。

・ユニタリティー三角形

CKM行列で残りのユニタリティーの制限は

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である。任意の i および j において3つの複素数の制限があり、k においては1つの制限がある。これは複素平面上でこれらの数が三角形の各頂点を構成することを示している。i j 6つの選択ができるので6つの三角形が作図できるが、これらをユニタリティー三角形(ユニタリ三角形)と呼ぶ。三角形の形は異なるにしても面積は全て等しく、これがCP対称性の破れの位相因子に関係する。標準理論でCP対称性の破れが存在しないと仮定して特定の変数を入れると三角形は作図できない。よってユニタリティー三角形はクォーク場の位相因子に関わっているといえる。

直接の観測結果では三角形の各辺は開いているため、日本の高エネルギー加速器研究機構とカリフォルニアのスタンフォード線形加速器センターにおいて、標準理論を検証する一連の実験として三角形が閉じているかどうか実験が続けられている。

 

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アノマリー

アノマリー(Anomaly)とは、ある法則・理論からみて異常、または説明できない事象や個体等を指す。科学的常識、原則からは説明できない逸脱、偏差を起こした現象を含む。すでに説明できるようになった現象でも、アノマリーあるいは異常という名称がそのまま残ったものも多い。

超常現象学では、超常現象についての科学的研究を行う。計算機科学における異常検出とは、関連データから不正データを検出する手法一般に関する事柄である。

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下記にアノマリーに関連する語句を示す。

・天文学

離心近点角, 近点と遠点、及び軌道上の任意の点の成す角。

フライバイ・アノマリー, 人工天体の地球フライバイの経過中に生じる予期しない運動エネルギー増加

平均近点角, 軌道運動を行なう天体のある時刻における位置を表すパラメータ。

パイオニア・アノマリー, 幾つかの無人探査機で観測された軌道計算と、実際の軌道の食い違い。

南半球アノマリー, 地球に存在するバンアレン帯の南北両半球における偏差。

真近点角, 軌道運動を行なう天体のある時刻における位置を表すパラメータ。

・地球物理学

ブーゲー異常地殻の厚みに基づく重力の異常。

フリーエア異常緯度と正標高から導かれる重力異常値

重力異常地球楕円体で求められる計算値からジオイド、測定地の緯度と地殻厚などで与えられる偏差から求められる異常値

イリジウム異常K-T境界生成期地層に含まれる異常なイリジウム濃度。

南大西洋異常帯 地球大気圏外の磁気圏において放射線量の高い領域であるヴァン・アレン帯にみられる異常構造。

磁気異常地磁気の地域的な地殻構成物を基因とする異常。

クルスク磁気異常世界有数の鉄鉱埋蔵量を誇る地域の磁気異常。ロシア・クルスク州。ベルゴロド州、オリョール州に跨る。

テマガミ磁気異常カナダ楯状地に属するカナダ・オンタリオ州テマガミ地域の磁気異常。

・量子力学

異常(物理学),量子力学における、古典論で説明のできない異常。量子異常対称性の破れなど。

共形アノマリー,  古典論の共形対称性が覆される量子的現象。

カイラル量子アノマリー, カイラル対称性の [U(1)]A anomaly 量子効果(QCDのダイナミクス)による軸性異常

ゲージアノマリー, ゲージ対称性(古典論)に沿わない量子論的効果が見られる事象。

大局的アノマリー, ゲージ対称性を宇宙全体に適用した場合に生じる(宇宙全体の軸対称性の破れ)量子論的効果が見られる事象。

重力アノマリー(量子論), 一般相対性理論などの古典的重力理論と量子重力理論によって説明されうるであろう、量子論的効果からもたらされるずれ 。

混合アノマリー, 上述の量子論アノマリー、特にゲージ異常に属する、大域・重力アノマリー

パリティアノマリー, パリティ(正/負)の対称性に関するアノマリー

・生物学

先天性椎骨奇形,脊椎動物の幼生における脊椎の異常、奇形。

コリー眼異常, コリーやシェルティなど犬の先天的遺伝性のある強膜と脈絡膜、網膜に発生する目の病気。

冠動脈奇形、先天性の心臓冠動脈異常。 

エプスタイン氏奇形, 先天性の心臓三尖弁の下方偏位と三尖弁の変形。

ウール氏奇形, 非常にまれな先天的心臓病で、右心の部分的または全部分に渡る心筋欠損。

・経済学

伝統的経済理論のアノマリー

危険回避に見られるアノマリー(小さな値では、危険回避度はほとんど0でなければならない)

指数的割引のアノマリー

伝統的理論ではアノマリーであるが、行動経済学、進化経済学としては説明理論がある。

行動経済学が発見したアノマリー

連言錯誤(リンダの問題) 

