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Channel: アンディマンのコスモロジー (宇宙論)
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天体宇宙物理学への扉を開く

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出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
宇宙論 その4 (4/4)
イブン・スィーナー(アヴィセンナ)
ファーラービーの続く哲学者がアヴィセンナことイブン・スィーナー(980 - 1037年)である。彼は東方イスラーム哲学における絶頂期の哲学者といっても差し支えない。彼は、アリストテレスの注解に多大な力を注ぎ、また独力で数学・物理学・哲学・医学を修め、その名をイスラーム中に轟かしていたという。幾度の政変で必ずしも幸福な人生を遅れなかったが、「医学典範」・「治癒」・「救い」・「指示と勧告」などの壮大な哲学体系は現在においても、いまだ研究途上でさえある。
その論及は多岐に及ぶが、中でも、基本姿勢として貫いているのが存在一般の問題、つまり形而上学である。アヴィセンナは、「空中浮遊人間」説をもって、存在というものを説いた。(この比喩は中世ヨーロッパにおいて論議を呼んだ)すなわち、真空中に浮遊している完全な一人の人間がいる。ただ、完全に盲目であり、外を見ることができない。真空中なので、空気の触感ですら感じられない。彼は、そのような状況で何を感じることができるとすれば、自身の存在である。つまり、「我在り」という自身の存在は確実に肯定するというのである。これに、存在は他と違って本質的に直観知というべきものであり、近世デカルトの有名な「我思う、ゆえに我あり」の命題の先駆的業績を掲げているといえる。この存在の立場から、アヴィセンナは、自然科学や数学のような絶対的な存在のあり方を捉えない学問と形而上学の独自性を主張する。
そのほか、知性・可能性・普遍性の問題など中世あるいは近世・近代の哲学史上で論及されてきた問題の先駆的業績を残した人物であった。また、一方で神秘主義的な傾向が認められ、アリストテレスの解釈としてのイスラーム哲学以外にも、神秘主義的な照明哲学つまり、「東方哲学」と名づけた独自の体系を考えようとした。アヴィセンナ自身は、こちらのほうが自身の考えに近い哲学と考えていたらしいが、現存する資料に乏しく詳しくは分かっていないの現状である。
ガザーリーと哲学批判イメージ 1
キンディーからアヴィセンナまで来て、神学者ガザーリー(1058 - 1111年)の出現で東方イスラーム哲学は大きな変節点を迎える。バグダードのニザーミーヤ学院で教鞭をとっていたガザーリーは、神学者ではあったが、哲学的思惟方法にも長けており、本来の真理とは何か考えていたと同時に、アヴィセンナを代表とする新プラトン的アリストテレスのイスラーム哲学は、真理の形骸のみを知り、生きた真理を捉えようとしないと彼は考えた。そして、哲学者たちは、神の全知の否定や個物知などクルアーンの教えに反する内容を説いていたがこれを宗教的な立場ではなく、哲学的形而上学的な立場から反駁しようとした。著『哲学者の自己矛盾(あるいは自滅)』はその集大成である。
イスラム哲学者たちは、アリストテレスの影響で、世界は時間的には無限で、クルアーンのように神の創世という始原を求めるのは矛盾として否定したが、ガザーリーは、神の創世というは時間的な問題ではなく、本質的な問題であり、例えば太陽のように太陽の本体と光は同時に存ずるが、本質的に太陽があるから光を発せられるのであって、本質的に太陽本体が先に存在するといった感じようなものであるという。哲学者は、時間的な相対的な立場とこのような本質的な立場を混同していると批判した。この他に哲学者が否定した神の個物知の証明や、因果律否定など、後のイギリス哲学者ヒュームを先取りした内容の哲学を説いたりなど、多様な批判活動を行った。このような哲学批判は、元々哲学思想に反感を持っていた一般信者の人々に決定打を放ち、東方イスラームの各地でアヴィセンナの書が「無神論」と非難され、焼き捨てられたり踏みつけられたりする事態となった。
この事態にも関わらず、哲学者の中で反駁するものはおらず、古代ギリシア哲学の移入に始まった東方イスラーム哲学は徐々にその様態を神秘主義的なものへと変質していく。また、ガザーリーの批判に対する反駁は「自己矛盾の自己矛盾(あるいは自滅の自滅)」というガザーリー批判に呼応するタイトルの書を出したアヴェロエスに代表されるように、哲学の舞台はイベリア半島を中心とした西方イスラーム世界へと移って行く。
その他活躍した哲学者たち(東方イスラーム)
翻訳時代には、イスラム教徒以外にも、翻訳活動に従事していた人物が多い。また同時代にキンディーのほかにイブン=ザカリヤー・ラーズィーがいる。また、ファーラービーの弟子には、アーミリー、ヤハヤー・イブン=アディーなどがいる。イブン=スィーナーの弟子には、イブン=マルズバーンやアブー=バラカート・バクダーディーなど師の継承をはかった人物がいる。
・ヨーロッパ中世
ヨーロッパ中世において行われていたスコラ哲学においては、アリストテレスの説を採用し、彼の『自然学』および四元素説も継承していた。そして、月下界(人間から見て、月よりもこちら側寄りの世界)は四元素の離散集合によって生成消滅が起きている世界だが、天上界は(月からあちら側の世界は)、地上の世界とは根本的に別の世界だと想定されており、円運動だけが許される世界で、永遠で不生不滅の世界であるとされていた。そして、天上界は固有の第五元素から構成される、とされていた。
 

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