出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
万有引力 その2
・ニュートン、フック、ハリーらの活動
-ニュートンの発想~ガリレオ動力学の天体への適用~
一般には、アイザック・ニュートン(1642-1727)が1665年に、地上の引力が月などに対しても同様に働いている可能性があることに気付いた、とされている。
スタックレーの著書『回想録』には、スタックレーが、ニュートンが死去する前年の4月15日にロンドン西方の彼の自宅を訪問した時、昼食をともにしたあと庭に出て数本のりんごの木陰でお茶を飲んでいたところ、話の合間にニュートンが「昔、万有引力の考えが心に浮かんだ時とそっくりだ。瞑想にふけっていると、たまたまりんごが落ちて、はっと思いついたのだ」と語った、と書いてあるという。(ただし、りんごの逸話はしばしば伝説ともされることもあり、内容の真偽のほどは確かではない。)
・万有引力の法則の証明
-加速度による証明
月は地球を中心として円運動している。つまり、円運動であるので中心に向う加速度を生じているはずである。ニュートンの時代、月までの距離(約38万km)や月の公転周期(約27.32日=2360448秒)、地球の半径(約6370km)はすでに確認されていた。これらの値を使用して月の加速度を求めてみよう。円運動の加速度の式を以下に示す。
Rは月まで距離、vは公転の早さ、つまり、公転軌道の距離(Rを2π倍したもの)を公転周期で割ったものである。
これに具体的に数値を代入してみると
このようにして求めることができた。ここで注目して欲しいのは、上記は万有引力の法則を使用せずに月の加速度を求めたということである。
次に万有引力の法則を使用して月の加速度を求めてみる。
-万有引力の式
が正しいのなら、この式から導出される月の加速度も約0.0027m/s2となるはずである。
地球の引力の影響を受けた物体には、重力加速度が生じる。その値は質量の大小には無関係に一定で約9.78m/s2である。地球の引力は月にも及び、月を地球に向って引きつけようとする加速度αmを生じているはずである。月までの距離は地球の半径の60倍なので、加速度αmは地表付近での重力加速度の1/602に相当する。(万有引力は距離の2乗に反比例すると仮定したので)これを計算すると
となる。
つまり、重力加速度と加速度αmは一致するので万有引力は正しいと判断できる。