心の会計

行動ファイナンスが発見したアノマリー

ロイヤル・ダッチ・シェルの株価(イギリスの株価とオランダの株価の乖離)

週末効果

季節効果

アナウンス効果

・空想科学

フォートのアノマリー, チャールズ・フォートの著作中に現れる現象、フォーティアン現象。

空間異常, スタートレックほかのSF作品に広く用いられる、時空連続体の特異な歪、破れ。

ワームホール 1950年代ロバート・ハインラインのSF小説に登場したハイパースペースの抜け穴。

Animorphs(アニモルフス) Animorphs 英語SFシリーズにおける超常現象。

Anomaly(comics), DC コミックス、スーパーマンシリーズのエピソード。

・音楽

セラフィック・カーネイジが2005年に発表したアルバム名。Anomalies (album)

"Anna Molly" はインキュバス(音楽)Incubus)のアルバム Light Grenadesからのシングル。 タイトルのAnna Mollyは、曲名の女性の名前が元になっている。 anomaly (アノーマリーアンナモリー)と語感が似る。

キッスのギターリストエース・フレイリーが2009年に発表したソロアルバムのタイトル。

・その他

アララト山アノマリー:アララト山にある、ノアの箱舟の痕跡と見られる物体。

小西アノマリー:ネーターの定理、すなわち、ある系に対称性があればそれに対応する保存則が存在するという主張に対する異常。

市場アノマリー:金融市場における価格の偏歪現象。テクニカル分析・ファンダメンタル分析では分析できない事象や分析方法をあらわす。一般に市場アノマリーとは呼ばすに単にアノマリーと呼んでいる。

ソフトウェア・アノマリー:何らかの予測される結果との相違、記述にある想定された結果、実際に見られたもの、その他予想外の現象

 

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クーロンの法則 その1

クーロンの法則Coulomb's law)とは、荷電粒子間に働く反発し、または引き合う力がそれぞれの電荷の積に比例し、距離の2乗に反比例すること(逆2乗の法則)を示した電磁気学の基本法則。

イメージ 1ヘンリー・キャヴェンディッシュにより1773年に実験的に確かめられ、シャルル・ド・クーロンが1785年に法則として再発見した。磁荷に関しても同様の現象が成り立ち、これもクーロンの法則と呼ばれる。一般的にクーロンの法則と言えば、通常前者の荷電粒子間の相互作用を指す。

また、導体表面上の電場はその場所の電荷密度に比例するという法則も「クーロンの法則」と呼ばれる。こちらは「クーロンの電荷分布の法則」といい区別する。

・概要

クーロンの法則は1785年から89年にかけて発見されたが、それまでの電磁気学(確立していないがそれに関する研究)は、かなり曖昧で定性的なものであった。電磁気学は、1600年にギルバートはコハクが摩擦でものを引きつける現象から、物質を電気性物質、非電気性物質として区別したことに始まり、1640年にはゲーリケによって放電が確認された。

18世紀に入った1729年にグレイが金属が電気的性質を伝えることを発見し、その作用を起こす存在を電気と名付けた。彼はギルバートの電気性物質の区別を、電気を導く物質として導体、電気を伝えない物質を不導体と分類した。1733年、デュ・フェが摩擦によって生じる電気には二つの性質があり、同種間では反発し、異種間では引き合うこと、そして異種の電気を有する物質どうしを接触させると中和して電気的作用を示さなくなることを発見した。1746年にはライデン瓶が発明され、電気を蓄える技術を手に入れた。1750年には検電器が発明され、これらからフランクリンが電気にプラスとマイナスの区別をつけることでデュ・フェの現象を説明した。

フランクリンの手紙に示唆されて、プリーストリーは1766年に中空の金属容器を帯電させ、内部の空気中に電気力が働かないことを示し、重力との類推から電気力が距離の2乗に反比例すると予想した。1769年にジョン・ロビソン(JohnRobison)は実験により同種電荷の斥力は距離の2.06乗に反比例し、異種電荷の引力は距離の2以下の累乗に反比例することを見いだした。しかしこの結果は1803年まで公表されなかった。1773年にイギリスのキャヴェンディッシュは同心にした2個の金属球の外球を帯電させ、その二つを帯電させたときに内球に電気が移らないことから逆二乗の法則を導き出した。これはまさにクーロンの法則であり、クーロンよりも早く、しかも高い精度で求めていた。しかし、彼は研究資料を机にしまい込んで発表しなかったためにおよそ100年の間公表されなかった。

