出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
宇宙論 その2
・関連項目
九つの世界(北欧神話のコスモロジー)
九つの世界(ここのつのせかい)は、北欧神話に登場する世界の総称で9つあり、3つの層に分かれている。第一層と第二層とは、虹の橋(ビフレスト)によって結ばれている。
第二層のスヴァルトアールヴヘイムとニダヴェリール、あるいは第三層のヘルヘイムとニヴルヘイムを同一のものとして、創世以前からあるムスペルヘイムを数える事もある。
ユグドラシル
ユグドラシルは、九つの世界に根を張り、3つの魔法の泉がある。
ミーミルの泉(ミーミスブルン)
ウルズの泉(ウルザブルン)
フヴェルゲルミル
第一層
アース神族の国アースガルズ
ヴァルハラ
妖精の国アルフヘイム
ヴァン神族の国ヴァナヘイム
第二層
小人の国ニダヴェリール
黒い妖精の国スヴァルトアールヴヘイム
人間の国ミズガルズ
巨人の国ヨトゥンヘイム
ウートガルズ
ガストロープニル
スリュヘイム
第三層
氷の国ニヴルヘイム
ギンヌンガガプ(ニヴルヘイムとムスペルヘイムを分ける)
死の国ヘルヘイム
炎の国ムスペルヘイム
ギンヌンガガプ
・古代ギリシャ
紀元前700年ころに活動したヘシオドスの『神統記』の116行目には「まず最初にchaos カオスが生じた」とある。古代ギリシャ語の元々の意味では「chaos」は《大きく開いた口》を意味していた。まずそのchaosがあり、そこから万物が生成した、とされたのである。そしてそのカオスは暗闇を生んでいるともされた。
ピタゴラス学派の人々は宇宙をコスモスと呼んだ。この背景を説明すると、古代ギリシャでは「kosmosコスモス」という言葉は、調和がとれていたり秩序がある状態を表現する言葉であり、庭園・社会の法・人の心などが調和がとれている状態を「kata kosmon(コスモスに合致している)」と表現した。同学派の人々は、数を信仰しており、存在者のすべてがハルモニアやシンメトリアといった数的で美的な秩序を根源としていると考え、この世界はコスモスなのだ、と考えた。このように見なすことにより同学派の人々は、一見すると不規則な点も多い天文現象の背後にひそむ数的な秩序を説明することを追及することになった。その延長上にプロラオスやエウドクソスらによる宇宙論がある。
ペトルス・アピアヌスによって描かれた“Cosmographia”。古代から中世にかけてのコスモロジー。(アントワープ、1539年)
古代ギリシャのエウドクソス(紀元前4世紀ころ)は、地が中心にあり、天体がそのまわりを回っているとした(→地球中心説、天動説)。27の層からなる天球が地を囲んでいると想定した。古代ギリシャのカリポス(紀元前370-300頃)は、エウドクソスの説を発展させ、天球を34に増やした。
アリストテレス(紀元前384-322年)は『形而上学』において、エウドクソスおよびカリポスの説を継承・発展させた。やはりこの地が中心にあり、天球が囲んでいる、とした。ただし、エウドクソスやカリポスは天球が互いに独立していると考えていたのに対し、連携があるシステムとし、その数は48ないし56とした。各層は、それぞれ固有の神、自らは動かず他を動かす神(unmoved mover)によって動かされている、とした。こちら側の世界は四元素で構成されているとし、他方、天球は四元素以外の第五番目の不変の元素、エーテルも含んでいると考えた。天球の世界は永遠に不変であると考えていた。