出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
電磁波 その2
・理論
1864年にジェームズ・クラーク・マクスウェルは、それまでに明らかにされていた、電磁気に関する次の4つの物理法則、1.ファラデーの電磁誘導の法則、2.アンペールの法則、3.電場に関するガウスの法則、4.磁場に関するガウスの法則を統合することによって、マクスウェルの方程式を完成させた。これは電磁気学の基本原理である。マクスウェルの方程式からは, 理論的に波動方程式が導出されるため, 電磁場に伝わる波が存在するということが予測され、それは1888年にハインリヒ・ヘルツによる実験で発見された。
20世紀初頭に登場した量子力学は、電磁波という空間が振動して生じた連続性を持ったエネルギーの波動と、物質という原子や分子で構成された不連続な粒子(パーティクル)の集合物の間でのエネルギーの授受は、一般の巨視的な波動現象とは異なり、ランダムな熱運動をしている物質側の共振周波数に依存するエネルギーの最小単位量子の整数倍でしか行われない、不連続性を示すことをマックス・プランクが発見したことから始まった。量子力学の世界では光(電磁波)はアルベルト・アインシュタインの光量子仮説に基づいて光子として量子化して扱われている。
・種類
電磁波は波長によって呼び名・用途が異なる。
電磁波は波長によって様々な分類がされており、波長の長い方から電波・光・X線・ガンマ線などと呼ばれる。
電波
周波数が 3 THz 以下(下限の周波数は規定されていない)の電磁波を指し、さらに波長域によって低周波・超長波・長波・中波・短波・超短波・マイクロ波と細分化される。詳しくは電波の周波数による分類を参照。
光
波長が 1 mm から 2 nm 程度のものを指し、波長域によって赤外線・可視光線・紫外線に分けられている。
X線、ガンマ線
元々はX線は電子励起(及び制動放射等の電子由来の機構)から発生する電磁波、ガンマ線は核内励起から発生する電磁波というように発生機構によって区分けされているものであるが、大雑把に波長が 1 nm 以下のものをX線、さらに短い 10 pm 以下のものをガンマ線と呼ぶ事も多い。
なお、これらの境界は統一的に定められたものではない。学問分野等によって多少の違いがある。
・特徴
電磁波は波長によって様々な特徴をもつ。
最も波長の長い電波は、進行方向に多少の障害物があっても進行することができる。このため、通信や放送などの長距離の情報送信に使用されることが多い。テレビやラジオ、携帯電話などが代表的である。
電波よりも波長の短い光は、物質に吸収されて化学反応や発熱などの相互作用を生じることがある。この現象は眼が見える理由でもあるが、他に植物の光合成やリソグラフィーなどが該当する。
さらに波長が短いX線になると、物質との相互作用が減少し、透過するようになる。この現象を利用することで、レントゲン写真やX線CTを撮影することができる。