1785年にクーロンはねじり天秤を用いて、荷電粒子間にはたらく力が電荷量の二乗に比例し、距離の二乗に反比例するという法則、すなわち以下でしめされるクーロンの法則を導きだした。

イメージ 2



ここでq1,q2は荷電粒子の電荷量。rは粒子間の距離。kは比例定数。

q1q2>0q1q2>0ならば斥力を表し、q1q2<0 ならば引力を表す。これは実験から見出したもので距離の指数 2+δ は物理量で有効数字をもち、現在もより精密な実験により更新されている。キャヴェンディッシュによる実験では |δ|=1/50 であり、マクスウェルの実験では |δ|=1/21600 、現在の値では|δ|<2×10-9であることが確かめられている。このため実用的には通常距離の二乗としている。この実験の成果からこの法則をクーロンの法則と呼ぶ。また式中の定数 kをクーロン定数といい、この式で表される力Fをクーロン力(静電力、静電気力、静電引力)という。

クーロンの実験の後にも、電気力と距離の関係を求めようとして行われた実験は少なくないが、それらは必ずしも逆2乗則を支持するものではなかった。クーロンのねじり天秤は非常に敏感な装置であり、現代に行われた再現実験でも誤差が大きく、距離の冪数が13乗程度になるという結論しか得られていない。クーロンの論文のデータの誤差は34%程度で、おそらく多くの測定の中から最も信頼できると思われるデータだけを報告したものと推察される。再現実験を行ったヘーリングは、「おそらくクーロンは理論的考察から逆2乗則を信じるようになり、それを実証しようとして実験したのであって、実験から逆2乗則を発見したのではなかろう」と結論している。ただしこの時代には最小二乗法などの誤差論が存在しなかったことにも留意する必要がある。

キャベンディッシュの研究資料は1870年に設立されたキャヴェンディッシュ研究所の初代所長マクスウェルによって公表された。マクスウェルはキャヴェンディッシュの方法を改良して追試をおこない、非常に高い精度でクーロンの法則を確かめている。

 

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クーロンの法則 その2(終わり)

・電荷に関するクーロンの法則

2つの電荷を帯びた粒子(荷電粒子)間に働く力の大きさは、2つの粒子の電荷(q1q2)の積に比例し、粒子間の距離rの二乗に反比例する。同符号の電荷のあいだには斥力、異なる符号の電荷のあいだには引力が働く。この力のことをクーロン力(またはクーロン相互作用)と呼ぶ。

F=kq1q2/r2

ただしFを力の大きさ、qを電荷の大きさ、r2物体間の距離とする。kは比例定数である。

イメージ 1q1 = 1C, q2 = 1C (単位C: クーロン、1C=1A·s) として粒子間距離r 1m に設定し、力を測定すると比例定数が求められる。これによるとk = 8.9876×109 N·m2·A-2·s-2である。

ここでk=1/4πε0 とおくと、F=1/4πε0q1q2/r2 と表せる。

国際単位系(SI)で記述すると比例定数kには(真空の)誘電率ε0 (= 8.854×10-12A2·s2·N-1·m-2)があらわれる。

方向まで考慮すると、

F= q1q2/4πε01/r2r^ : r^=r/|r|=r/r  (r^を意味する。以下も同じ)

クーロン力は以下のようなクーロンポテンシャルから導くことができる。

V1(r^1)q1q2/rr^=V2(r^2)

クーロン力は位置のみに依存する保存力であることがわかる。

・磁荷に関するクーロンの法則

また、磁荷を帯びた粒子間に働く力に関しても距離の逆二乗の関係があり、発見者(同上)の名にちなんでこれもクーロンの法則という。ただし、磁荷は電荷のように分割はできず(どんなに細かくしても必ずN極とS極が対になる)、現実には存在しない。ここでは仮想的な概念として磁荷を取り扱う。

Fを力の大きさ、m を磁荷、k'を比例定数、μ0は真空の透磁率とすると

F= k'm1m2/r2=m1m2/4πμ01/r2

書き換えると、

F= m1H

ただし、この定義はEHとなるため、磁荷の単位はWb(ウェーバ)となりHの単位はA/mBで別表記すると

B0H

と言う対応から、

F= m10B

となる。また次のようにも考えられる

m1H=m1m2/4πμ01/r2r^m10B

ゆえに、

B =m2/4π1/r2r^

となる。

・クーロン定数

クーロン定数

記号

1/4πε0

プランク単位系、幾何学単位系

Q-2 M L3 T-2

SI

8.9876×109 [N·m-2·A2·s2

 

