出典:フリー百科事典「ウィキペディア」より引用
特異点 その1
特異点(singularity)は、ある基準 (regulation) の下、その基準が適用できない (singular な) 点である。したがって、特異点は基準があって初めて認識され、「 - に於ける特異点」「 - に関する特異点」という呼ばれ方をする。特異点という言葉は、数学と物理学の両方で用いられる。
・例
複素解析における正則関数の正則性 (regularity) に関する特異点とは、複素関数で微分不可能な点をさす。具体的には、可除特異点 (removable singularity)、極 (pole)、真性特異点 (essential singularity) の3種の孤立点がある。有理関数 1/x に於ける特異点は、x = 0 であり、これは 1 位の極である。
局所的な変換が一対一を保たない点。円座標平面 (r,θ) に於ける特異点は、r = 0 である。
宇宙物理学では重力に関する特異点が考えられ、重力の特異点 (gravitational singularity) という。ブラックホール内には、時空に於ける特異点が存在する。
・関数の特異点
-特異点 (数学)
科数学において、特異性(singularity)とは、適当な枠組みの下で考えている数学的対象が「定義されない」「よく振舞わない」などと言ったことを理由に除外されること、もの、およびその基準である。特異性を示す点を特異点(とくいてん、singular point)という。
これに対して、ある枠組みの中で、よく振舞う (well-behaved) ならば非特異 (non-singular) または正則 (regular) であると言われる。
-実解析における特異性
実解析においては、実函数に対してしばしば連続性を基準に取り、函数の連続性に関して正則な振舞いをする点を連続点、特異な振舞いをする点を不連続点と呼ぶ。実函数の不連続性には二つの種別があり、またそれぞれの種別はそれぞれ二通りに細分される。
第一種不連続点:
可除不連続点
跳躍不連続点
第二種不連続点:
無限不連続点
真性不連続点
-複素解析における特異性
複素解析においては、複素函数に対してしばしば微分可能性あるいは解析性を基準として、正則性、特異性を論じる。
孤立特異点 (isolated singularity): 特定の点における函数の有界性からのズレを示すもの
可除特異点 (removable singularity)
極 (pole)
真性特異点 (essential singularity)
分岐点: 解析接続に関して一価の函数が多価性を示すこと
-代数幾何における特異性
代数幾何における特異性は、多様体あるいは環の局所化が正則局所環とはならないこと。
fill in: 結節点、重複点、尖点、孤立特異点
-微分幾何における特異性
微分がランク落ちするような点を臨界点、フルランクの点を正常点とする
下図は、最近の宇宙観測により明らかにされた宇宙の歴史(イメージ図)
画像提供:NASA / WMAP Science Team
画像提供:NASA / WMAP Science Team
ビッグバンの起点となる突出した部分(「量子ゆらぎ」の先端部分)が特異点である。(いわゆる「宇宙の開闢」をいい、物理法則が通用しない点と言われている)