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量子論 その1

イメージ 1
 上図は、銅表面に楕円状に配置されたコバルト原子(走査型トンネル顕微鏡により観察)の写真である。

量子力学quantum mechanics量子論)は、現代物理学の1つである。古典力学で説明しきれない電子や原子核などの間の微視的現象を説明するために開発された理論である。

・概要

ニュートン力学では、物体に、初期値すなわち「位置と運動量」を与えれば、その物体の運動は完全に決定される。

しかし、実際には、原子や分子、電子、素粒子などの非常に小さなスケールの現象(微視的現象)を扱う場合、粒子の位置と運動量は同時に両方を正確に測定することができない(不確定性原理)。

また、原子や電子が粒子としての特徴をもつと同時に波としての特徴をもつ(物質波の概念)ことが知られている。一方、光や電波のような電磁波もまた、波としての性質を持つと同時に粒子としての特徴をもつ(光量子仮説)ことが知られている。

このような性質をもっている量子という概念を導入すると、量子の確率分布を数学的に記述することができ(確率解釈)、粒子や電磁波の振る舞いを理解することができる。これを量子力学と呼ぶ。

1925年のハイゼンベルクの行列力学と、1926年のシュレーディンガーによる波動力学とがそれぞれ異なる数学的手法によって量子力学の基礎を完成させた。

19世紀に信じられていた決定論的な物理学とは異質であるため、これらの理論が提案された20世紀初頭にはその解釈をめぐって大論争が展開された。現在では、巨視的な物理から(原子スケール程度に)微視的な物理までをほぼ完全に記述できると考えられ、量子力学に基づいて多くの工学的な応用もなされている。更に微視的(素粒子スケール程度に)な物理までを記述する理論の研究も行われている。

・物理学における量子力学の位置付け

現代的な立場では、量子論の中でも、基本変数として「粒子や剛体の古典力学と同じもの(たとえば位置と運動量)」に選び、足りないもの(スピンなど)は適宜補った量子論を「量子力学」と呼び、基本変数として「場とその時間微分または共役運動量」に選んだ量子論を「場の量子論」と呼ぶ。量子力学は、場の量子論を低エネルギー状態に限った時の近似形として得られる。

量子力学をもとにして、それを手段として用いる物理学分野全般のことを量子物理学ということがある。これには物性物理学のほとんどの領域、素粒子物理学、核物理学など広範な分野が属する。また、工学的な応用研究を指して、量子工学と呼ぶ場合がある。材料関連、ナノテクノロジー、電子デバイス、半導体、超伝導素材の応用研究など、広範な分野が属する。量子物理学や量子工学という言葉はいずれもかなり広範囲の領域を含むため、現在では大学の学科の名称などにしか用いられていない。

・歴史

-前期量子論

前期量子論とは、古典力学(統計力学)の時代から、ハイゼンベルク、シュレーディンガー等による本格的な量子力学の構築が始まるまで(1920年代中頃)の、過渡期に現れた量子効果に関しての一連の理論をいう。

量子力学成立以前の物理学において、物体の運動はニュートンの運動方程式によって説明されていた。18世紀に産業革命がはじまるとニュートン力学はただちに機械工学に応用されはじめた。毛織物などの軽工業、鉱山での採掘などで用いるために蒸気機関が発明されると、熱機関の改良にともなって熱力学が発展した。やがて、ニュートン力学によって熱力学を説明する試みによって初期の統計力学が構築された。

産業革命がやがて製鉄などの重工業に広がりをみせるとキルヒホッフは溶鉱炉の研究から1859年に黒体放射を発見した。黒体放射のスペクトルの理論的研究は、統計力学と結びつくことによって量子力学の基礎となる理論を与え、最終的にプランクによってプランク分布が発見された(エネルギー量子仮説、1900年発表)。物理的に黒体放射をプランク分布で説明するためには、黒体が電磁波を放出する(電気双極子が振動する)ときの振動子のエネルギーが離散的な値をとることを仮定する必要がある(量子化の概念、プランク定数の導入。詳細は黒体放射の項を参照のこと)。

ファラデーやガウスが幾何学的考察から見出した電磁力に関する法則をマクスウェルが1864年にマクスウェルの方程式としてまとめ、電磁波の存在を予想した。1887年にこの予想に基づいてグスタフ・ヘルツが電磁波の実証実験に成功し、無線の発明の基礎を与えた。さらに、この実験の中で後の量子力学の端緒のひとつとなった光電効果を発見した。光電効果はその後レーナルトらによって実験的研究が進められた。

1905年にアインシュタインは、プランクの用いた量子化の概念を用いて、電磁波に粒子としての性質があること(光量子仮説)を発表した。1923年にコンプトンが電子によるX線の散乱においてコンプトン効果を発見したことで有力な証拠を得た。

1924年にはルイ・ド・ブロイにより電子のような粒子にも波としての性質があるという物質波の概念が提唱され、1927年にクリントン・デイヴィソンやジョージ・パジェット・トムソンにより実証された。1928年には日本の菊池正士も雲母の薄膜による電子線の干渉現象を観察して、電子が波動性をもっていることを示している。この粒子としての性質と波としての性質をもった何かという概念は量子力学成立以前の物理学では、全く考えられていなかったものであった。

原子モデルについての議論もまた量子力学に重要な知見を与えた。ファラデーが電気分解の実験によってイオンの存在を指摘し、やがて荷電粒子によって原子が構成されていることが認められるようになったが、荷電粒子によって構成される原子モデルをニュートンの運動方程式やマクスウェルの方程式と矛盾せずに構築することができなかった。1913年にボーアは、この問題に大胆な仮定(ボーアの量子条件)を導入することによって新たな原子モデルを提案し、水素原子の離散的なスペクトルなどを説明した。ボーアの提案した原子モデルで電子を物質波としてみた場合、「原子核の周囲を回る電子の物質波が定常波であるための条件」と解釈できた。つまりボーアの量子条件は電子が波としてふるまっていることを示唆しており、物質波の概念を強く支持した。

前期量子論が、(ニュートン力学的な)粒子としての性質と(マクスウェルの電磁気学的な)波としての性質をもった量子という概念の発見であるとすれば、ハイゼンベルク、シュレーディンガー等による量子力学の基本方程式の構築は、マクスウェルの方程式とニュートンの運動方程式を統合したものであるといえる。

-量子力学の完成

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1925年、量子力学の基礎はハイゼンベルクによって行列力学として与えられた。これによりついに、粒子性と波動性をもつ量子の運動(厳密には存在確率)を記述できる基礎方程式が書き下された。翌1926年、シュレーディンガーにより波動力学という別の形式で与えられた。それぞれハイゼンベルクの運動方程式、シュレーディンガー方程式と呼ぶ。

プランクの量子仮説とド・ブロイの物質波を仮定することから、粒子のエネルギーや運動量を波(波動関数)として表現することができる。

粒子のエネルギーと運動量を波動として表現して代入することで、シュレーディンガー方程式を得ることができる(波動力学)。また、粒子のエネルギーや運動量を波としての性質(重ね合わせの原理、直交性、線形性)をもつということができるため、行列に置き換えて同じ演算をすることができる(行列力学)。同1926年、シュレーディンガーはこれらの2つの力学が数学的に等価であることを証明した。

1927年にハイゼンベルクは不確定性関係を導き(不確定性原理)、ほぼ同時期にコペンハーゲン解釈が明確にされた。

量子力学の解釈については、大きな議論が巻き起こった。確率解釈を嫌ったアインシュタインは、「神はサイコロを振らない」という有名な言葉を残した。

同時期にディラックはクリフォード代数を導入することにより、確率が負にならない相対論的量子力学を構成し(ディラック方程式の項を参照のこと)、またブラ-ケット記法を用いた演算子理論を最初に使った。1932年にフォン・ノイマンは演算子理論としての量子力学の厳密な数学的基礎を与えた(量子力学の数学的基礎)。

-量子力学の完成以降の発展と応用

量子力学の定式化が行われるようになって、現代物理学では量子力学とアインシュタインの相対性理論が最も一般的な物理学の基礎理論であると考えられるようになった。その後、電磁相互作用、重力相互作用を量子力学に組み込むことが求められるようになった。それぞれ、特殊相対性理論や一般相対性理論と量子力学の橋渡しをしてひとつの定式化された理論を目指すことに相当する。

1950年代にファインマン、ダイソン、シュウィンガー、朝永振一郎らによって量子電磁力学が構築された。量子電磁力学(りょうしでんじりきがく、Quantum electrodynamics;QED)とは、電子を始めとする荷電粒子間の電磁相互作用を量子論的に記述する理論である。一方、量子力学と一般相対性理論を合わせた理論(量子重力理論)は、いまだ完成されていない。

さらに素粒子物理学の発展によって従来考えられていなかった電磁力や重力以外の基本相互作用が認められるようになった。量子色力学が研究されるようになり、1960年代初頭から始まる。今日知られる様な理論はポリツァー、グロス、ウィルチェックらにより1975年に構築された。すべての基本相互作用を含む大統一理論の探求がおこなわれている。

これまでに、シュウィンガー、南部、ヒッグス、ゴールドストーンらと他大勢の先駆的研究に基づき、グラショー、ワインバーグ、アブドゥス・サラムらは電磁気力と弱い力が単一の電弱力で表されることを独立に証明している(電弱理論)。

量子力学の成立によって物性物理学の発展に基づいた現代の工学の発展は可能になった。今日のIT社会ないし情報化社会と呼ばれる状況を成立させている電子工学も、半導体技術などが量子力学をその基盤としている。量子力学はまた化学反応の現代的な記述を可能にし、量子化学の分野が発展した。

-古典力学と量子力学の対応

古典力学は量子力学の近似理論であるといわれる。そのおもな理由として、

「いくつかの有力な模型で、プランク定数を 0 とみなせば古典力学に等価になること」

「シュレーディンガー方程式の期待値を取ることで、運動方程式が得られること」

「古典力学における物理量を量子化することで量子力学が得られること」

などがあげられる。3.については「量子化の項目」に委ねるとして、本記事では上述二項を説明し、古典力学と量子力学の対応関係を解説する。

-ボーアの対応原理

ボーアの対応原理によって、古典力学は「プランク定数を0とみなした場合の量子力学の極限」として位置付けられている。

-エーレンフェストの定理

ポテンシャルの空間微分(古典的には力に対応するもの)の空間的な変化がゆっくりで、波動関数の広がっている範囲で一定と近似できるならば、シュレーディンガー方程式の期待値を取ることで運動方程式が得られる。即ち位置の期待値と運動量の期待値が古典力学における運動方程式であるHamilton方程式を満たす。



天体宇宙物理学への扉を開く (最終回)

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量子論 その2(終わり)

・量子力学の解釈問題

-量子力学と観測

量子力学では対象を状態の重ね合わせとして記述し、観測によって1つの状態がある確率で実現する。この枠組みは、それ以前までに育まれていた客観的実在を想定する決定論的記述を見直す契機になった。このため、量子力学の解釈問題が重要な課題となった。

ニールス・ボーアらの提示したコペンハーゲン解釈では、観測が行われると、状態を記述する波動関数1つの状態に収縮しているとする。ここで、何時どのようにその状態が実現したのかについては説明を与えない。これに対し、アインシュタインらは、量子力学では記述されていないが実際にその状態を実現させた変数が存在するはずだ、と主張した(局所的な隠れた変数理論)。また、確定時期を特定することの困難を指摘する思考実験として、有名な「シュレーディンガーの猫」の例が示された。

しかしながら、局所的な隠れた変数理論は、量子力学とは異なる結論を出すことがベルの不等式によって立証され、実験検証(アスペの実験)によって棄却された。量子力学と同じ結論を出す、非局所的な隠れた変数理論は存在する。ただし、この理論は、クラスター分解性を持たず文脈依存性があることが知られている。

-量子力学と意識

コペンハーゲン解釈はどのようにして観測によって波動関数が1つの状態に物理的に収縮するのかは説明しない。隠れた変数理論が数学的に成り立たないことがフォン・ノイマンによって証明された(しかし、後に、その証明に使われた仮定の1つが誤りであることが、デヴィッド・ボームによって指摘されている。)。そこで、ノイマンは、収縮は観測という人間の行為と同時に起こる、として、量子力学の枠組みで説明できない意識を導入し、意識と相互作用する際に収束がおきるという主張をした。ウィグナーは人間の意識の特別な意義を重要視する姿勢を示した。他に、ペンローズも意識や心と量子力学を関連させて論じている。しかし、観測の過程において、何時、どのようにして収縮が起きたかについては、それを論じる理論もなければ、それを示す証拠もなく、今日でも完全な合意は形成されていない。収縮が起きる瞬間を明確に特定できない以上、人間が認知した瞬間に起きることだけを前提として観測による状態の変化に意識が介在するという考え方に踏み込む必要性は全くないと言える。

また、このような解釈の導き出す困難をウィグナーは、ウィグナーの友人のパラドックスによって示している。これは、シュレーディンガーの猫の変形であり、毒ガス発生機をランプに置き換え、さらに、猫の代わりにウィグナーの友人を箱に入れる。猫の場合には、箱の外の人間が観測しない間は猫はマクロな状態の重ね合わせと考えねばならなかったが、猫でなく人間である場合には、箱の外の人間が観測する時点で観測が行われたとすべきか、箱の中の友人が既に観測を行っているとすべきか、決められない。ウィグナーの友人のパラドックスは、フォン・ノイマンの理論が観測という基本的な定義においてさえ不完全であることを示している。

波束の収束を、観測されるミクロな対象とマクロな観測装置の両方を含めて、物理的に説明しようとする試みも進められている。しかし、量子力学の成立以来続けられているこの試みは未だ成功していない。

-量子力学と論理学

古典力学ではものの状態は客観的に定まっていることが想定されている。従って例えば、在る、か、無い、かの、二値論理に従う。量子力学の枠組みにおいてはものの状態は客観的に定まっているものではなく、観測して初めて定まる。従ってものの状態は、在る、無い、どちらとも決まっていない(まだ観測していない)、の3つの状態に区分できる。この、状態を三値で記述する論理(三値論理)を採用することによって、ハンス・ライヘンバッハは量子力学の枠組みの論理的基礎付けを行った。

また、観測により定まる命題に関する「量子論理」がフォン・ノイマンらによって提唱されている。これは古典論理と同じ二値論理であるが、分配律が成り立たないなどの点で違いがある。

・量子コンピュータ

アインシュタイン=ポドルスキー=ローゼンのパラドックスはEPR相関として認知されるようになり、ここで生じる離れた場所どうしの状態の絡み合いを量子もつれと呼ぶ。EPR相関は量子もつれを利用して離れた場所へ状態が送られる現象として理解でき、これを量子テレポーテーションと呼ぶ。

計算機の中の電子の状態は本来量子力学的に記述されるとすると、0 または 1 2値(1ビット)ではなく、0 1 が重ねあわされた途中の値を持つ場合がある。この量子論的な状態を1量子ビット(qubit) と呼ぶ。複数のqubitに対してユニタリー変換を活用して演算を行うことにより、古典計算機では実現し得なかった並列処理が可能になる。

現在情報通信分野で使われているRSA暗号などの暗号システムは、大きな桁数の素因数分解が事実上不可能である事を前提として成立しているが、量子コンピュータが実現した場合この前提が崩れる事が1994年にShorによって証明されている。また、関連する数学の分野では因数分解がNP完全問題かどうかが論点となっており、もし因数分解がNP完全問題である事が証明されれば、すべてのNP完全問題が量子コンピュータによって解かれることになる。


これ以降、予定していた「宇宙論」の記事は、「量子論」(量子力学)をはじめ

量子色力学

量子電磁力学

素粒子物理学

などであり、かなり高度な専門知識を必要とすることから取り敢えず今回で終了させていただきます。このような専門知識を必要な読者は是非とも専門書を読んで頂きたい。


更に宇宙論の真髄として記載予定だった次の項目も、省略します。

基本相互作用(四つの力)  階層性問題  暗黒物質(ダークマター)

ドップラー効果  ニュートリノ振動  カルツァ=クライン理論

万物の理論 宇宙の晴れ上がり  ループ量子重力理論  超重力理論  量子化  弦理論 宇宙ひも  インフレーション 原子核合成(ビッグバン原子核合成

GWB · ニュートリノ背景放射 赤方偏移 FLRW計量 シュヴァルツシルトの解 シュヴァルツシルト半径  銀河の形成と進化  大規模構造  銀河フィラメント スローン・デジタル・スカイサーベイ2dFSDSS  COBE WMAP  星間物質 ビリアル定理  質量 銀河の回転曲線問題  弾丸銀河団  重力レンズ  星間ガス 陽電子  ニュートラリーノ  ダークエネルギー 熱い暗黒物質 冷たい暗黒物質(コールドダークマター)アキシオン(アクシオン)ミラーマター 白色矮星 中性子星 パルサー 褐色矮星 銀河ハロー


これまでこのブログをご覧頂き、誠にありがとうございました。

ここに感謝の意を込めて、終了させて頂きます。



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CKM行列 その1

カビボ・小林・益川行列Cabibbo-Kobayashi-Maskawa matrix)は、素粒子物理学の標準理論において、フレーバーが変化する場合における弱崩壊の結合定数を表すユニタリー行列である。頭文字をとってCKM行列と呼ばれることが多い。クォーク混合行列とも言われる。CKM行列はクォークが自由に伝播する場合と弱い相互作用を起こす場合の量子状態の不整合を示しており、CP対称性の破れを説明するために必要不可欠である。この行列は元々ニコラ・カビボが2世代の行列理論として公表していたものを、小林誠と益川敏英が3世代の行列にして完成したものである。

・概要

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電弱相互作用(荷電カレント)により下系列のクォーク(ダウン、ストレンジ、ボトム)は上系列のクォーク(アップ、チャーム、トップ)へと崩壊する。アップクォークへと崩壊するクォークは、純粋なダウンクォークの状態(質量固有状態)ではなく、一般に下系列クォークの重ね合わせの状態となっている。チャーム、トップについても同様であり、上系列と下系列クォークのずれがCKM行列である。


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CKM行列 その2
・カビボ角
1963年、カビボはそれまでのゲルマンらの研究により導かれていた弱い相互作用の普遍性を保存するためにカビボ角θc)を提唱した。当時まだクォークモデルは存在していなかったが、これはダウンクォークやストレンジクォークがアップクォークへと崩壊する場合にかかわる現象(|Vud|2 および |Vus|2 に相当する)をよく説明できた。弱荷電カレントによりアップクォークへと崩壊するクォークは、一般に下系列クォークの重ね合わせ状態となっている。これを d′として表記すると、ベクトル表示では
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となる。
|Vud|2 |Vus|2 の和は 1 になるはずであるが、実際には 0.99999 にしかならない。これはトップクォークの存在を考慮していなかったためであるが(トップクォークを考慮すれば|Vut|2 = 0.00001 となり、総和は 1 である)、当時の実験精度ではトップクォークの存在を予言するには至らなかった。
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カビボ角は、ダウンクォークとストレンジクォークの質量固有状態|d>,|s>が作り出す質量固有ベクトル場が、弱固有ベクトル場|d'>,|s'>へと変化する場合の回転角を示す。θC = 13.04°.
1974年にチャームクォークが発見されると、ダウンクォークやストレンジクォークがチャームクォークにも崩壊することが確認され、以下のベクトル方程式が追加された。

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となる。この22列の回転行列はカビボ行列と呼ばれ、|Vij|2は、クォーク i がクォーク j に崩壊する確率を示している。
 

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出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
CKM行列 その3
CKM行列
小林と益川は3世代以上のクォーク対があるとCP対称性の破れを説明できることを発見し、カビボ行列にもう1世代のクォーク対を加えて 33列とした CKM行列を提唱した。
上系列クォークの質量固有状態 u,c,t と対を成す状態をそれぞれ d',s',b' とし、下系列クォークの質量固有状態を d,s,b とすると,

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と書くことができる。この
V CKM行列である。現在知られている行列の各成分の絶対値は以下の通り。

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この行列では下系列クォーク(d,s,b)の混合状態(d',s',b')で上系列と下系列の不整合を説明しているが、これは純粋に便宜上のものにすぎない。上系列のクォークが混合していると見なすことも可能であり、その場合でも本質は変わらないユニタリー行列が現れる。
・媒介変数表記
CKM行列を理解するためには4つの表記法が必要であるが、ここでは代表的なもの3つを取り上げる。
・小林・益川表記
小林と益川による表記法では、行列は3つの角 θ1θ2θ3 CP対称性の破れを示す位相δ で表される。θ1 はカビボ角である。以下ciはコサイン、si はサインを表す。
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・標準表記
標準表記では3つのオイラー角θ12θ23θ13 CP対称性の破れを示す位相δ13 が用いられる。カビボ角はθ12 で表される。イメージ 4






現在知られている値は以下のとおりである。
θ12= 13.04±0.05°
θ13= 0.201±0.011°
θ23= 2.38±0.06°
δ13= 1.20±0.08
 

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出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
CKM行列 その4
・ウォルフェンシュタイン表記
ウォルフェンシュタインによる表記法では、4つの媒介変数λAρη が使われ、標準表記を簡略化できる利点がある。標準表記で使われる変数とは以下のように対応している。
λ= s12
Aλ2= s23
Aλ3(ρ- iη) = s13e-iδ
λ3を基準にした場合に与えられる式は

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である。CP対称性の破れはρ - iη となる。各成分の値は、標準表記の値を代入した場合、以下の通りとなる。

λ= 0.2257+0.0009
-0.0010

A= 0.814+0.021
-0.022

ρ= 0.135+0.031
-0.016

η= 0.349+0.015
-0.017

・演算
N世代のクォークが存在する場合を考える。まず行列の成分の個数を数える必要がある。成分 V は実験により導かれる。
Nx Nの複素行列は2N2個の実数を含んでいる。
ユニタリティーの制限は
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であるので、対角成分
(i=j)N、それ以外の成分はN(N-1)の制限がある。よってユニタリー行列で独立な実数はN2個となる。
位相の1つはクォーク場へ吸収できる。全体に共通な位相は吸収できない。よって独立な数は(2N-1)個であり、変数は(N-1)2個となる。
これらのうちN(N-1)/2個はクォーク混合角と言われる回転角である。
残りの(N-1)(N-2)/2個が複素位相であり、CP対称性の破れの原因となる。
N= 2 の場合、2世代のクォーク間の混合角を表す位相因子は1つとなる。これはクォークの世代が2つしか知られていなかったときにCKM行列の前身になったもので、発見者にちなんでカビボ角といわれる。標準理論では N = 3 となり、3つの混合角とCP対称性の破れが現れる。
 
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